シンガポール通信ーNUSの新しい家族寮完成

だいぶ前のブログで紹介したが、私が住んでいるNUSの家族寮で新しいアパート群の建設が進んでいたが、最近ほぼ完成した。3棟からなるアパート群で、いずれのアパートも24階建ての高いビルである。

NUSでは最近新しいキャンパスを作り、一般教養の授業を強化し東南アジアや欧米の学生を引き寄せようとしている。そのためには新しい教員を採用する必要がある。また、シンガポールでは家賃の高騰が激しいので、これまで自分でマンションなどを借りて住んでいた教員から、大学の家族寮に住みたいという強い要望がある。私の住んでいる2ベッドルームの家族寮は家賃が日本円で10万円弱。しかしこの広さのアパートを借りるとシンガポールの最近の基準では30万円程度はすると聞いた事がある。さすがに大学の教員で毎月30万円の家賃を払う事は困難だろう。

新しいアパート群はこれらの要望に応えようとするものだと思われる。現在の家族寮の敷地内の空きスペースを利用して建てているわけであるが、広い空きスペースがあったとはいえ3棟のアパートを建てるとなるとさすがに少し詰めて建てる必要があり、敷地内が少々せせこましい感じがして来た気もする。もちろんその分、家族寮の敷地全体の緑化を進めたりしてくれるので、住む方としては歓迎ではあるが。

新しいビルは、遠くから見る分には大変立派な造りである。こちらでは高級アパートをコンドミニアムと呼んでいるが、それにふさわしい造りである。しかし近寄ってみると、使われている建築材が極めて細く見えるため、地震には大丈夫だろうかと思ってしまう。東日本大震災のような大地震がくれば、ひとたまりもないのではないだろうか。多分シンガポールは基本的には地震のない国なので通用する建築法なのだろう。

というわけで、見た目は良いけれど、どうも安全上は私が住んでいる古いアパートの方がいいのではと思えてくる。これらの新しいアパートは、上に書いたように新規に雇用される教員や、これまで自分でアパートを探して住んでいた教員に優先的に提供されると聞いている。ところが、現在のアパートに住んでいる教員から自分たちにこそ優先権があるべきでるという意見が出て来ており、現在の家族寮に住んでいる人たちの間で署名運動が起こっており、大学に対して要望書を出すらしい。

見た目はともかくとして、私は現在のアパートの方が住み心地が良いと予想しており、新しいアパートに移りたいとも思わない。しかしさすがにシンガポール人は新しいもの好きであるというのがこの辺りからうかがえる。



新しい家族寮のビル群を大学側から望む。遠くから見ると大変立派な「コンドミニアム」である。



家族寮への入り口。入り口のゲートも新設された。



新しいビルを近くで見る。なかなかしゃれた外見に見える。



同じビルを横から見たところ。鉄筋コンクリートの柱を中心にした造りではなくて、薄いコンクリートの壁材を組み合わせた造りである事がわかる。大きな地震が来たらどうなるのだろうと思ってしまう。



敷地内のスーパーも、これまでは「ミニマート」という名で家族経営していたスーパーが入っていたが、新しくCold Storageが入っている。Cold Strageはシンガポール最大のスーパーチェーンである。



これは私が住んでいる古いアパート。高さも13階建てとそれほど高くなく、こちらの方が安全そうに見える。



古いアパート越しに新しいアパート群を見たところ。