2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

シンガポール通信−イアン・モリス「人類5万年 文明の興亡」3

タイの政治情勢を論じていたので、イアン・モリスのこの本の事を書くのが中断していた。もっとも、筑摩書房から出ているこの本の日本語訳が上下本合わせて約800ページと大部で内容も多岐にわたっているので、なかなか感想を短くまとめるのは困難である。…

シンガポール通信−タイは遅れた民主主義国家か?:3

さらにもっと面白いのは(面白いなどと茶化してはいけないのかもしれないが)、トップにある人たちが容易に自分の利益になるような行動(自己利益誘導型の行動)をとりやすい事である。今回の混乱のそもそもの発端は、昨年に当時政権の座にあったインラック…

シンガポール通信−タイは遅れた民主主義国家か?:2

今回のクーデターに至った理由を知るために、これまでの経緯を振り返ってみよう。今回のクーデターで政権の座を追われたタクシン派であるタイ貢献党は、そもそも2012年の総選挙でそれまで政権の座にあった反タクシン派の民主党に圧勝し、インラック氏が…

シンガポール通信−タイは遅れた民主主義国家か?

タイでは政治情勢が混沌としている。タイでは昨年から政府支持派と反政府派の対立が続いて来て、双方による大規模なデモが行われて来ており、経済にも影響を与えて来た。これに対しプラユット陸軍司令官をトップとする国軍が、5月20日にタイ全土に戒厳令…

シンガポール通信−イアン・モリス「人類5万年 文明の興亡」2

人々のコミュニケーションの仕方もしくはコミュニケーション行為を論じる時に、私は最近、東洋対西洋という視点から考えるようになった。これは私がシンガポールに移ったから持てるようになった視点だろう。日本に住んでいたら多分、日本対それ以外の国とい…

シンガポール通信—イアン・モリス「人類5万年 文明の興亡」

現在2014年3月に発売されたイアン・モリスの「人類5万年 文明の興亡」を読んでいる。大変面白く知的に興奮させてくれる本である。ここ数年、人類の歴史を数十年、数百年という短いスパンではなくて、数千年そして時には数万年という長いスパンでとらえ…

シンガポール通信−室生犀星「ふるさとは遠きにありて思ふもの」

5月ももう下旬に入ろうとしている。4月・5月はシンガポールと日本をほぼ半々の生活を送ってなかなかブログの更新を行う暇がなかった。同時に2カ所を本拠地にしてそれぞれで時間の半分を過ごすという生活もなかなか大変であるというのが正直な感想である…

シンガポール通信−スマートフォンのガラケーに対する優位性は何だろう3

前回直感的インタフェースの意味する所を、既に私たちの日常生活で実現されている使いやすく易しい操作法だけではなくて、現時点では実現されていなくても、私たちが本来持っている感覚や感性に合致している操作法の事であると述べた。そしてまたそれは別の…

シンガポール通信−スマートフォンのガラケーに対する優位性は何だろう2

前回iPhoneに代表されるスマートフォンが従来型携帯(いわゆるガラケー)と決定的に異なるのはインターネットへの接続機能やメールの読み書きの機能ではなくて(これらに関しては、両者は基本的には機能は同じである)、スマートフォンが取り入れているタッ…