2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧

シンガポール通信−ヨーロッパは16世紀初頭にグローバリゼーションを成し遂げていた3

15世紀の中旬から16世紀の初めにかけての歴史の中ではごく短い間に、それまでは差がなかったヨーロッパとアジアの技術的・文化的差が急激に付き始めた原因は何だろうということを考えて来たのであるが、この話題もある程度書いて来たので、そろそろ一旦…

シンガポール通信−オースン・スコット・カード「エンダーのゲーム」

オースン・スコット・カードによるSF「エンダーのゲーム」が映画化されたというのは聞いていたが、日本でもシンガポールでも忙しくて見る機会がなかった。たまたま3月中旬に帰国した際のシンガポール航空の機内エンタテインメントの新作に含まれていたので…

シンガポール通信—STAP細胞とマレーシア航空370便行方不明のニュースで明らかになった事

STAP細胞製作成功のニュースの大騒ぎが一段落して、ネット上の各新聞社のニュースではこのニュースはもう影を潜めている。2チャンネル等ではまだ盛んに議論がされているものと思われるが、表向きのメディアではもうこの件は決着がついたかのようである。そ…

シンガポール通信−ヨーロッパは16世紀初頭にグローバリゼーションを成し遂げていた2

16世紀初頭の短い期間に、ヨーロッパとアジアを含めその他の諸国との技術的・文化的較差が生じ始め、それが現在の全世界に対して文化面・技術面での欧米優位につながっている事を述べた。またその理由の1つが、15世紀終盤と16世紀初頭の40年足らず…

シンガポール通信−ヨーロッパは16世紀初頭にグローバリゼーションを成し遂げていた

中国・日本に代表されるアジアの諸国が、技術進歩においてヨーロッパ諸国に遅れるという状況が生じ始めたのはいつ頃でそれはなぜかという問題を論じて来た。和辻哲郎は「鎖国」において、その時点が15世紀の初めにヨーロッパで大航海時代が始まった頃から…

シンガポール通信—なぜ日本と中国の技術進歩はヨーロッパに比較して遅れたのか3

STAP細胞のニュースが一段落したようなので、書きかけになっていた話題に戻る事にしたい。もっとも一段落したとは言いながら、STAP細胞に関する理研の基本的な態度は「STAP細胞の製作に成功して事は間違いのない事実であるが、それを報告した論文が科学技術…

シンガポール通信−STAP細胞は本物か?−マスコミの対応と若山教授の態度に対する疑問3

今週の月曜・火曜と東京に滞在した。新しい会社を設立してビジネスを始める計画を立てており、会社の設立の手続きやオフィス探しをしていたためである。昨日の飛行機でシンガポールに戻って来たが、機中でいくつかの新聞に目を通した。2011年3月11日…

シンガポール通信−なぜ日本と中国の技術進歩はヨーロッパに比較して遅れたのか2

STAP細胞の話が続いたので、途中で途切れていた話題に戻りたい。和辻哲郎の「鎖国」では、15世紀の初めに始まるポルトガル・スペインによって主導されて始まる大航海時代から、17世紀の初めに家康の鎖国令(1635年)によって完成する日本の鎖国まで…

シンガポール通信−STAP細胞は本物か?−マスコミの対応と若山教授の態度に対する疑問2

さらに理研の取っている態度も解せない。現在問題になっている論文の共著者の多くは理研に所属している。ということはこの研究を行っている事、このSTAP細胞製作成功という成果をあげたこと、さらには成果を報じた論文を発表した事に関して責任を持つ立場の…

シンガポール通信−STAP細胞は本物か?:マスコミの対応と若山教授の態度に関する疑問

現在帰国して東京に来ている。4月に友人のシンガポール人と一緒に会社を設立しようと言う事になり、その下見に彼を連れて東京の中をあちこちと廻っている。ホテルでニュースを見ているとまたまたSTAP細胞に関するニュースである。今回は、1月に英科学誌「…

シンガポール通信—STAP細胞は本物か?−2

前回、STAP細胞の発見に関する論文に関して、他人の論文からの記述の借用や画像の不適切な使用等の論文作成に関する問題点が指摘されている事を述べた。そして科学技術分野では先人の成果の上に自分の成果を追加して行くのが基本的な方法論であり、その意味…

シンガポール通信−STAP細胞は本物か?

和辻哲郎の「鎖国」をテーマにした話題が続いているのて、このあたりで少し違った話題を。理研の小保方晴子さんの発見したSTAP細胞が大きな話題を集めている。この研究成果は生後1週間以内のマウスの細胞を弱酸性の溶液に30分程度浸す事により、様々な組…

シンガポール通信—なぜ日本と中国の技術進歩はヨーロッパに比較して遅れたのか

さて和辻哲郎の「鎖国」を取りあげて長々と論じて来たので、その内容について論じるのはこの辺りで打ち止めにしたい。代わりに、この本を読むきっかけとなった最初の問題を再び取りあげてみたい。それは、現在欧米社会が特に科学技術の面で他の国々に先行し…

シンガポール通信−和辻哲郎「鎖国」6

そしてこのポルトガルの動きに対抗するように、スペインも同様に新しい航路を求めて航海に乗り出した。ポルトガルが東回り航路を取ってインド・東南アジアに到達したのに対抗して、スペインは西回りの航路を取ってアジアに到達しようとしたのである。当時地…

シンガポール通信−和辻哲郎「鎖国」5

前回、15世紀の初め頃までは、ヨーロッパに比較して中国の方が技術的に進んでいたという事を述べた。そしてその例として、明代における1405年〜1433年の鄭和による南海大遠征に用いられた船の規模(8000トン)が、その半世紀年以上後のヴァス…

シンガポール通信−和辻哲郎「鎖国」4

さて先に述べたように、和辻哲郎には「風土」という優れた著作がある。これは土地の風土すなわち、気候や地理的な特徴がその土地に住む人たちの文化すなわち、日々の日常生活における暮らし方や文芸・美術・宗教・風習等に大きな影響を与えるというものであ…

シンガポール通信—和辻哲郎「鎖国」3

前回書いたように、西洋と東洋の比較の上で現在起こっていることを理解しようというのは、私が最近興味を持っている考え方である。現在出版の準備を進めている私の著書「アジア化する世界」の内容も、そのような考え方から浮かんで来た考え方のもとに書き進…

シンガポール通信−和辻哲郎「鎖国」2

和辻哲郎の「鎖国」は、彼の著書の中では極めて分かりやすく面白い本である。私にとっては「古寺巡礼」に匹敵するかそれ以上に興味を持って読んだ本であり、一挙に読み終えることができた。その理由の1つは、海外との交流を断ち切る鎖国という特殊な政策を…