シンガポール通信−「サウンドオブ生け花」のプロジェクションマッピングがグッドデザイン賞を受賞

私のパートナーの土佐尚子が今年1月にシンガポールで行ったビデオアート「サウンドオブ生け花」が、2014年度のグッドデザイン賞を受賞した。これ自体はありがたいことである。

グッドデザイン賞は、公益財団法人日本デザイン振興会が毎年その年に発表されたデザインの内から優れたものに贈る賞である。デザインというからには基本的には形を持った「モノ」に対して贈られるものであり、プロジェクションマッピングといういわばイベントに送られるというのはあまり例がないらしい。

当然応募したこちら側も、プロジェクションマッピングというイベントがグッドデザイン賞に適しているかどうかわからない。そのため、プロジェクションマッピングで申し込むか純粋に「サウンドオブ生け花」というコンテンツだけで申し込むかだいぶ迷った。結果としてプロジェクションマッピングで応募してみたら、何とか通ったというのが実情である。また会社としての申し込みが期待されているようなので、土佐個人ではなくて我々の会社NTアソシエイツで申し込んだ。

後で分類を見てみると建築の部門に分類されていた。なるほど建物の外壁にプロジェクションすることにより建物の外部デザインを変える手法であると、選定委員には解釈してもらったようである。

11月の初めに東京ミッドタウンで受賞したデザインの展示と表彰式があるというので、土佐と一緒に出かけた。ところが受賞したデザインの数が多いこともあって(約3600件の応募から約1200件が選ばれたとの事である)、会場が大変わかりにくい。

ただでさえわかりにくい東京ミッドタウンの中に、何カ所にも分かれて受賞作品が展示してある。しかも一部は有料で一部は無料である。さらには受賞作品の表彰式やパーティは東京ミッドタウン内のリッツ・カールトン東京で行われる。

事前に案内をもらっている受賞者でも迷うほどだから、一般の来場者にとっては何とも解りにくい展示会ではあるまいか。私の小学校時代の同級生が東京に住んでいて連絡をとりあっているので、この機会に彼にこの展示に来るように誘ってみた。
後で聞いた所によると、奥さんと出かけたのであるが場所がわからず入場料二人分2000円を払わされたが、我々の受賞作品が展示してあるスペースは無料で、無駄金を使ったと憤慨していた。

私の印象からしても、この展示会はどうもデザイン業界に詳しい業界人向けのイベントであって、一般の人に見てもらおうという意識が薄いのではという気がした。新しいデザインを展示し一般の人に見てもらういい機会なので、もう少し一般の人が気楽に来て楽しめる展示会にしてほしいものである。

とはいいながらグッドデザインはよく知られた賞であって、受賞後は新聞社などの多くのマスコミからデザイン賞受賞の機会に会社の広告を出さないかというにしないかという誘いを受け取った。さすがグッドデザイン賞の威力である。



これは特に優れたデザインに贈られる金賞を受賞した作品のコーナー。これはダイハツの新しい軽のスポーツカー「コパン」。



同じく金賞を受賞したマツダの乗用車「デミオ」。この車は日本カー・オブ・ジ・イヤーも受賞している。



同じく金賞を受賞したソニーの超短距離4Kプロジェクター。ソニーの久々の新技術に基づいた優れた商品だと思う。美術館などでプロジェクターの設置などにあまりスペースが取れない場合に極めて有効だと思われる。



こちらは一般の受賞作品の展示会場。数が多いので複数の展示会場に分かれており、入場無料であるが展示場所が分かりにくい難点がある。



これは受賞した「サウンドオブ生け花」のプロジェクションマッピングのパネル。せっかくグッドデザイン賞を受賞したのにパネル1枚の展示というのは少々寂しい。



とは言いながら一応記念写真。



こちらはリッツ・カールトン東京における表彰式会場の様子。



土佐が審査員であるNHKの中谷氏から表彰状を受け取っている所。



パーティ会場は大盛り上がり。大半が企業のデザイン部門の人達のようである。