シンガポール通信—さらばシンガポール2

さて最後にシンガポールでの住まいを紹介。シンガポールに来てからずっとシンガポール国立大(NUS)の家族寮に住んでいたが、最後にシンガポールの一般の人が住んでいる環境を体験したいと思い、昨年4月にいわゆるコンドミニアムを借りる事とした。コンドミニアム略してコンドは日本で言えばマンションに当たるだろう。

昨今シンガポールは住宅の価格が高騰しており、コンドミニアムを買おうとすれば日本円で1億円が最低価格との事である。そのため賃貸価格も高騰しており、日本円で月20万円以下で借りる事はほぼ不可能、月30万円以上が常識のようである。私もできるだけ安い物件をという事で知り合いにいくつかの業者を紹介してもらって一ヶ月ほどかけて何軒か見てまわった。

繁華街に近いと30万円出しても大きなコンドミニアムを共有という状況である。結局少し繁華街を外れたハーバーフロントの近くの新築のコンドミニアムを借りる事にした。新築というのはいいのだが、下見をして驚いたのはともかく狭い事である。日本と違って欧米仕様の広い部屋を想像していたが、日本のマンション以上に狭い。それで月35万円近くするのだから驚きである。

聞いてみると、最近シンガポールは物件の値上がりが激しく、それに伴って敷地面積がどんどん狭くなっているとの事である。かって日本の家はウサギ小屋などと揶揄されたが、シンガポールコンドミニアムはまさにウサギ小屋である。しかもコンドミニアムは通常地元のシンガポール人が借りるよりは海外から来ている人が借りる場合が多いので、私のコンドミニアムも住んでいるほとんどは欧米の人間である。欧米仕様の広い家に慣れている彼らにとってこのような狭い家に住むのは居心地が悪いのではと思うのであるが、結構皆さん狭いコンドミニアム暮らしをエンジョイしているようである。

シンガポールにはコンドミニアムの他にHDB(日本で言うアパート)という住居もあり、こちらはコンドミニアムに比較してそれなりに家賃も安い。コンドミニアムとHDBを区別しているのは何かというと、入り口に24時間セキュリティの人間が居る事とプールがあることだとのことである。

私が住んでいるコンドミニアムも比較的小さな建物の割には立派なプールが付いている。長さは50メートル近くあるだろうか。すでに退職したとおぼしき欧米人が朝から1日中プールサイドに寝そべって本を読んだりメールをチェックしたりしている。これを見ていると老後をシンガポールで過ごしている欧米人がそこそこいるようである。もっとも私もプールは結構利用させてもらったが。

という訳でシンガポールの定住生活もそろそろ終わりであるが、今後も仕事の関係でシンガポールには月1度はくる予定なので、私のブログ「シンガポール通信」も当面はこのタイトルのまま続ける事としたい。



キッチン。ちょっとした調理はともかく本格的な調理には手狭。



シャワー室とトイレ。



寝室。シンガポールはこれまで2寝室、3寝室、4寝室の家が普通であったが、最近は1寝室のコンドミニアムが増えつつあるとのことである。



居間兼書斎。これだけでもそれほど広くないというのがよくわかる。



ベランダから外を眺める。このコンドミニアムシンガポールで唯一の山と言えるMount Faberの南斜面に建っておりまわりの自然環境はなかなかのものである。



最近のコンドミニアムは、部屋は狭いが代わりに共用設備に金をかけているようである。私の住んでいるコンドミニアムにも立派なジャグジーが備えてある。



そしてこれもまたコンドミニアムの規模に比較するとちょっとリッチなプール。長さは50mはありそうである。