シンガポール通信ーシンガポールのギャラリーでの土佐さんの展示

私のパートナーの土佐さんが、4月19日から5月19日までシンガポールのMAD Museum of Art and Designというアートギャラリーで、作品の展示を行っている。

彼女はここ10年ほどは大学などでの研究活動や教育活動に忙しく、しばらくファインアートの制作から遠ざかっていたが、2年ほど前から再びファインアートの制作・展示・販売に熱意を持ち始め、ここ1年ほどでいくつかのアート展示会等に自分の作品を出展して来た。

具体的には最近約1年で以下のような展示を行っている。

2012年1月:大規模なアートフェアであるArtStege Singapore 2012への出展
2012年5月〜8月:韓国で行われた万博であるYeosu Expo 2012への出展
2012年11月:京都ハイアットリジェンシーホテルにおける個展
2013年1月:シンガポールコンラッドホテルで行われたホテルアートフェアであるWorlds Apart Fairへの出展
2013年2月:香港で行われたホテルアートフェアであるAsia Hotel Art Fair 2013への出展
2013年4月〜5月:今回のMAD Museum of Art Designにおける展示

1年に3回さらにそれ以上もアート展示を行うというのは、私達研究者・技術者が国際会議などで研究発表を行うのと同じ程度の頻度である。国際会議の発表がたかだか数十分のプレゼンテーションですむのに比較すると、展示準備・会期中の対応などを考えると数倍の労力を要すると考えられるので、私のパートナーという立場を離れて第三者的に見てもたいした行動力であると認めざるを得ない。

今回の展示を行っているMAD Museum of Art and Designというのはシンガポールでもかなり名の知れたギャラリーとの事でその分対応にも気を使う事が多い。今回の展示を企画してくれたのは、1月のコンラッドホテルで知り合いになった若手のギャラリストであり、彼の知っているベトナムの若手の彫刻家の製作する仏像と、土佐さんの京都を対象にしたフォトアートの組み合わせが面白いのではという彼のアイディアで実現した。

このブログでも何度か書いたが、シンガポールは最近政府の肝いりでアートに力を入れ始めている。しかし残念ながらトップダウンの政策だけでは本当のアート好きの市民はなかなか育たない。現状では、派手さやポップさまたは日本の売りである「かわいさ」などを前面に出したアートに人々の関心が集まっており、仏像や京都持つ深い静けさなどがシンガポールで受け入れられるだろうかという事も含めて、私達にとってもいろいろと期待する所の多い展示会である。



ギャラリーの入り口。正面にベトナムの彫刻家による仏像、左側には今回のアート展示の説明。



入って右側の展示。土佐さんの雲をモチーフにしたアートとベトナムの彫刻家による涅槃像。なかなか面白い取り合わせである。



上記の組み合わせをモチーフにクッションにしたもの。ギャラリー付属のアートショップで販売している。



関係者による記念写真。左から土佐さん、私、ベトナムの若手彫刻家であるNguyon Tuan、彼の通訳。



土佐さんの京都を表現したフォトアートとNguyon Tuanの仏像。



これも二人の作品の別の組み合わせ。まったく何の関係もないアーティスト二人の作品であるが、うまくマッチしており独特の雰囲気を醸し出している。



この京都の寺をモチーフにした作品は土佐さんのお気に入りらしい。



Nguyon Tuanと土佐さん。Nguyon Tuanはまだ30才になったばかりの若手のアーティストで、一見した所はいかにも最近の若者であるが、大変澄んだ目をしているのが印象に残った。ベトナムハノイの出身である。私と土佐さんも数年前にハノイを訪問したので、ハノイの話に花が咲いた。



アート展示会が開催される前日の準備をしている所にDesign SingaporeのディレクタであるJeffrey Hohが来てくれた。Design Singaporeはシンガポールの政府の部門で、シンガポールにおけるデザインの振興を目的とした部門である。私達の数年前からの知り合いであり、今回土佐さんが展示を行うという事で様子を見に来てくれた。