シンガポール通信-高畑裕太容疑者の逮捕に思う:犯罪者は異常者か?

俳優の高畑裕太容疑者が、23日未明宿泊している前橋市内のビジネスホテルで女性従業員を部屋に連れ込み性的暴行を加えると共に、被害者に傷を負わせたとして逮捕された事件が報じられている。かなりの売れっ子である高畑裕太容疑者は、数多くのテレビ番組…

シンガポール通信-エンタテインメントに関するハンドブックの編集2

前回、「デジタルゲームとエンタテインメント技術」というタイトルのハンドブックを編集する際に、ハンドブックの約10個の項目ごとの助編者を決めるのが大変であったという経験を述べたけれども、実際にもっと大変なのはそれ以降であることも編集作業に関…

シンガポール通信-エンタテインメントに関するハンドブックの編集

ほぼ3年近くかかったHandbook on Digital Games and Entertainment Technologies(デジタルゲームとエンタテインメント技術に関するハンドブック)という本の編集が、なんとかおわってほっとしている。ハンドブックは「便覧」などと訳されることが多いが、…

シンガポール通信-相模原の障害者施設における大量殺人事件に思う2

前回、相模原の障害者施設で起きた大量殺人事件に関して、私たちが障害者を「障害者=健常者—なんらかの機能・能力」という見方で見ているのではないかと書いた。これは別の言い方をすれば、私たちが障害者を一般の健常者に比較して劣った存在として見ている…

シンガポール通信ー相模原の障害者施設における大量殺人事件に思う

世の中はリオ・デ・ジャネイロで開催されているオリンピック一色で沸き立っており、相模原の障害者施設で起こった大量殺人事件のことなどは、全く忘れてしまったかのようである。しかしこの事件は極めて重大な問題を、私たちに突きつけているのではないだろ…

シンガポール通信-QS世界大学ランキング:2

シンガポールの2大学、NUSとNTUがQS世界大学ランキングで12位、13位とトップテンを狙える位置に上昇してきていることを前回述べた。それと共に、特にNTUに関してはまだ世界の多くの有名大学と型を並べる所までは、実力的には来ていないと私が感じている…

シンガポール通信-QS世界大学ランキング

Times Higher Education (THE)による世界大学ランキングについて論じたので、ついでにもう一つの世界大学ランキングであるQS社による世界大学ランキングの最新の結果に関しても見てみよう。QS社は、正式名はクアクアレリ・シモンズ社という英国の大学評価機…

シンガポール通信-ポケモンGOのブームはすぐに終焉する?

さて、ポケモンGOのヒットに関する分析を行った際に、このヒットはそれほど続かないだろうと予想した。今回はなぜそのように考えるかを述べてみよう。まず第一に、ポケモンGOはゲームとしては単純であることがあげられる。特定の場所に行って敵キャラクタも…

シンガポール通信-世界大学ランキング再び:2

前回は最近発表されたTHE世界大学ランキングに関して、アジアの代表的な10大学のうち日本(東大、京大)、韓国(ソウル大、KAIST)の4校が2015年から2016年にかけて大きく順位を下げていることを図を交えながら示した。 さてそれではこれらの4大…

シンガポール通信-世界大学ランキング再び

今年も世界大学ランキングがいくつかの機関から発表される時期になった。日本の大学は、世界大学ランキングの結果を意識的に重要視しないかもしくは無視しようとしているが、マスコミの方が放って置かないようである。世界大学ランキングのうちTimes Higher …

シンガポール通信-ポケモンGO狂想曲

米国で配信が始まったゲーム「ポケモンGO」がとうとう日本に上陸して、大きなブームになっているらしい。今回はこのブームの背景にあるもの、そしてこのブームが今後どうなるかを考えてみたい。「ポケモンGO」は、ゲームとしては極めてシンプルなゲームであ…

シンガポール通信-ポケモンGO狂想曲:2

前回は現在大きな話題になっている「ポケモンGO」の基本コンセプトが、ゲームとしては敵キャラと闘ったりアイテムをゲットするという、ゲームの本流ともいうべきシンプルなものであることを述べた。そしてその大きな特徴が、ゲーム機やスマホなどの中のゲー…

シンガポール通信-バングラデシュのテロ事件

ついに恐れていたことが起こったというべきか。ある意味で日本人を対象としたともいえるテロ事件がバングラデシュで起こった。バングラデシュの首都ダッカで、7月1日夜高級飲食店に武装グループが押し入って、客などを人質にして立てこもった。立てこもり…

シンガポール通信-アリス・ロバーツ「人類20万年 遥かなる旅路」:7

さてこの著書の感想の最後として、現生人類とネアンデルタール人の関係に関して考えてみよう。現生人類がアフリカを出たのは約8万年前と言われているが、実はそれよりずっと前に現生人類の祖先はアフリカを出てヨーロッパやアジアに拡散している。グルジア…

シンガポール通信-アリス・ロバーツ「人類20万年 遥かなる旅路」:6

アリス・ロバーツのこの著書に関して何度も書いてきたが、それはやはりこの本が読者を引き込むだけの魅力を持っているからだと思う。そしてその魅力がどこから来るかというと、最初に書いたように、この著書が現生人類がアフリカを出て地球全体に拡散してい…

シンガポール通信-アリス・ロバーツ「人類20万年 遥かなる旅路」:5

さてそれでは、現生人類が現在のベーリング海峡を越えてアメリカ大陸に移住したのはいつ頃だろうか。シベリア北部のヤナ川流域にはヤナ遺跡があり、そこでは約3万年前に現生人類が住んでいた証拠がある。一方で北アメリカの各地ではクローヴィス文化と呼ば…

シンガポール通信-アリス・ロバーツ「人類20万年 遥かなる旅路」:4

さて、約8万2000年前〜7万8000年前の間にアフリカを出た現生人類は、その後どのようにして世界に拡散して行ったのだろうか。アジアの方へ移動して行った一派の足跡を追ってみよう。現生人類の祖先がアフリカを出たのは、一時的な地球の寒冷化と乾…

シンガポール通信-アリス・ロバーツ「人類20万年 遥かなる旅路」:3

約20万年前に現在の形に進化した現生人類(ホモ・サピエンス・サピエンス)は、その後数万年間はアフリカにとどまった。これはちょうど、地球が19万年前〜13万年前までOIS6と呼ばれる氷期にあったからだと考えられる。氷河が北のほうから押し寄せアフ…

シンガポール通信-アリス・ロバーツ「人類20万年 遥かなる旅路」:2

前回も書いたように現在の人類いわゆる現生人類は、ネアンデルタール人の祖先と約50万年前に分岐し、約20万年前に現在の私たちの形態に進化したと考えられている。アリス・ロバーツのこの著書は、20万年前に生まれたとされる現生人類がその後約7万年…

シンガポール通信-アリス・ロバーツ「人類20万年 遥かなる旅路」

さて助成金の申請書提出が済んで一段落したところなので(といっても7月に入ると次の大きな助成金の申請書の作成を行う必要があるのだけれども)、しばらく中断していた読書を再開することにした。まず最初にとりあげるのは、アリス・ロバーツ「人類20万年…

シンガポール通信-舛添氏の辞職に思う

舛添氏が東京都知事の職をついに6月15日に辞職することとなった。東京都民を含め本来都知事を護るべき立場にいる自民党・公明党の与党からも、「もっと早く辞めるべきだった」という声が上がるほどなので、遅きに失したということだろう。とはいいながら…

シンガポール通信-ブログ再開

5月は全くブログ更新を行わず、気がつくと6月も後半である。5月から6月上旬にかけては、国の助成金取得に向けた研究計画書の作成を行っており、全く土日もない1ヶ月半であった。研究計画書の作成になぜそれだけの時間がかかったのかというのは、内容の…

シンガポール通信-ウィリアム・H・マクニール、ジョン・R・マクニール「世界史」:2

ウィリアム・H・マクニールとジョン・R・マクニールは、親子でともに歴史学者である。ウィリアム・H・マクニールは1917年生まれでシカゴ大学名誉教授。このブログでも紹介した、「戦争の世界史」などの著書の著者としてよく知られている。1917年生ま…

シンガポール通信-ウィリアム・H・マクニール、ジョン・R・マクニール「世界史」

以前にこのブログで、ウィリアム・H・マクニール著の「戦争の世界史」を紹介した。それまでの世界史に関する書物の大半は、世界史とは言いながらヨーロッパ・中国・アメリカなどの特定の国もしくは地域の歴史の記述が基本となっており、その意味では複数の地…

シンガポール通信-日産の自動運転機能は本当に便利だろうか?

自動運転をめざした技術開発をグーグルや世界の車メーカーが競って行っている。すでに、前方に障害物があることを検出した場合に自動的にブレーキをかける衝突防止機能は多くの車に取り入れられており、実用化段階に入っているといえよう。また渋滞時などに…

シンガポール通信-シャープが携帯ロボット発売:シャープよお前もか!

シャープがロボット型の携帯電話RoboHoN(ロボホン)を5月26日に発売すると発表した。価格は19万8000円で、このブログでも取り上げたソフトバンクのペッパーとほぼ同じ価格である。開発は、ロボットクリエーターとしてよく知られている高橋智隆氏と…

シンガポール通信-男子バトミントン桃田選手の勘違い:2

前回はロジェ・カイヨワによる遊びの分類を示した。そしてスポーツは、「体力もしくは知力によって勝ち負けを決める遊び」であり、これはカイヨワの分類学では「アゴーン」と呼ばれることを述べた。これに対し、ギャンブルは「運で勝ち負けを決める遊び」で…

シンガポール通信-男子バトミントン桃田選手の勘違い

男子バトミントンの日本の新旧のエースである桃田賢斗選手と田児賢一選手が、違法な裏カジノ店に常習的に出入りしていたことが判明して大きな話題になっている。特に桃田選手は世界ランキング2位まで登詰めたこともあり、今年のリオデジャネイロオリンピッ…

シンガポール通信-ペッパーはソフトバンクの事業として成り立つか2

ペッパーに関する記事を読んでいると、いくつかの疑問を感じる。その最も大きなものは前回も書いたように、果たしてコミュニケーションロボットとしてこれまで発表されたロボットとペッパーは何が違うのかということである。第二次ロボットブームではかなり…

シンガポール通信-ペッパーはソフトバンクの事業として成り立つか

ソフトバンクが人型ロボットが産業として成り立つと判断しているのではないかということを前回述べた。それは、ソフトバンクがペッパーと呼んでいるロボットの製造・販売を行っている手法が、まさにロボット事業を自社のビジネスの一つとして推進しようとし…