2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

シンガポール通信ーゼノンのパラドックスとベルグソン2

またベルグソンは、このゼノンのパラドックスに対する批判として次のような事も述べている。「ゼノンのパラドックスは、アキレスと亀の競争という時間に関する問題を、アキレスと亀の位置という空間に対する問題に置き換えているが、このことがパラドックス…

シンガポール通信ーゼノンのパラドックスとベルグソン

現在、西洋哲学の流れの概略をつかむため、プラトンから始まって代表的な西洋哲学者の著作のこれも代表的なものを読んでおり、ベルグソンまできた。現在ベルグソンの「思想と動くもの」(岩波文庫)を読んでいる。代表的な著書のしかも流し読みに近いので、…

シンガポール通信ー「カジノ合法化」を考える

日経ビジネスの8月23日号を読んでいると、「カジノ合法化:経済活性化狙い議論沸騰」という記事が目についた。今回はこの件について少し考えてみよう。記事の内容は、民主党、自民党をはじめとする超党派組織「カジノ議連」の活動が本格的に立ち上がり、…

シンガポール通信ー人間の歴史とコミュニケーション2

前回紹介した 人類のアフリカ単一起源説(アフリカを唯一の現生人類の起源の地とする説)は、現在生じている人々のコミュニケーション行動とどう関係するのだろうか。今回はこの点について考えてみよう。アフリカ単一起源説は前回も説明したように、現在の世…

シンガポール通信ー人類の歴史とコミュニケーション

コミュニケーションの原点とは何だろう。最近、このような問題意識を持つ。私は技術者としてコミュニケーションやコミュニケーション技術に長く関わって来た。その経験に基づき、オーム社から「テクノロジーが変えるコミュニケーションの未来」という本を2…

シンガポール通信ーSUNTEC Convention Center

固い話題が続いたので、今日はお口直しの話題。来年2011年3月に私が委員長となってシンガポールでバーチャルリアリティの会議IEEE Virtual Reality 2011 (VR2011)を開催する事になっている。委員長とは言っても他の委員の皆さんも大学の先生方であり手弁当で…

シンガポール通信ー下条信輔「意識とは何だろうか」3

さて、最後に意識と自由意志の問題に関して、著者がどのように考えているかについて見てみよう。前回も書いたが、人間の脳の中では膨大な情報処理がなされている。その大半は無意識下で行われているものであり、そのごく一部が意識に上ってくるとこの本では…

シンガポール通信ー下条信輔「意識とは何だろうか」2

さて前回述べたように、下条信輔著「意識とは何だろうか」の前半では、人が周囲環境にいかに適合するかという処理を脳が行っている事が述べられている。ここでの記述は、大変やさしくかつ説得力がある。しかし、まだここまででは意識の問題は何も論じられて…

シンガポール通信ー下条信輔「意識とは何だろうか」

最近、意識とか意志・自由意志などの問題を考えているので、昔読んだこの本の事を思い出して久しぶりに読んでみた。出版は1999年だからもう10年以上前の本である。下条さんは認知心理学者で、現在米国カリフォルニア工科大学の教授である。研究者の多くが自…

シンガポール通信ー夜のマリーナベイサンズ

今日はシンガポールの独立記念日(ナショナルデイ)で休日である。街に出ると大変な人手だろうし、帰りのタクシーを捕まえるのが大変そうなので、今日も大学に出て仕事をしている。昼のマリーナベイサンズに引き続き、夜の様子を知りたかったので、昨晩もう…

シンガポール通信ーマリーナベイサンズ

昨日、国際会議の会場の相談をするためマリーナベイサンズを訪れたので、いくつか写真を紹介する。 外観、3つのビルが1つのホテルを構成している 内部、3つのビルはいずれもつながっておりかつ巨大な吹き抜けになっている 客室の例 客室から見た海側、植…

シンガポール通信ー「iPadは万能ではない」に反論する2

安藤忠雄氏のiPadに代表される電子書籍に対する批判について、引き続き考えてみよう。「こうしたアナログな感覚は、コンピュータでは決して再現できない。(中略)デジタル化することで、確かに便利になるかもしれない。しかしその過程で喜びや怒りといった…

シンガポール通信ー「iPadは万能ではない」に反論する

日経ビジネス7月26日号に「iPadは万能ではない」と題する安藤忠雄氏の寄稿が載っている。安藤氏は私の好きな建築家であるが、この一文には異論があるので、私の意見を述べたい。氏はiPadの電子書籍としての機能を批判しておられる。そこで、ここでもiPad…

シンガポール通信ー夢と自由意志2

前回は、夢の中では自由意志は働いていないようであるという事を述べた。今回はその続きで、目覚めている時と夢の中での自由意志の違いを考えてみよう。自由意志の問題を考えるとき、私自身の子供の頃のある経験を思いだす。多分中学校の何年生かの頃だった…

シンガポール通信ー夢と自由意志

映画「インセプション」と夢の関係について考えて来たが、今回は夢と意識さらには自由意志の問題を考えて見よう。前にも書いたように、意識というのは現時点では科学にとっては何とも取り扱いにくい存在である。意識こそが人間にとって特有の現象であるとす…

シンガポール通信ー「インセプション」と夢

映画インセプションを見ながら、夢について考えた。本当は映画を見ながら他の事を考えるのは監督・俳優に失礼であるが、前回も書いたようにストーリー構成が少々複雑で感情移入しにくい映画であったため、おもわず夢について考えてしまった訳である。今回は…

シンガポール通信ー「インセプション」と夢2

さて、複数の人の間での夢の共有は技術的に当面難しいと書いたが、見方を変えると既に実現しているという事も出来る。複数の人の間の夢の共有を「複数の人による仮想世界の共有」と言い換えてみるとどうだろう。そうするとこれはすでにオンラインゲームにお…