シンガポール通信ーマレーシア・クチンにおける国際会議

マレーシア・クチンにおける国際会議は、Image Electronics and Visual Computing Workshopというタイトルで、日本の画像電子学会の主催で開催されたものである。会議は22日から24日まで開催され、私はその初日22日の最初に行われるキーノートスピーチを依頼された。

この仕事を引き受けた際には軽い気持ちで引き受け、特にどのような国際会議であるかにはあまり注意を払わなかった。ところが会議の直前にプログラムを見ていて、画像電子学会の主催である事に気がついた次第である。

実は私は画像電子学会と浅からぬ縁がある。シンガポールに移るまでの10年間ほどこの学会の会員であった事があり、かつ私がATRに勤務していた1990年代後半には2年間ほど、この学会の理事を務めた事がある。

この学会は、本来はファクシミリの標準化などを対象として設立された学会であり、その後画像処理やコンピュータグラフィクスなどを活動範囲に加え拡大して来た学会である。ファクシミリの標準化には私がかって勤務していたNTTが深く関わっており、そのためNTTの研究所を始めとする通信関係の大学•研究所の研究者が多く会員となっている。

つまり、NTT時代やATR時代の知り合いに会える事が期待できるのである。案の定、昔懐かしい私の知り合いに何人か出会う事が出来た。私がNTTにいたのは既に20年近く前であり、またATRにいたのは10年以上前である。その意味ではかって同じ職場で一緒に仕事をしたり、学会などで一緒に仕事をした古い知り合いと10数年〜20年ぶりに出会えたことになる。

シンガポールに移ってからは、私が関わる研究の領域がメディアやエンタテインメントに変わったため、これらの人達とは会う事もなくなったのであるが、本当に久しぶりの再会であった。研究畑で働いている人達は老けないというが、皆さんいずれも外見も昔と変わらず、元気で活躍されているようであった。

依頼されたキーノートスピーチでは「The role of movie and telephone in the history of communication media」と題した講演を行った。これは、最近のスマートフォン・ソーシアルネットワークなどの新しいコミュニケーションメディアの位置付けを、数千年に及ぶ人間の歴史の中でとらえようとするものである。そしてその中において電話と映画の発明が果たした役割を明らかにしようとするものである。

技術的な内容の発表ではないが、画像処理やコンピュータグラフィクスの領域で活動している研究者の人達には、ある意味で自分の研究の持つ意味を明らかにするのに資したようで好評であった。



国際会議で出会った懐かしい人達。左から赤松先生(法政大学教授)、大谷先生(早稲田大学教授)。このお二人は私がATRにいた時代の同僚である。私がATRにいたのは2012年までなので、10年ぶりの再会である。私の左は小林先生(埼玉医科大学教授)、そして私の右は松本先生(早稲田大学教授)。このお二人は私のNTT時代の同僚である。私がNTTにいたのは1995年までなので、17年ぶりの再会という事になる。皆さん髪は白くなったり薄くなったりしているが、いずれも昔と変わらない顔つきで何とも懐かしい再会であった。



私のキーノートスピーチの様子。