2013-01-01から1年間の記事一覧

シンガポール通信−安倍首相の靖国神社参拝2

安倍首相の靖国神社参拝を外交カードとして使うという事に関して、引き続き考えてみよう。日本の経済が回復基調にあり、かつ2020年の東京オリンピック誘致に成功した事から、日本はかって経済的に成功したことのある過去の国ではなくて、これからも世界…

シンガポール通信−安倍首相の靖国神社参拝

安倍首相が12月25日に靖国神社参拝を行なった事が内外で波紋を呼んでいる。猪瀬前東京都知事が現金5000万円を医療法人徳洲会グループから受け取った事件で辞職に追い込まれた経緯が、日本国内では大きなニュースになったのにシンガポールでは(そし…

シンガポール通信−ジャレド・ダイヤモンド「文明崩壊」3

この本で最初に取りあげられるのは、現在の米国モンタナ州である。モンタナ州は米国の北西部に位置する州で北側はカナダに接している。陸地面積ではアメリカ本土で第2位であるが、人口は少ない方から第6位。という事は大変人口密度が低い州であり、人口密…

シンガポール通信−ジャレド・ダイヤモンド「文明崩壊」2

ジャレド・ダイヤモンドの「銃・病原菌・鉄」は、文明の発展にその文明のおかれた地理的な自然環境、いいかえると風土が大きな影響を与えるという主張を行なっている著書である。それに対して同じ著者の「文明崩壊」は、発展した文明が衰退し滅びる際にも、…

シンガポール通信ージャレド・ダイヤモンド「文明崩壊」

ジャレド・ダイヤモンドは「銃・病原菌・鉄」の著者としてよく知られている。「銃・病原菌・鉄」は、1万3000年前から現在までの人類の歴史を地球規模で概観した本である。現在地球上に存在している人類は、約5万年前にアフリカを出発した約150人の…

シンガポール通信−猪瀬東京都知事辞任に至る迷走

猪瀬東京都知事が医療法人徳洲会から5千万円を受領した問題で、都議会や一般国民から厳しく責任を追求されていたが、ついに19日朝に都議会に辞任届を提出したというニュースが飛び込んで来た。とうとう来たかと言うべきか、それともなぜ今まで引き延ばし…

シンガポール通信−カンヌ映画祭カメラ・ドール受賞作品:ILO ILO(イロイロ)2

カンヌ映画祭でカメラ・ドール賞(最優秀新人監督賞)を受賞したシンガポールの映画監督アンソニー・チェンの映画ILO ILOで、主人公のジャールーを演じる少年の演技が大変自然であり、かつジャールーと徐々に心が通じ合うメイドであるテレサを演じる俳優アン…

シンガポール通信−カンヌ映画祭カメラ・ドール受賞作品:ILO ILO(イロイロ)

このブログで、シンガポールの映画監督アンソニー・チェンの作品「ILO ILO(イロイロ)」がカンヌ映画祭カメラ・ドール(最優秀新人監督賞)を受賞した事を書いた。文化的にはまだ成熟していないといわれるシンガポールのしかも若手監督の映画作品が、世界的…

シンガポール通信ータイに続きシンガポールで暴動?

現在タイで大規模な反政府運動が起こっている。かっての首相で現在は国外逃亡中のタクシン氏の妹であるインラック氏が率いる政権が、タクシン氏の帰国への道をひらく恩赦法案を下院で強行採決を行なった事から(結局この法案は政府により撤回された)、野党…

シンガポール通信−ボルネオ島観光

ボルネオ島にあるインドネシアのクチンで行なわれた国際会議の合間に、短時間の観光をした。観光と言っても、クチンから車で1時間ほどの所にある文化村というインドネシアの先住民族の伝統文化を展示してある施設の見学であるが、これまでほとんど知らなか…

シンガポール通信ーマレーシアにおける国際会議参加

先週火曜から木曜までマレーシアで行われた国際会議に参加して来た。この国際会議はInternational Conference on Interactive Digital Media 2013 (ICIDM2013)という名称で、人間同士や人間とコンピュータのコミュニケーションに使われるメディアの新しい技…

シンガポール通信−2013年世界大学ランキング

このブログで日経ビジネス特集「世界のトップ大学:東大は生き残れるか」について書いたが、その後英国QS社から2013年のQS世界大学ランキングが発表になった。たまたま先週早稲田大学がシンガポールに設置している研究所の方々が私の研究所に訪問され、…

シンガポール通信―和食とクールジャパン

昨日シンガポールのTVニュース番組Channel NewsAsiaを見ていたら、日本政府がクールジャパンの海外への売り込みの一つとして和食を対象とし、東京で各国の要人を招いて日本各地の名物料理を味わってもらうイベントを開催したという報道があった。最近日本の…

シンガポール通信ー中国の防空識別圏問題

中国が東シナ海に防空識別圏を設定した事が大きなニュースになり、日本や米国で大きな懸念を引き起こしている。防空識別圏というのは、国が防空上の理由から領空を含めたより広い範囲を示す名称である。防空識別圏内を飛行する際には、飛行計画を事前に航空…

シンガポール通信ーシンガポールの若手映画監督が台湾アカデミー賞を受賞

11月17日のブログで「日常感じるシンガポールの後進性」と題して、時にシンガポールが遅れているなと感じるいくつかの事例をあげた。いくつかのコメントも頂き大変参考になったが、またこの週末に同じようにシンガポールのある意味での後進性を感じさせ…

シンガポール通信ー関西学院高等部の学生さんが来所

先週関西学院高等部の学生さん3名が、引率の宮寺良平先生に連れられて、私の勤務しているインタラクティブディジタルメディア研究所CUTEセンターに来所された。私は関西学院大学に6年間勤務していたので、関西学院高等部の学生さんたちはいわば私の後輩で…

シンガポール通信ー日経ビジネス「会社の寿命」2

日経ビジネスが会社の旬の時期を知るのに、前回の特集の時に用いた売上高および総資産額ではなくて時価総額を用いたというのは、正しい選択であると思う。売上高や総資産額などから見た、規模だけは大きいが過去の遺産を食いつぶしながら生きながらえている…

シンガポール通信ー日経ビジネス「会社の寿命」

日経ビジネスが11月4日号で、「会社の寿命」という特集を組んでいる。このタイトルを見ると、かって同じ日経ビジネスが提唱し話題になった「会社の寿命30年説」を思い出させる。当然のことながらこの特集は、会社の寿命30年説を現在において見直した…

シンガポール通信ー日常感じるシンガポールの後進国性

シンガポールは、インフラの整備や人々の生活水準などの面では欧米の先進国や日本に引けを取らない、いやむしろ部分的にはそれを凌駕するレベルに達している国である。しかしながら実際には、独立以来まだ50年になっていない新しい国である。その意味で、…

シンガポール通信ー日経ビジネス「世界のトップ大学」5

さて最後に、「すべての大学が世界大学ランキングで上位を狙う必要があるだろうか」という疑問を考えてみよう。というのもこの特集を読む限り、国内の全ての大学が世界大学ランキングの順位をあげ、世界レベルで戦える大学になるべきだという論調のように読…

シンガポール通信—日経ビジネス「世界のトップ大学」4

それでは次に、教育の面ではどうだろうか。先に書いたように、教育の数値的な評価の面で重要なのは、教員一人当たりの学生数である。この点日本のマンモス私大は、大変不利な状況にあると言えるだろう。その意味で、早稲田大学が学生の数を減らし教員の数を…

シンガポール通信ー日経ビジネス「世界のトップ大学」3

世界大学ランキングの評価基準の2番目は教育である。ここでは、学生数や教員数つまり大学のサイズが1つの指標となるが、それ以上に重要なのは教員1人当たりの学生数である。これが小さいほど評価が高くなる訳で、この点で日本のマンモス私大は大きなハン…

シンガポール通信ー日経ビジネス「世界のトップ大学」2

昨日に引き続き日経ビジネスの特集記事「世界のトップ大学:東大は生き残れるか」について考えてみよう。記事の7番目の「目指せ、世界基準」は、日本の各地の大学が世界の大学と伍して行くためにそれぞれが行っている独自の取り組みを記述している。読んで…

シンガポール通信ー日経ビジネス「世界のトップ大学」1

日経ビジネス10月14日号が、「世界のトップ大学—東大は生き残れるか」という特集を組んでいる。最近世界の大学に順位付けを行う「世界大学ランキング」がしばしば話題になるが、この特集記事も世界大学ランキングにおける日本の大学の位置付けを論じたも…

シンガポール通信ーシンガポールビエンナーレ2013(2)

昨日に引き続きシンガポールビエンナーレの作品をいくつか紹介しよう。具象的な作品が多いとはいえ、もちろん中には抽象的な作品もあり、一見何を表現したいのかわからなくて説明を見て始めて納得できる作品もある。 これはフィリピンのアーティストの作品。…

シンガポール通信—シンガポールビエンナーレ2013(1)

シンガポールビエンナーレは、2年に1度開催されるシンガポール最大のアート展である。2006年に開始され、シンガポールアートミュージアム(SAM)を中心としてシンガポール中心部の複数の美術館で、10月26日から来年2月16日まで行なわれている。…

シンガポール通信ー土佐尚子のArtScience Museumにおける展示

前回のブラジル行き(結局は行けなかったけれども)と話は前後するが、私のパートナーの土佐尚子のビデオアートの展示がシンガポール、マリーナ・ベイ・サンズにあるアート・サイエンス・ミュージアムで10月12日から3ヶ月行われることとなり、そのオー…

シンガポール通信ーロスト・イン・トランスレーション2

現在これはヒューストンから日本への飛行機の中で書いている。ヒューストンのブラジル領事館の窓口でビザ発行を依頼しても、全く相手にしてもらえなかったので途方に暮れた事を前回書いた。前日ブラジル行きの飛行機に乗車拒否されて途方に暮れたが、今回も…

シンガポール通信ーロスト・イン・トランスレーション

2003年にソフィア・コッポラ監督で製作されたこの映画は、男と女、老人と若者など異なる人達の間の相互理解の難しさを描いたものである。しかしそれが、主人公の老年のハリウッド俳優と若い女性が旅行の途中東京に滞在中に起こった物語であるため、私に…

シンガポール通信ーF1レースは10年以内に消滅する?

シンガポールで毎年行われるF1が今年も10月に行われた。シンガポールのF1は2008年から行われているが、何事にともあれ世界一が好きなシンガポールなので、市街地レースに加え夜間レースという趣向を加えて、世界唯一の市街地夜間レースであると銘打っ…