シンガポール通信-スターウォーズ・フォースの覚醒

昨年暮れから全世界で公開され大きな話題となっていたスターウォーズ・フォースの覚醒を見てきた。すでに公開されてから二か月たっており京都でも前週で上映が終わるというので、一度は見ておかなければということで、寒い中出かけた。

スターウォーズ全9作はそれぞれ3作づつの3部に分かれており、本作品はそのうち第3部の第1作に当たる。すでに1部、2部の3作は公開されているので、したがって本作品は全体からいうと第7番目(エピソード7)に当たる。

前回のスターウォーズの公開からかなり時間が経ったこともあり、本作品の公開は全世界のスターウォーズファンから待ち望まれていたものである。そのためか最初に公開された米国では、初日の売り上げに関して過去最高であったという。また全世界での売り上げも現時点では「タイタニック」、「アバター」に次いで第3位とのことで、全世界のスターウォーズファンからは熱狂的に迎え入れられたわけである。

前作まではジョージ・ルーカスが監督などで制作に深く関わっていたが、今回はルーカスフィルムがディズニーに買収されたこともあって、彼は制作現場には関わらず、エイブラムス監督が本作の監督を務めた。

さて本作を見た率直な感想を言うと、大変に楽しめた反面物足りなさを感じた面も大きい。まず楽しめた点からいうと、なんといっても監督が変わってもスターウォーズの世界観が忠実に再現されているということであろう。特に本作品は、第2部の3作(エピソード4〜6)の続きの物語という要素が強い。特に第2部の第1作であるエピソード4において提示された世界観を継承することを、エイブラムス監督は強く意識しているようである。

スターウォーズファンにとってみると、お気に入りのスターがお気に入りの役で出てくるのに再び出会えるということで、ある意味でたまらないと感じられるのだろう。私自身はスターウォーズの大ファンというわけではないが、第2部で活躍した昔懐かしいスターが年をとってはいるが元気に今回の作品で活躍しているのを見るのは嬉しい限りであった。

まずは、ハリソン・フォード演じるハンク・ソロが元気な姿でチューバッカを従えて現れる。すでに70歳をこえているが、昔とあまり変わらない顔立ちで現れた時には懐かしい友達にばったりあったような気持ちになってジンとなってしまう。しかもエピソード4〜6でも大活躍した超光速で飛行できるミレニアム・ファルコン号が未だに健在で、ハンク・ソロ、チューバッカ、さらには本作の女性主人公であるレイや黒人の男性主人公であるフィンを乗せて大活躍する。

さらにはエピソード4〜6で活躍したレイヤー姫が現れる。年をとったとはいえまだまだ昔の美しさと可愛らしさを保っている。しかもエピソード4〜6ではどちらかというと飾り物的な存在だったのに、本作ではなんとレジスタンス軍を指揮する将軍という役割である。出演時間も長いしセリフも多い。

しかもなんとハンク・ソロと恋仲であったという設定で、二人の間に子供があるという設定である。さらにその子供カイロ・レンはどのような経緯か不明であるが、かっての帝国軍の後継であるファースト・オーダーにおいてダース・ベイダーの後継として悪を代表する立場に立っている。

ファースト・オーダーの根拠地であるスターキラー基地を破壊すべくチューバッカ、レイ、フィンと共に基地に侵入したハンク・ソロがそこで自分の息子であるカイロ・レンに出会い、悪のサイドに引き込まれたカイロ・レンを善のサイドに引き戻そうとし、カイロ・レンも一瞬その気になるが結局ハンク・ソロをライトセーバーで殺してしまうという場面がこの映画の一つのクライマックスであろう。

エピソード4〜6で大活躍しこのシリーズを支える役柄の一人であるハンク・ソロが死んでしまうというのは大変残念であるが、新しいシリーズの始まりにあたっては新しいレイやフィンのような新しい役柄に活躍を譲っていくという意味でしかたがないのかもしれない。

そして最後に、本作で最後まで謎に包まれていたルーク・スカイウォーカーが現れる。彼はジェダイの騎士団を再興しようとしていたのに失敗し姿を隠しているという設定である。敵を倒したレイ達がルークの居所を示す地図を手に入れ、レイが遠く離れた星でいわば隠遁生活を送っているルークを探しに出かけ、最後に出会うところでこの映画は終わっている。

ルークはエピソード4〜6と同じくマーク・ハミルが演じている。エピソード4から40年近くたっており、当時20代であったマーク・ハミルも60代半ば。もっとも60代半ばにしては少々老け込んでおり、70を越えてなお若々しいハリソン・フォードと比較すると年をとったという感じがする。もっともジェダイの騎士団を再興しようとする役割からすると、この程度の老け込み方のほうが貫禄があっていいのかもしれない。