シンガポール通信-ハイアットリジェンシー京都ホテルにおけるプロジェクションマッピング

10月23日にハイアットリジェンシー京都ホテルにおいて、土佐のアート作品を用いたプロジェクションマッピングとディナーを組み合わせたディナーショーを行った。

そもそもの発端は、3月に京都国立博物館で行った土佐のアート作品を用いたプロジェクションマッピングである。今年は琳派400年に当たるので、「21世紀の風神・雷神伝説」と題した映像アートを土佐が制作し、それを京博の旧館(明治古都館)と新館(平成知新館)の二つの建物の壁面を使ってプロジェクションマッピングを行った。

このブログでも何回かに分けて報告したが、3月にしては寒い日が続き雪が降ったりして準備が大変であったが、4日間に2万人近い人々に来て頂き大変盛況であった。その時に映像を見ながら知り合いの人たちと、「この映像を美味しい食事やそれに合わせたワインと一緒に楽しめたらいいね」というような話をした。

その後イベントが終わってからこの話を、ハイアットリジェンシー京都(以下ハイアット)の以前から知っている総支配人の横山さんに持ちかけたところ乗り気になって頂き、ハイアットのボールルームで土佐の作品を用いたプロジェクションマッピングとディナーを組み合わせたディナーショーを行おうという話になった。

横山さんは、ハイアットのボールルームの4面の壁面を使ったプロジェクションマッピングを行うことができるように天井に20台近いプロジェクターを1年ほど前に設置してあるという、ホテルに新しい技術を取り入れるのに熱心な支配人である。この仕掛けを活用する十分な機会がこれまでなかったこともあり、私たちが持ち込んだこの企画を実現するのに大変熱心に取り組んで頂いた。

プロジェクションマッピングとディナーが単に一緒に行われるだけでは相乗効果があまり出ない。そこでまずは土佐の作品をハイアットのメインシェフに見てもらい、コースディナー(フランス料理)の各食事にあった作品を選んでもらった。さらに選んだ作品のイメージが料理と合うように、料理の内容を変えたり全く新しいメニューを考案して頂いた。

次はワインである。フランス料理に合わせて最適のマリアージュが実現できるように、京都のワイン専門店ディオニーのソムリエの倉田さんにコースディナーのそれぞれの食事に合うようにワインを選んでもらった。

そしてディナーショーのタイトルは「五感の土佐琳派プロジェクションマッピング」とすることとした。土佐の作品を目と耳で鑑賞してもらうのに加えて、味覚、嗅覚、触覚で食事を楽しんでもらえるので、五感で楽しめるディナーショーというわけである。

そしてここからはこのイベントを宣伝し費用に合うだけの十分な数のお客にディナーショーに来て頂く必要がある。実はここが今回のイベントでもっとも苦労した部分である。これまでなかった新しいタイプのイベントであるため、どこにどのような形で宣伝するかが難しい。もちろんFacebookなどのSNSを使って宣伝することもしたのであるが、ディナーショーということで少々値段が張ることもあり(一人当たり約1万8千円)、Facebookを見て気軽に来てもらえるという価格ではない。

ホテル側もこのような新しいタイプのイベントを行うのは初めてであり、ホテルのホームページに情報は載せたものの、当初は十分な数のお客が集まるかどうか自信はなかったようである。並行して四条烏丸の地下鉄の駅のデジタルサイネージに広告を出すということも行ったが、これがどの程度効果があったのかは不明である。

結局のところ、関係者が知り合いの人に声をかけて参加してもらうという旧来の宣伝方式に力を入れることにより、最終的には100名を超えるお客様に来て頂いて大変盛大なイベントとなった。



これは関係者や招待者だけで事前に行ったプレイベントの際のセッティングの様子。広いボールルームの中央にテーブルが2つだけで約15名の参加者という大変贅沢なディナーショーである。



これは10月23日の本番の際のセッティングの様子。周囲の4面の壁全部に映像が映し出されるため、特にどのテーブルがいいテーブルというわけでもなく、どのテーブルからも映像を楽しんで頂けるセッティングになった。




ディナーショーの際に壁面に映し出される土佐の作品の例。コースディナーの各食事に合わせるため雰囲気の異なる複数の作品を選んで上映した。



これは前菜。



これはスープ。土佐の作品「サウンドオブ生け花」に合わせたスープをメインシェフに創作して頂いた。



これはお口直し。



そしてメインコース



最後にデザート。



無事ディナーショーが成功裏に終わりほっとしている関係者一同。一番左が今回の料理に力をふるって頂いたハイアットリジェンシー京都のメインシェフ。一番右は各料理に合わせたワインを選んで提供して頂いたワイン専門店ディオニーのソムリエの倉田さん。