2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

シンガポール通信-アリス・ロバーツ「人類20万年 遥かなる旅路」:7

さてこの著書の感想の最後として、現生人類とネアンデルタール人の関係に関して考えてみよう。現生人類がアフリカを出たのは約8万年前と言われているが、実はそれよりずっと前に現生人類の祖先はアフリカを出てヨーロッパやアジアに拡散している。グルジア…

シンガポール通信-アリス・ロバーツ「人類20万年 遥かなる旅路」:6

アリス・ロバーツのこの著書に関して何度も書いてきたが、それはやはりこの本が読者を引き込むだけの魅力を持っているからだと思う。そしてその魅力がどこから来るかというと、最初に書いたように、この著書が現生人類がアフリカを出て地球全体に拡散してい…

シンガポール通信-アリス・ロバーツ「人類20万年 遥かなる旅路」:5

さてそれでは、現生人類が現在のベーリング海峡を越えてアメリカ大陸に移住したのはいつ頃だろうか。シベリア北部のヤナ川流域にはヤナ遺跡があり、そこでは約3万年前に現生人類が住んでいた証拠がある。一方で北アメリカの各地ではクローヴィス文化と呼ば…

シンガポール通信-アリス・ロバーツ「人類20万年 遥かなる旅路」:4

さて、約8万2000年前〜7万8000年前の間にアフリカを出た現生人類は、その後どのようにして世界に拡散して行ったのだろうか。アジアの方へ移動して行った一派の足跡を追ってみよう。現生人類の祖先がアフリカを出たのは、一時的な地球の寒冷化と乾…

シンガポール通信-アリス・ロバーツ「人類20万年 遥かなる旅路」:3

約20万年前に現在の形に進化した現生人類(ホモ・サピエンス・サピエンス)は、その後数万年間はアフリカにとどまった。これはちょうど、地球が19万年前〜13万年前までOIS6と呼ばれる氷期にあったからだと考えられる。氷河が北のほうから押し寄せアフ…

シンガポール通信-アリス・ロバーツ「人類20万年 遥かなる旅路」:2

前回も書いたように現在の人類いわゆる現生人類は、ネアンデルタール人の祖先と約50万年前に分岐し、約20万年前に現在の私たちの形態に進化したと考えられている。アリス・ロバーツのこの著書は、20万年前に生まれたとされる現生人類がその後約7万年…

シンガポール通信-アリス・ロバーツ「人類20万年 遥かなる旅路」

さて助成金の申請書提出が済んで一段落したところなので(といっても7月に入ると次の大きな助成金の申請書の作成を行う必要があるのだけれども)、しばらく中断していた読書を再開することにした。まず最初にとりあげるのは、アリス・ロバーツ「人類20万年…

シンガポール通信-舛添氏の辞職に思う

舛添氏が東京都知事の職をついに6月15日に辞職することとなった。東京都民を含め本来都知事を護るべき立場にいる自民党・公明党の与党からも、「もっと早く辞めるべきだった」という声が上がるほどなので、遅きに失したということだろう。とはいいながら…

シンガポール通信-ブログ再開

5月は全くブログ更新を行わず、気がつくと6月も後半である。5月から6月上旬にかけては、国の助成金取得に向けた研究計画書の作成を行っており、全く土日もない1ヶ月半であった。研究計画書の作成になぜそれだけの時間がかかったのかというのは、内容の…