2016-01-01から1年間の記事一覧

シンガポール通信-トランプは大統領として力を発揮できるか?

ドナルド・トランプが次期米国大統領に選出された今回の米国の大統領選挙の特徴は、米国人がこれまで大統領などの国を牽引していくべきリーダーに求める理想とする人物像が、これまで通例であった知識層を代表する人物ではなくて、言動は上品ではないが強靭…

シンガポール通信-トランプは米国でどう受け止められているか

トランプ氏の米国大統領就任まで一ヶ月をきった。色々と日本でもいい意味でも悪い意味でも話題になっている彼の大統領就任に関して、米国そしてニューヨークではどう受け止められているのだろう。日本では、いまだに米国ではトランプ氏への反感が根強く、彼…

シンガポール通信-ニューヨークでの展示

ロンドンでの展示がとりあえずスムースに開始され我々の仕事が一段落したところで(展示自体は年度いっぱいまで延長となり継続しているが)、次はニューヨークでの展示である。ニューヨークでは、文化庁を通して交渉しニューヨークの日本総領事館のギャラリ…

シンガポール通信-ロンドンでの展示

一時帰国からロンドンへ戻り、そして慌ただしく次の展示先のニューヨークに移動した。これからニューヨークでの展示の準備を始めるけれども、まずは現在も継続しているロンドンでの展示のことを報告しておきたい。ロンドンでの土佐尚子のアート作品の展示は…

シンガポール通信-ただ今一時帰国中

しばらくブログの更新を行って来なかった。前回ブログの更新を行ったのが10月14日なので、ほぼ二ヶ月間ブログの更新を行わなかったことになる。まあその間いろいろと忙しかったからといえば聞こえはいいが、忙しくともたかだか数百語のブログを書く時間…

シンガポール通信-プロ棋士が対局に将棋ソフトを不正使用?

将棋のトッププロの一人である三浦弘行九段が、対局中にスマホに搭載された将棋ソフトを使って不正をした疑いが浮上している。とうとう恐れていたというか、予期していたことが起こったという感じである。ことの起こりは、三浦九段が対局中に何度も席をはず…

シンガポール通信-THE世界大学ランキング:2

ここ数年、東大・京大に代表される日本の大学が世界大学ランキングにおける順位を落としていることが、マスコミなどでも話題として取り上げられるようになった。特にその代表的なものであるTHE World University Rankingにおいて、2014年度まで東大が継…

シンガポール通信-THE世界大学ランキング

英国の会社Times Higher Educationが今年度の世界大学ランキング(THE World University Ranking 2016/2017)を発表した。まだ2016年も終わっていないのに気の早いことであるが、例年この時期に発表される。さて気になるのは東大・京大の日本を代表する2大…

シンガポール通信-2016年はVR元年なのか?:2

前回、HMD(ヘッドマウンテッドディスプレイ)における解像度の向上やレイテンシー(頭の動きとそれにつれた映像の動きの時間的遅れ)の減少が、HMDを使ったゲームの面白さとは直接関係しないことを述べた。と同時に、昨年から今年にかけてのこれらの技術の…

シンガポール通信-2016年はVR元年なのか?

今日まで幕張メッセで東京ゲームショウが開催されている。そこでの目玉は、HMD(ヘッドマウンテッドディスプレイ)に代表される最新のVR 機器と、それを応用した各種のゲーム類だといわれている。そして今年がVR元年であるという宣伝が盛んに行われている。…

シンガポール通信-和辻哲郎「孔子」2

論語は孔子自身の言葉、孔子の弟子との会話、さらには孔子と弟子たちとの会話などを集めた語録である。世界四大聖人の中で宗教の創始者となった孔子・釈迦・キリストの教えは、いずれも本人自身が書き残した書物の形で残っているのではなくて、その弟子たち…

シンガポール通信-和辻哲郎「孔子」

久しぶりに和辻哲郎の著書を読んだ。この本を選んだのは、未だに現代日本人の倫理の基礎となっている儒学もしくは儒教に私が興味があり、孔子の「論語」を読み直そうかと考えているからというのが主な理由である。書店で岩波文庫本のコーナーを見ていたら、…

シンガポール通信-日経新聞論説「人工知能の光と影」:安易なAIブームに対する警鐘2

少し時間が空いたが、日経新聞の論説に載った西田豊明教授と西垣通教授の共著による人工知能(AI)ブームに対する警鐘に関する感想の続きを書いておこう。西田豊明教授の論調は、現在のAI研究の急激な進歩を念頭に置いて、AI研究の進むべき方向やその応用を…

シンガポール通信-日経新聞論説「人工知能の光と影」:安易なAIブームに対する警鐘

日本経済新聞に9月6日、7日の2回にわたって、「人工知能の光と影」と題する論評が記載された。第1回は京都大学西田豊昭教授によるもので、第2回は日本経済大学の西垣徹教授によるものである。いずれも現在の安易な人工知能(AI)ブームに対する警鐘で…

シンガポール通信-再び自動運転を考える3

自動運転車の開発に関する最近のニュースを見て、完全自動運転車の実現はまだまだ将来のことなのにあたか、も明日にでもできるかのような報道の仕方が問題であると書いた。それでは次に、完全自動運転の実現は可能なのだろうかそれとも不可能なのだろうかと…

シンガポール通信-再び自動運転を考える:2

シンガポールで米国のスタートアップ会社ヌートノミーが自動運転タクシーのサービス実験を始めたニュースがあるが、それは他の多くの企業や大学で行われている実験とほとんど変わらないレベルであることを述べた。一般人を対象にしているとはいえ、あらかじ…

シンガポール通信-再び自動運転を考える:シンガポールの自動運転タクシー

シンガポールで世界初の自動運転タクシーのサービス実験が始まったとのことである。何事においても世界初とか世界一が好きなシンガポールらしいが、詳しくニュースを読んでみると別に驚くほどのこともなさそうである。まず第1に、これはシンガポール発の技術…

シンガポール通信-倫理としての儒学・儒教

私たちの心の奥底にある本能としての欲望を犯罪に結びつけることを止めているものは、私たちの心の中にある倫理観であると前回述べた。日本を含め東洋の代表的な倫理観といえば、孔子によって始められた儒学もしくは儒教であろう。倫理と宗教を厳密に切り分…

シンガポール通信-何が犯罪を犯すのを止めているのか?

宿泊しているホテルの女性従業員に性的暴行を働いた高畑裕太容疑者は、警察の取り調べに対して「欲望を抑えることができなかった」と述べているが、そのような欲望は男性であれば誰もが持っているものであろう。そしてまた、相模原市の障害者施設における無…

シンガポール通信-高畑裕太容疑者の逮捕に思う:犯罪者は異常者か?

俳優の高畑裕太容疑者が、23日未明宿泊している前橋市内のビジネスホテルで女性従業員を部屋に連れ込み性的暴行を加えると共に、被害者に傷を負わせたとして逮捕された事件が報じられている。かなりの売れっ子である高畑裕太容疑者は、数多くのテレビ番組…

シンガポール通信-エンタテインメントに関するハンドブックの編集2

前回、「デジタルゲームとエンタテインメント技術」というタイトルのハンドブックを編集する際に、ハンドブックの約10個の項目ごとの助編者を決めるのが大変であったという経験を述べたけれども、実際にもっと大変なのはそれ以降であることも編集作業に関…

シンガポール通信-エンタテインメントに関するハンドブックの編集

ほぼ3年近くかかったHandbook on Digital Games and Entertainment Technologies(デジタルゲームとエンタテインメント技術に関するハンドブック)という本の編集が、なんとかおわってほっとしている。ハンドブックは「便覧」などと訳されることが多いが、…

シンガポール通信-相模原の障害者施設における大量殺人事件に思う2

前回、相模原の障害者施設で起きた大量殺人事件に関して、私たちが障害者を「障害者=健常者—なんらかの機能・能力」という見方で見ているのではないかと書いた。これは別の言い方をすれば、私たちが障害者を一般の健常者に比較して劣った存在として見ている…

シンガポール通信ー相模原の障害者施設における大量殺人事件に思う

世の中はリオ・デ・ジャネイロで開催されているオリンピック一色で沸き立っており、相模原の障害者施設で起こった大量殺人事件のことなどは、全く忘れてしまったかのようである。しかしこの事件は極めて重大な問題を、私たちに突きつけているのではないだろ…

シンガポール通信-QS世界大学ランキング:2

シンガポールの2大学、NUSとNTUがQS世界大学ランキングで12位、13位とトップテンを狙える位置に上昇してきていることを前回述べた。それと共に、特にNTUに関してはまだ世界の多くの有名大学と型を並べる所までは、実力的には来ていないと私が感じている…

シンガポール通信-QS世界大学ランキング

Times Higher Education (THE)による世界大学ランキングについて論じたので、ついでにもう一つの世界大学ランキングであるQS社による世界大学ランキングの最新の結果に関しても見てみよう。QS社は、正式名はクアクアレリ・シモンズ社という英国の大学評価機…

シンガポール通信-ポケモンGOのブームはすぐに終焉する?

さて、ポケモンGOのヒットに関する分析を行った際に、このヒットはそれほど続かないだろうと予想した。今回はなぜそのように考えるかを述べてみよう。まず第一に、ポケモンGOはゲームとしては単純であることがあげられる。特定の場所に行って敵キャラクタも…

シンガポール通信-世界大学ランキング再び:2

前回は最近発表されたTHE世界大学ランキングに関して、アジアの代表的な10大学のうち日本(東大、京大)、韓国(ソウル大、KAIST)の4校が2015年から2016年にかけて大きく順位を下げていることを図を交えながら示した。 さてそれではこれらの4大…

シンガポール通信-世界大学ランキング再び

今年も世界大学ランキングがいくつかの機関から発表される時期になった。日本の大学は、世界大学ランキングの結果を意識的に重要視しないかもしくは無視しようとしているが、マスコミの方が放って置かないようである。世界大学ランキングのうちTimes Higher …

シンガポール通信-ポケモンGO狂想曲

米国で配信が始まったゲーム「ポケモンGO」がとうとう日本に上陸して、大きなブームになっているらしい。今回はこのブームの背景にあるもの、そしてこのブームが今後どうなるかを考えてみたい。「ポケモンGO」は、ゲームとしては極めてシンプルなゲームであ…