シンガポール通信-ただ今一時帰国中

しばらくブログの更新を行って来なかった。前回ブログの更新を行ったのが10月14日なので、ほぼ二ヶ月間ブログの更新を行わなかったことになる。まあその間いろいろと忙しかったからといえば聞こえはいいが、忙しくともたかだか数百語のブログを書く時間を捻りだせないわけはないので、結局のところ私がサボっていたということである。

とりあえずは、忙しかったということの説明をしてサボっていたことの言い訳をしたい。ことは、私のパートナーの土佐尚子が文化庁から2016年度の文化交流使に任命されたことから始まった。文化庁は、毎年芸術や文化に携わる人々を何人か文化交流使として指名し、その人たちに海外で講演や展示活動を行ってもらい、日本の文化を海外にアピール・理解してもらうことに資するという活動を行っている。

この活動は平成15年度に始まり、毎年5名〜10名程度の人たちが文化交流使に任命されている。任命された人たちは数ヶ月〜1年間程度の長期間海外に出向き、講演や自らの芸術制作・展示などを通して日本文化を海外の人たちに伝え、海外の人たちの日本文化に対する理解を深めてもらおうとする活動を行うわけである。

日本文化の海外における理解を深めてもらおうという趣旨なので、当然日本の伝統文化に携わる人たちが大半を占めている。これまで能楽師日本画家、日本舞踊家華道家、茶道家、落語家などの方々が文化交流使に任命されている。と同時に日本の現代文化・芸術に携わる方々もそれほど多くはないが任命される例もある。今回土佐が任命されたのは、日本文化を現代的に表現するメディアアーティストとして活発に活動しているのを評価されて任命されたのだと推測される。

どの程度の期間海外に出かけるか、また一箇所に滞在しながらそこを拠点として活動を行うかそれとも転々と場所を変えながら活動を行うかは、それぞれの文化交流使にまかされている。とはいいながら、大半の文化交流使の方々は国内での活動を中心にしてきたわけであるから、海外での長期間の活動をどう行うかはなかなか難しい問題である。

もちろん文化庁もそれをサポートすることは行ってくれるわけであり、各国の大使館等と連絡を取りながら、それぞれの文化交流使の招聘に積極的な国などの候補を提示してくれる。したがって文化交流使は文化庁の担当者と相談しながら、行き先や滞在期間を決めることになる。

土佐の場合は大学に籍を置いていることもあり、これまで国際会議などの場で講演したり国際会議に付随した展示において作品展示を行うなどの活動をしてきたので、比較的海外に知人は多い。それらのルートを活用すれば比較的簡単にスケジュールが決まるものと思っていたが、なかなかそうは問屋がおろさなかった。

というのも、国際会議での講演や展示は比較的気軽に行えるが、文化交流使となると日本政府の活動となるので、受け手の側もあまり気楽に引き受けてくれなくなる。したがって知人を通して海外での講演・展示などの話を進めるのと、文化庁から海外の日本大使館を通して海外の日本文化センターやジャパンソサイアティなどを紹介してもらい、そこの担当の方々と相談しながら講演・展示の可能性を追求していくのとの二つの方向から活動スケジュールを決めていくという方法をとることとなった。

そのため、活動を開始するのが2016年度の後半にずれこんでしまい、10月後半から海外に出かけることとなった。とはいいながら、上記のような二つの方向からのアプローチを並行して進めるという作戦をとった結果、行き先はかなりバラエティに富むこととなった。

具体的には、訪問し滞在して活動を行う都市は、順にロンドン、パリ、ニューヨーク、シンガポール、ロサンゼルス、バンコク(タイ)、マニラ(フィリピン)、オークランドニュージーランド)と7カ国8都市になる。東に行ったり西に行ったりを繰り返すことになっているが、これは受け入れ側の時期的な都合などによるものでしかたがないだろう。

日本を出発したのは10月27日でロンドンに1ヶ月少し滞在して現在一時帰国しているところである。次回はロンドンを拠点とした活動について報告したい。



今年度の文化交流使(文化庁のwebから)



「はるか」に乗って京都駅から関空に向かうところ