2014-01-01から1年間の記事一覧

シンガポール通信−論文剽窃が現実問題に!!

年の終わりにあたり論文剽窃の話題というのは不適切かもしれないが、重要な話題なのであえて書く事にしよう。前回も書いたように、コピペ文化が特に若者の間では当たり前のように広がって来たこともあり、論文が他人の論文の一部などを盗用していないかをチ…

シンガポール通信−論文剽窃が現実問題に!!

今年は、理研小保方氏のへネイチャー論文の不正問題や彼女の博士論文が他の論文から数十ページ盗用していたことに代表されるような、研究者の不正事件がいろいろと話題になった年である。特に小保方氏の博士論文における他人の論文の盗用は、インターネット…

シンガポール通信−北朝鮮によるソニーへのサイバー攻撃2

一般の人がサイバー攻撃から自分を守るためにIDやパスワードを個別に管理し、かつ定期的に更新する事の困難さを前回述べた。私自身は5年程度の周期で住所や勤務先を変えている。またメールアドレスはもっと頻繁に2、3年ごとに変わっている。これらが変わ…

シンガポール通信−北朝鮮によるソニーへのサイバー攻撃

北朝鮮が米国のソニー子会社に対してサイバー攻撃を仕掛けたというニュースが話題になっている。これは、ソニー傘下の米国の映画関係の会社であるソニーピクチャーズエンタテインメント(SPE)が、北朝鮮の金正恩第一書記の暗殺計画を題材にしたSPEのコメデ…

シンガポール通信−井筒俊彦「イスラーム文化」4

イスラム教はよく知られているように教祖ムハンマドによって設立された世界三大宗教の一つである。いずれの宗教も私たちの生き方・行動を律する倫理的な面と、私たちに自分の内面を深く見つめさせ本質的な自己にめざめさせる実存主義的な面があるが、イスラ…

シンガポール通信−井筒俊彦「イスラーム文化」3

イスラム教においては、聖と俗が一致しているいいかえると個々の人間の内面的な考え方・思想に基づいて社会の全てが進行するという宗教の理想的な形態が実現されているもしくは基本的な考え方とされている事を前回述べた。それは他の宗教には見られないイス…

シンガポール通信−井筒俊彦「イスラーム文化」2

一般の人達特に経済人を対象とした井筒俊彦氏の講演をベースとしたこの著書の内容は、大変にイスラム文化というものの特徴を良く教えてくれる。私たちはイスラム文化に関してあまり関心を持っていないと著者は言う。この講演は昭和56年(1981年)であ…

シンガポール通信−井筒俊彦「イスラーム文化」

少し前に、井筒俊彦氏による「意識と本質」を読んだ感想を書いた。この本はアジア諸国—それは日本、中国、イスラム諸国など広い意味でのアジア諸国を意味しているが−において、種々のモノの背後にある「本質」というものがどのように理解されているかを説明…

シンガポール通信−STAP細胞再び

理研がSTAP細胞の有無を確認するために行っていた実験を打ち切ると共に、12月19日に記者会見を開いて「STAP細胞作成の再現が出来なかった」と発表したとのニュースがネットに出ている。同時に、STAP細胞の作成成功で一躍有名になった小保方氏が理研を退…

シンガポール通信−衆議院総選挙で自民・公明は本当に勝利したのか?

12月14日に行われた衆議院総選挙の結果が確定した。マスコミ等では連立を組んでいる現政権の自公が勝利したと大々的に報道している。しかし本当にそうだろうか。まず数字を見てみよう。代表的な政党に関する選挙前と選挙後の議席数は以下の通りである。 …

シンガポール通信−父の思い出2

父は兵庫県の山奥の町で、大正9年に農家の末っ子として生まれた。姫路からバスで1時間ほどかかる山奥の町である。今でこそ中国自動車のインターチェンジが出来少しは便利になったが、かっては神戸・大阪に出るのも大変な田舎であった。農家の末っ子であっ…

シンガポール通信−父の思い出

7日(日曜)の早朝に父が死去した。94歳であった。今週は父の通夜・葬儀などでばたばたとしていたがやっと一段落し、一旦シンガポールに戻るため関空のラウンジで飛行機を待っている所である。市井の一市民として生き、最後までメール・携帯電話等々のネ…

シンガポール通信−井筒俊彦「意識と本質」2

しばらくこの本の感想を書くのに時間が空いたが、再び始めて見よう。この本に書かれている事は、タイトルからすると「意識とは何か」「本質とは何か」であると普通は予測される。確かにその通りなのであるが、むしろ著者の井筒俊彦氏が言いたいのは私たちが…

シンガポール通信−アベノミクス解散で自民党は議席数を減少させる?

井筒俊彦「意識と本質」について論じている途中であるが、アベノミクス解散について少し考えてみよう。安倍首相は11月21日に衆議院を解散した。12月2日に公示され12月14日に衆議院総選挙が行われるという慌ただしい日程である。私は今晩の深夜便…

シンガポール通信−井筒俊彦「意識と本質」

さて話題ががらりと変わるが、前回日本に帰国した際に本屋で買い求めた岩波文庫の井筒俊彦著「意識と本質」をこの週末に読んでみた。私は井筒俊彦氏を知っている訳ではない。私にとっては全くの未知の著者であるが、岩波文庫の哲学の棚を見ていたらたまたま…

シンガポール通信−シンガポールのアート事情3:シンガポールのアートブームは本物か?

版画などの場合と同様にビデオアートの場合もエディションを設けて、あらかじめ決められた数のコピーだけを作り売るという事にするのが通常である。こうすることによってビデオアートの価値を維持することができる。それと同時に売り方も重要である。やはりD…

シンガポール通信−シンガポールのアート事情2:シンガポールのアートブームは本物か?

前回書いたシンガポールのアートフェアであるアートステージシンガポールは毎年開催されているが、来場者で押すな押すなの盛況である。これだけ見ていると、シンガポールにはアートブームが訪れているという見方も出来る。それでは本当にシンガポールにはア…

シンガポール通信−シンガポールアート事情:激変しつつあるアート事情

さてそれでは次にアートに関するシンガポールの最近の状況を見てみよう。本論に入る前に脱線するが、昨日のシンガポールのテレビChannel News Asiaで、何とテニスの錦織選手の単独インタビューの様子をニュースで放映していた。ATPファイナルツアーに出たと…

シンガポール通信−シンガポールのスポーツ事情4:シンガポールはスポーツ先進国になれるか?

シンガポールがスポーツの観戦に関しては、日本も含めた先進国の水準に近づいて来ている事を書いた。ここ4、5年のその変化の大きさには驚かされるほどである。それではシンガポールは、スポーツ全般に関して近い将来に先進国の仲間入りをすることができる…

シンガポール通信−シンガポールのスポーツ事情2:錦織の勇姿に感動

シンガポール人がスポーツの鑑賞に興味をもたないという事を書いたが、ここ4、5年でそのような状況に変化が現れつつある。それはシンガポールのテレビを見ているとよくわかる。シンガポールの代表的チャンネルであるChannel News Asiaでは、ここ数年でスポ…

シンガポール通信−シンガポールのスポーツ事情

さてそれでは次に、シンガポールにおけるスポーツの位置づけがどのように変化しているかについて考えてみよう。結論から先に言うと、シンガポールにおいてはスポーツの位置付けも欧米化しているといえる。私7年前がシンガポールに来た当時は、スポーツとい…

シンガポール通信−シンガポールの食事事情

シンガポールに来て7年になるが、その間にシンガポールで大きく変わった事がいくつかある。もちろん新しいビルが次々と建ち街の風景が大きく変わったというのは最も目につく点であるが、これはあくまでもこれは表面的な現象である。その奥でもっと本質的な…

シンガポール通信−「サウンドオブ生け花」のプロジェクションマッピングがグッドデザイン賞を受賞

私のパートナーの土佐尚子が今年1月にシンガポールで行ったビデオアート「サウンドオブ生け花」が、2014年度のグッドデザイン賞を受賞した。これ自体はありがたいことである。グッドデザイン賞は、公益財団法人日本デザイン振興会が毎年その年に発表さ…

シンガポール通信−ジャレド・ダイヤモンド「昨日までの世界」4

ジャレド・ダイヤモンドの「昨日までの世界」は、「銃・鉄・病原菌」や「文明崩壊」などのように著者の新しい歴史観を提示して読者をわくわくさせてくれる部分は少ない。しかしその反面、著者がその豊富な知識と深い洞察によって太古の昔の人々の暮らしと現…

シンガポール通信−ジャレド・ダイヤモンド「昨日までの世界」3

それでは、まだ国家が存在しなかった太古の昔の社会にすんでいた人々の生活と、国家が科学技術の成果としての豊かな生活とそしてそれに伴う種々の制約を与える社会に生きている私たちの生活において、何が共通点で何が相違点だろうか。この著書で著者のジャ…

シンガポール通信−ジャレド・ダイヤモンド「昨日までの世界」2

本書でジャレド・ダイヤモンドが行っているのは、世界が国家から形成されている現代社会と、太古の昔のまだ国家という概念がなく人々がグループ単位で生活していた部族社会における人々の生き方の比較である。別の言い方をすると、現代人の生活と太古の昔の…

シンガポール通信−ジャレド・ダイヤモンド「昨日までの世界」

ジャレド・ダイヤモンドは1937年ボストン生まれの人類学者で、現在はUCLA地理学教授である。長年ニューギニアを中心に、太古の昔から変わらぬ暮らしを続けて来ている原住民の生活を彼らと一緒に暮らしながら観察・研究して来た。普通の大学教授ならば、…

シンガポール通信−楽天社員のTOEICが平均255点アップは本当か?

10月18日の日経オンライン版のビジネスリーダー欄のニュースに、「楽天の英語勉強法 TOEIC平均255点アップ」という記事が出ている。大変興味深いので、これをネタにいろいろ考えてみよう。楽天は2010年に三木谷浩史社長の肝いりで社内公用語英語…

シンガポール通信−モーニング連載コミック 東山アキコ「メロポンだし!」終了

週間コミック雑誌「モーニング」に連載中の、東村アキコ氏の「メロポンだし」が終了した。「モーニング」は、かっては王欣太氏の「蒼天航路」、井上雄彦氏の「バガボンド」、かわぐちかいじ氏の「ジパング」、弘兼憲史氏の「島耕作シリーズ」など有名漫画家…

シンガポール通信−金子常規「兵器と戦術の日本史」4

倭国と新羅との朝鮮半島支配をかけた戦いと白村江での敗戦による倭国の朝鮮からの撤退、そして豊臣秀吉の朝鮮出兵と撤退という二つの歴史的な事実は幾つかの共通点を持っている。一つはいずれの戦いも陸軍による戦いでは日本側が有利もしくは対等の戦いを続…