2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

シンガポール通信ーボーイング787の運行再開に思う

バッテリーの加熱・損傷問題で飛行を中止していたボーイング787の運行再開を米連邦航空局が許可した事を受けて、各航空会社が運行を順次開始するということがニュースになっている。これに関しては釈然としない人が多いのではないだろうか。問題は根本原…

シンガポール通信ーフィリップ・K・ディック「空間亀裂」創元SF文庫2

このSFは、読む人によっていろいろな読み方が出来るだろう。何よりも、いろいろなアイディアがちりばめられている。黒人大統領の誕生、人口爆発による経済の行き詰まり、人口爆発を防ぐための人工冬眠、臓器移植、公認された売春を行う人工衛星、並行宇宙に…

シンガポール通信ーフィリップ・K・ディック「空間亀裂」創元SF文庫

フィリップ・K・ディック(以下ディック)は米国のSF作家。1928年生まれで1982年に53歳で死去している。彼のSF作品は、現実世界と虚構世界が渾然としたようなストーリーを描く点に特徴がある。しかし彼のSF作品が、SFファン以外にはそれほど読まれ…

シンガポール通信ーシンガポールのギャラリーでの土佐さんの展示

私のパートナーの土佐さんが、4月19日から5月19日までシンガポールのMAD Museum of Art and Designというアートギャラリーで、作品の展示を行っている。彼女はここ10年ほどは大学などでの研究活動や教育活動に忙しく、しばらくファインアートの制作…

シンガポール通信ー岩崎育夫「物語 シンガポールの歴史」中公新書3

現在の支配政党である人民行動党は、シンガポールが自治政府を認められた時点で設立されたのであるが、その内部における英国式の政治体制実現をめざす英語教育集団と共産主義的政治体制実現をめざす華語教育集団の対立が、なぜ英語教育集団の勝利に終ったの…

シンガポール通信ー岩崎育夫「物語 シンガポールの歴史」中公新書2

シンガポールが英国の植民地として出発した国であるにもかかわらず、多くの植民地で生じたような民族主義運動がシンガポールでは起こらなかった。それは、英国がほぼ無人の島であるシンガポールを植民地化し、それに伴い中国やマレーシアから流入して来た移…

シンガポール通信ー岩崎育夫「物語 シンガポールの歴史」中公新書

シンガポールは何かと話題になる国である。一つは一人当たりのGDBで日本を抜き、その意味では最もアジアで豊かな国になった事である。また経済成長を国の最重要課題としており、そのために政治面では、基本的には一党独裁に近い政策を取っていることも大きな…

シンガポール通信ー東京にて

現在帰国中である。東京に滞在して、いくつかの企業や政府機関を訪問し、パートナーの土佐さんのシンガポールにおけるアート活動の支援をお願いするためである。残念ながら桜は先週末の激しい風雨でほぼ散ってしまっているが、まだ桜のシーズンという事で観…

シンガポール通信ーニコラス・ウェイド「5万年前」を読む:人々はなぜつながる事を望むのか5

何度も言うようであるが、現在全世界に住んでいる人類すべてが、アフリカを脱出しようと何度も試みたグループのうち約5万年前にアフリカ脱出に一度だけ成功した150人程度のグループの子孫であるというのは、私たちに不思議な感覚を与えないだろうか。こ…

シンガポール通信ーニコラス・ウェイド「5万年前」を読む:人々はなぜつながる事を望むのか4

かっては、全世界に住んでいる人類は、それぞれの地域ごとに祖先から進化してきたと考えられていた。先に述べたように、ヨーロッパではネアンデルタール人が現在のヨーロッパ人の祖先であり、アジアにおいては北京原人が祖先であると考えられていた時代があ…

シンガポール通信ーニコラス・ウェイド「5万年前」を読む:人々はなぜつながる事を望むのか3

このトピックがまだ書きかけであった事を思い出した。引き続き、人々がなぜ常につながっている事を望むのかを考えてみよう。人の遺伝情報(ヒトゲノム)の内、Y染色体が男性の系統を通して先祖から子孫へと伝えられ、またミトコンドリアゲノムが女性を通して…

シンガポール通信ーパークロイヤルホテル訪問

今年の始めに、シンガポールのチャイナタウンの一角にパークロイヤルホテルがオープンしたので、先週そのホテルをパートナーの土佐さんと訪問した。パークロイヤルホテルはシンガポール市内に他に何カ所か開業しているので、今回は単にその新しい支店が開業…

シンガポール通信—シンガポールでアート個展を企画?

私のパートナーの土佐尚子が、シンガポールで彼女のアートの展示会を開催する事を企画したいということで先週シンガポールに来たため、3日間いろいろな組織を訪問してその企画を先方と話し合った。私がシンガポールに来た5年前は、まだシンガポールはアー…