2014-06-01から1ヶ月間の記事一覧

シンガポール通信—人工知能学会の名誉会員になりました

この度、人工知能学会の名誉会員に推薦されたのでその報告。人工知能学会は名前の通り、「人工知能」研究に関わる研究者たちの学会である。全体で会員数1000人ばかりのこじんまりした学会ではあるが、日本の人工知能研究の第一線の研究者が参加して、全…

シンガポール通信−アマゾンの3Dスマートフォン「Fire」に3Dテレビの盛衰を思う2

前回は、日本の電機メーカーが2010年頃に3D映像(立体映像)の特質やそれがテレビに適しているかどうかを検討する事なく、3Dテレビに熱を入れた事を批判した。2010年頃迄はテレビに関しては、日本のテレビメーカーが世界の市場を席巻しており、自…

シンガポール通信−アマゾンの3Dスマートフォン「Fire」に3Dテレビの盛衰を思う

アマゾンが、3D(立体)で画面が表示できる「Fire」と呼ばれるスマートフォンを発売すると発表したニュースを、ネットで見つけた。このニュースを見た時に最初に感じたのは、「アマゾンよ、お前もか」という感想である。同じように感じた人たちも多いのでは…

シンガポール通信−まだまだ続くSTAP細胞狂想曲

STAP細胞騒ぎの中心人物である小保方氏がネイチャーに発表した二本の論文の取り下げに同意した事で、STAP細胞騒動は終結に向かうのかと思っていたが、まだまだ騒ぎは続きそうである。12日に理化学研究所(理研)が設置した外部有識者による改革委員会が研…

シンガポール通信−京大が企業から高評価!

今日の日本経済新聞に、大変興味深い記事が載っている。企業の人事担当者から見た、新卒社員の出身大学のイメージ調査の結果である。この結果は、全上場企業の人事担当者を対象として新卒採用の社員に関して、「行動力」「対人力」「知力・学力」「独創性」…

シンガポール通信−ジョゼフ・ニーダム「中国の科学と文明」5

西洋における大航海時代は何をめざしたものだったのだろうかという疑問を前回提示した。西洋の大航海時代は、たしかに当初はポルトガルのエンリケ航海王子に主導された純粋に知識欲・冒険欲を満足させるものであったかもしれないが、すぐにその本質をあらわ…

シンガポール通信−ジョゼフ・ニーダム「中国の科学と文明」4

現在種々の面、特に科学技術の面において西洋が東洋(東洋というのは実際には中国をさす)に対して優位にある原因を、幾つか挙げてきた。これらはいずれも、儒教などに基づいており直感的・感覚的でかつ個人の活動より国家などの組織のあり方を優先する東洋…

シンガポール通信−ジョゼフ・ニーダム「中国の科学と文明」3

西洋が東洋(特に中国)に対して科学技術の面で優位に立っている事に対する理由を前回2つ説明したが、それ以外にも以下のようなものが考えられる。3.儒教以外にも仏教・老荘思想などの東洋の基本思想が、科学技術の進歩と相反する考え方となっている儒教…

シンガポール通信−ジョゼフ・ニーダム「中国の科学と文明」2

ジョゼフ・ニーダム「中国の科学と文明」では、西暦1500年頃までは中国の科学技術が西洋のそれに対して優位にあったことが述べられている事を述べた。しかし「中国の科学と文明」は、日本語訳が全11巻とともかくも大部であり、とても短時間に全体を読…

シンガポール通信−ジョゼフ・ニーダム「中国の科学と文明」

さてイアン・モリス「人類5万年 文明の興亡」を読んでいて、なぜ現在西洋が世界を支配しているのかという問いが「ニーダム問題」として知られている(もちろん歴史学者などの研究者の間で)という事を知ったので、この問題の提案者であるジョゼフ・ニーダム…

シンガポール通信−STAP細胞騒動終焉か?

しばらくSTAP細胞のニュースが途絶えていたので、とうとう日本でもこのニュースは飽きられたかと思っていたら、再びここ数日新聞、テレビ、ネットのニュースなどを賑わしているようである。事は、STAP細胞騒動の中心である理研の小保方氏がネイチャーに投稿…

シンガポール通信−イアン・モリス「人類5万年 文明の興亡」5

イアン・モリスの「人類5万年 文明の興亡」では、「社会発展指数」という定量的指数を持ち込むことによって、西洋と東洋の社会の発展の程度を直接比較する事を、紀元前14000年前から現在に至るまで行なおうという試みをしていることを前回述べた。社会…

シンガポール通信−イアン・モリス「人類5万年 文明の興亡」4

それでは、イアン・モリスが「人類5万年 文明の興亡」で述べている事をごくごくかいつまんでまとめてみよう。前にも書いたように、彼は「社会発展指数」という定量的指数を持ち込むことによって、西洋と東洋の社会の発展の程度を直接比較する事を紀元前14…