シンガポール通信ーオランダ、アイントホーベン工科大学訪問

12月13日・14日と、オランダ南部の都市アイントホーベンにあるアイントホーベン工科大学(Technical University of Eindhoven: TU/e)を訪問・滞在した。

TU/eのマチアス・ラウターバーグ教授とは10年以上の付き合いがあり、今回は今後の共同研究の可能性などを議論するために招待された。TU/eは、工科系の大学としてはヨーロッパでも常に上位にランクされる大学であり、大学のワールドランキングでも100位程度の位置を常に確保している。

ラウターバーグ教授は本来心理学が専門であるが、その後人工知能研究・デザインなどに興味を持ち、現在同大学の工業デザイン学部の学科長である。同大学の工業デザイン学部は、単なるデザイナを育てる事だけをめざしている訳ではなく、デザインと技術・サイエンス・アート・心理学・社会学などとの境界領域で活躍できる学生の育成をめざしている。また、アイントホーベンにはフィリップスの本社がある事から、フィリップスの研究所との共同研究も盛んに行っている。

同学部は技術とデザインとの融合にも熱心であるため、技術屋である私が同学部の研究や教育に何らかの形で貢献できる可能性があるということで、今回招待されたようである。また同学部はアートとデザインの境界領域にも興味があるため、京大の土佐先生も招待された。

冬のアイントホーベンは大変寒い。日中でも最高温度は5度程度、夜は当然氷点下の温度になる。日本よりも5度〜10度程度温度が低い感覚だろうか。もちろん年間を通して最高温度が30度を超える常夏の国シンガポールとは、30度近くの温度差があるだろう。まあ私自身は、冬の底冷えする京都に住んでいたため、まだ体が京都の寒さを覚えている。したがって、シンガポールからアイントホーベンに来ても比較的すんなり適応できる。

とは言いながら、数日間の滞在なので比較的のんびりした事を言っている事が可能であるが、将来たとえば客員教授として長期間滞在するとした時に、この冬の寒さが我慢できるか否かはまた別問題である。アーントホーベンは夏にも訪問した事が何度かあるが、夏はあまり暑すぎもせず湿度も低いので大変過ごしやすい。客員教授として滞在するならば夏にしたいものである。



ラウターバーグ教授の教授室にて、同教授および土佐さんと。



滞在中のスナップ。



同教授の研究室はデザインと多方面との学際領域の研究をめざしているという事もあって手広いテーマの研究を行っている。これは「不思議の国のアリス」を題材にしたインタラクティブシステム。自分自身がアリスになってこの物語の種々の体験をする事が出来る。



これはいも虫がアリスにいろいろと質問を投げかける場面の再現を狙った仕組み。音声認識音声合成機能を利用してコンピュータ制御の芋虫がユーザにいろいろと音声で質問して来る。



滞在中に市の美術館で美術関係者を集めたワークショップが開催されるとの事で参加してみた。アイントホーベンは地方都市ではあるがさすがヨーロッパ、なかなか近代的な美術館がある。



土佐さんが美術館の学芸員を相手に自分の作品を説明している所。



ワークショップの昼食時にアイントホーベンやヨーロッパ各地の美術関係者と。