2012-01-01から1年間の記事一覧

シンガポール通信ー格安航空(LCC)体験記

ここ一ヶ月で何回か海外出張をしたが、そのうちの何度かは格安航空会社(Low Cost Carrier: LCC)を利用するチャンスを得た。格安航空はこれまでもずっと気になっていた存在である。既存の航空会社に対して半分もしくはそれ以下の低価格で航空券を提供する、…

シンガポール通信ークリス・アンダーソン「メイカーズ」4

サプライチェーンとは何か。それは部品供給網の事である。かってはハードを生産する場合は、デザインに始まって材料の調達や部品の製造さらには製品の組み立てまでをすべて1つの企業で行う事が通常であった。いわゆる垂直統合型のビジネスモデルである。現…

シンガポール通信ークリス・アンダーソン「メイカーズ」3

ソフトウェア産業において、なぜ大企業ではなくとも個人レベルで新しいソフトを生み出す事ができ、そしてそれに伴い比較的容易に起業でき、これが産業構造そのものを変えつつあるかという事を前回述べた。それはまとめると以下の3点になる。1.ソフトウェ…

シンガポール通信ークリス・アンダーソン「メイカーズ」2

「メイカーズ」は、第一部「革命」と第二部「未来」からなっている。その第一部では、3Dプリンタの意義をあまりに強調しており、読者に誤解を与える可能性がある事を指摘した。なぜそのような書き方をしているかといえば、多分読者に強い印象を与えようとし…

シンガポール通信ークリス・アンダーソン「メーカーズ」

なかなか刺激的な本である。先週台北に出張した際の往復の飛行機内で一気に読破した。クリス・アンダーソンはワーアード誌の編集長で、「ロングテール」「フリー」などの著書により、ネットワーク時代のソフトウェア/サービスの新しいビジネスモデルを提案…

シンガポール通信ー国立台北大学訪問

先週木曜・金曜(12月20、21日)と、台湾の台北にある国立台北大学(National Taipei University: NTPU)を訪問した。同大学には8月までNUS、IDMIで私の同僚で研究員だったHooman Samaniが助教授として勤務している。将来のNUSとNTPUでの共同研究など…

シンガポール通信ーシンガポール政府要人の女性スキャンダル2

実はシンガポール国立大学(NUS)内でも、この種のスキャンダルが今年発覚している。なんでも、NUSのビジネススクールの教授が同学部の女性生徒と不倫問題を起こし辞任したとの話を聞いた。これも当初は単なる噂であったものが、新聞などで取りあげられるな…

シンガポール通信ーシンガポール政府要人の女性スキャンダル

オランダ、アイントホーベンからの帰途の飛行機の中で、シンガポールの新聞The Strait Timesを読んでいると、シンガポール政府の要人が女性問題で辞任したとの記事が載っていた。辞任したのは、シンガポール政府のParliament Speakerを務めるマイケル・パー…

シンガポール通信ーオランダ、アイントホーベン工科大学訪問

12月13日・14日と、オランダ南部の都市アイントホーベンにあるアイントホーベン工科大学(Technical University of Eindhoven: TU/e)を訪問・滞在した。TU/eのマチアス・ラウターバーグ教授とは10年以上の付き合いがあり、今回は今後の共同研究の可…

シンガポール通信ー講談社現代新書:池田純一「ウェブ×ソーシャル×アメリカ」3

この本を読んでいてもう1つ残念なことがある。そしてそれはある意味で、この本の内容が持っているオリジナリティ・価値を自ら否定することにつながりかねないのである。この本の最終章「エピローグ」は、次のような記述で始まる。「さて仮説的な疑問として…

シンガポール通信ー講談社現代新書:池田純一「ウェブ×ソーシャル×アメリカ」2

最近メディアやインターネット上で生じている出来事(それはGoogleに代表されるWeb上の知識の集積・検索技術であったり、Faceboo・Twitterなどのソーシャルネットワーク技術であったり、AppleのiPhone・iPhadなどのメディア端末技術であったりするが)がいず…

シンガポール通信ー講談社現代新書:池田純一「ウェブ×ソーシャル×アメリカ」

某出版社の方と最近のメディアの話をしている時に薦められた本である。この週末に読んでみた。タイトルからもわかるように、インターネットの最近の状況に焦点を当てた話がこの本の主要な内容である。インターネットの最近の状況というと当然ではあるが、1…

シンガポール通信ーマレーシア工科大学での講演

このところどうしたわけか講演づいているようで、ここ3週間で4回の講演を行った。先週木曜(12月6日)には、マレーシア工科大学(UTM: University of Technology Malaysia)で講演を行った。UTMは今年の夏頃に一度訪問し、そのうち一度講演をしてもらい…

シンガポール通信ー京都大学での講演

このところ出張が続いて、その報告に追われていたため、京大での講演会の報告を忘れていた。簡単に報告したい。11月25日に韓国ソウルから帰国し、1日おいた11月27日(火曜)に京都大学メディアセンター(正式には学術情報メディアセンター)におい…

シンガポール通信ーランカウイ島の観光

会議のオーガナイザが会議の合間を見て数時間のランカウイ島の観光旅行を企画してくれた。ランカウイ島は面積約380平方キロである。シンガポール島の大きさが約710平方キロ、淡路島が約600平方キロなので、シンガポールの約半分、淡路島の約2/3…

シンガポール通信ーマレーシア、ランカウイ島での国際会議

1週間の出張からシンガポールに戻って、今日から再びマレーシア・ランカウイ島で行われている国際会議に参加している。出張ばかりしているようであるが、多くの研究者は同じように国際会議などへの参加のためにひんぱんに国内外に出張しているようである。…

シンガポール通信ー東北大震災の被災地と祭り

ソウルでの国際会議に参加した後、帰国しそのまま立命館大学で行われた日本文化デザインフォーラム主催のシンポジウムに参加した。本シンポジウムでは震災と芸能を考えるというテーマのもと、東北大震災の被災地で現在いろいろな形で祭りが復活している事を…

シンガポール通信ーソウルにて

ソウルは、ATR時代からの知り合いである漢陽大学(ハンヤン大学)のパク先生に招待されたものである。一緒に土佐さんも招待された。先週金曜夜に到着し、土曜1日の滞在で日曜朝には日本に向けて発つという慌ただしいスケジュールであった。土曜午前は私がハ…

シンガポール通信ーマレーシア・クチンから韓国・ソウルへ

シンガポール・クチンでの国際会議参加は11月22日の実質1日だけで、11月23日には韓国・ソウルでの別の会議のため、シンガポール経由でソウルに向かった。クチンからソウルに行くには、シンガポールのチャンギ空港を経由して行くことになる。自分の…

シンガポール通信ーマレーシア・クチンにおける国際会議

マレーシア・クチンにおける国際会議は、Image Electronics and Visual Computing Workshopというタイトルで、日本の画像電子学会の主催で開催されたものである。会議は22日から24日まで開催され、私はその初日22日の最初に行われるキーノートスピーチ…

シンガポール通信ーマレーシア・クチンへの旅

今日から一週間、マレーシア・韓国・日本と出張が続く。たまたま、招待されている国際会議・ワークショップなどが続くためであるが、22日はマレーシア・クチンの国際会議、24日は韓国・ソウルのワークショップ、27日は日本・京都でのセミナーで講演す…

シンガポール通信ーアーネスト・サトウ「一外交官の見た明治維新」3

もう一つ彼の手記を読んでいて感じるのは、彼自身も含め彼と出会う人たちがいずれも若い事である。サトウ自身は1843年の生まれであるから、1862年に日本の英国公使館に通訳として着任した時にはまだ弱冠19歳。いわばヒヨッコである。まだ十分に日…

シンガポール通信ーアーネスト・サトウ「一外交官の見た明治維新」2

「一外交官の見た明治維新」を読んでいてもう1つ興味深いのは、幕末から明治維新にかけての混乱期に、将軍から天皇へ権力が移って行く様がまさに手によるようにわかる事である。サトウはイギリス公使館付きの通訳担当外交官であるが、イギリス公使は当初は…

シンガポール通信ーアーネスト・サトウ「一外交官の見た明治維新」

久しぶりに面白い本を読んだ。もっというと、岩波文庫にこれほど興味深い歴史に関する本があるとは思わなかったというのが、最初の読後感である。週末に一気に読み終えた。著者のアーネスト・サトウは、1862年から1869年までおよび1870年から1…

シンガポール通信ー東京工業大学の学生招聘説明会

先週金曜に、東京工業大学(東工大)の藤井信生先生がNUSに来訪された。NUSの学生を東工大へ留学生として招聘するために、NUSの学生を対象として東工大の紹介ゼミを行うために来訪された。藤井先生は、電気回路・電子回路などいわば電気電子工学の主流分野で…

シンガポール通信ー将棋や囲碁は単なるゲームになるのだろうか4

さて、いろいろと論じて来たので、今回のこの議論はこの辺りで一段落しておく事としよう。ともかくも重要なのは、ここまで述べて来た事からもわかるように、コンピュータの将棋プログラム・囲碁プログラムが人間の名人に肉薄しつつあるという事は、実は将棋…

シンガポール通信ー将棋や囲碁は単なるゲームになるのだろうか3

コンピュータの将棋プログラムや囲碁プログラムが近い将来人間の名人に勝つという事は、将棋や囲碁の世界でもチェスと同様のことが起こる可能性がある事を示している。つまり将棋や碁が、現在認められているような極めて高い地位にあるゲームとしての性格を…

シンガポール通信ー将棋や囲碁は単なるゲームになるのだろうか2

もちろん、遊びの1つの分類学であるアゴーン(競争)には、100m走や棒高跳びのように体力を使って他の競技者と勝ち負けを争う分野もある。ここで注目する必要があるのは、将棋や囲碁のように知力を使って勝ち負けを争うゲーム(知的ゲーム)と、体力を使…

シンガポール通信ー将棋や囲碁は単なるゲームになるのだろうか

先々週は、国際会議出席のため中国に1週間出張した。また先週は、日本企業と私の勤務しているシンガポール国立大学の共同研究の可能性について議論するため、日本に出張し複数の日本企業を訪問し議論を行った。今週は久しぶりにシンガポールに戻り、たまっ…

シンガポール通信ー紹興市の観光

紹興市で行われた国際会議の最後の半日を利用して、紹興市内および近郊の観光を行った。紹興は作家「魯迅」が生まれた街としてよく知られているため、当初は魯迅の生家に行こうという意見が多かった。しかしながら、同行した北京大学の教授が、紹興は歴史的…