さて、アートの起原を考えているのと並行して、京都大学で興味深い講演会が行われた。テーマは「京大おもろトーク：アートな京大をめざして」というものである。（というよりはこのような講演会が開かれるという事で、私もアートの起原を考えてみようかとい…

アートの起原を考える時、人間を含めて動物が抽象的な思考、抽象的な行為を行なうことができるか否かという事を考える必要がある事を前回述べた。抽象的な思考・行為は人間に特有のものであり、人間と他の動物を区別する重要な特徴であるといわれている。た…

アートの起原を考えるときに、アルタミラ洞窟やラスコー洞窟に残された洞窟壁画が良い例である事を述べた。これらの洞窟壁画に描かれた動物の絵は、あるものは極めて写術的であり、またあるものは動物の特徴をうまく取り出して抽象的ではあるが生き生きと描…

将棋電王戦の記事を書いていた際に、将棋に「美しい手」と「美しくない手」がある事を書いた。２０１５年の将棋電王戦ではプロ棋士のチームが３勝２敗でコンピュータソフトに勝利したが、その最終戦でプロ棋士が「はめ手」を使い、それが「美しくない手」「…

前回将棋における「美しい手」「フェアな手」とは何かという事を書いた。これは将棋の世界以外でもスポーツの世界例えばプロ野球の世界などでもある話である。これは突き詰めれば「美」とは何かという事を問う事になる。そしてこれは文化による違いも出て来…

将棋の世界でコンピュータソフトが人間のプロ棋士を破るという事は、将棋のルールも論理である以上、論理の世界では人間がコンピュータの速度に叶わない事を意味しているのではないかという事を前回述べた。そしてそれは同時にこれまで神聖視されて来た将棋…

将棋電王戦とは、５つのコンピュータ将棋ソフトとプロの碁士５人が対戦して、人間の碁士が強いかそれともコンピュータソフトが強いかを決めるものである。最近の大きなニュースとして、２０１５年の電王戦では人間の棋士が３勝２敗でコンピュータソフトに勝…

それでは国家公務員の一つである大学の教員の給与は、シンガポールではどうだろうか。シンガポールでは官庁の職員の給与が企業の給与と同等もしくは以上であると書いたが、大学の教員の給与も同様である。特に日本の大学の給与が低いこともあって、私自身も…

シンガポールでは初等教育（日本では小学校にあたる）６年間が終了した時点で生徒全員が試験（PSLEと呼ばれる）を受け、その結果によってそれ以降受けられる教育課程がほぼ決まってしまう事を前回述べた。生徒全員が中等教育（日本では中学校にあたる）を受…

さてもう一つシンガポールの将来を占う際に重要な事項として、シンガポールの将来を支える優秀な人材の確保やそのための教育制度がある。天然資源のない小国シンガポールにおいて人的資源が極めて重要である事は、政府もよく認識している。そのため、優秀な…

前回書いた与党PAPの支持率が長期低落傾向にあるということは、平均GDPは高くなってもそれは一部の超富裕層がより豊かになっているだけで、一般の中間層の市民はそれほど経済的に豊かになっているという実感を持っていない事を意味している。一般市民は、シ…

リー・クアンユー亡き後のシンガポールがどうなるかをまず経済面から考えてみよう。外面上はシンガポールの経済は相変わらず好調である。次々と高層ビルが建ち、特に海に近いマリーナベイサンズ地区では真ん中を横切っていた高速道路を海沿いの場所に移設し…

先週シンガポール滞在中に、たまたま先々週に９１歳で亡くなったリー・クアンユーの国葬があった事は、すでにこのブログでも書いた。国葬の葬列をテレビで見ながら考えたのは、建国の父でありシンガポールの経済的発展を支えて来たリー・クアンユー亡きあと…