シンガポール通信-イベント続きの10月

9月後半から10月末までいろいろとイベントが続き、10月はとうとうブログを1度も更新しない月となったが、9月後半から10月末までのイベントをまとめて振り返ってみよう。

9月19日〜11月1日:神戸ビエンナーレで土佐のビデオアート作品を用いたプロジェクションマッピングの実施。
このプロジェクションマッピングの準備の様子はこのブログでも紹介したが、会期中夕方暗くなる6時頃から9時まで毎晩プロジェクションマッピングを行った。もちろん毎日現場に詰めておくわけにもいかないので、プロジェクションマッピングの開始と終了の操作マニュアルを作成して現地のボランティアの人たちに毎日の操作をお願いした。期間中に暴風雨を伴った大きな台風がきたらどうするかと心配したが、そのようなこともなく無事に11月1日に1ヶ月半の展示を終了した。

9月24日:蔦屋代官山店において土佐と宗教人類学者植島啓司先生のトークショーの開催
これは土佐の作品集「TOSA RIMPA」の出版祝いと販促を目的として行ったトークショーで、そのオーガナイズを行った。植島先生は宗教と人間の関係を極めて多くの視点から研究されている方で著書も多い。宗教という重いテーマを軽妙な文体でかつ多くの視点からわかりやすく解説してくれる方で私自身も植島先生の著書の愛読家である。

蔦屋代官山店は蔦屋の新しい店舗展開の一環として設立された店で、単なる書店というよりそこで本を片手にコーヒーを飲んだりしてくつろげる空間の実現をめざしているようである。植島先生の宗教観と土佐の芸術感がどのような形で交わるかと期待していたが、残念ながら時間の関係もあって十分な議論はつくせなかった。また別の機会に植島先生と土佐のトークショーを企画してみたい。

9月28日:ハイアットプレディナーショー
3月に京都国立博物館で行った土佐の作品をコンテンツとして用いたプロジェクションマッピングの直後から、このプロジェクションマッピングを食事をしたりワインを楽しんだりしながら鑑賞できたらいいなという話が出てきた。これをハイアットリジェンシー京都の支配人の横山さんに持っていったところ興味を示されて、「五感のTOSA RIMPAプロジェクションマッピングディナー」という形で実現することとなった。実際のディナーショーは10月23日であるが、事前に招待の方々を招くとともに練習も兼ねてプレディナーショーをしようということとなり、9月28日にプレディナーショーを行った。100名以上は入るボールルームで約10名の招待客を対象として贅沢なプレディナーショーを行った。

10月4日:楽天の自由が丘の新本社社屋における土佐のアートの上映とトークショー
9月24日の蔦屋代官山店におけるトークショーと同様に土佐の作品の上映を行うとともに土佐の作品の販促を兼ねたイベントである。今回は土佐の相手をするのはNHKの解説委員の中谷日出氏と土佐の作品を扱っているシンガポールギャラリスト眞田一貫さんである。そして私が司会を行った。

楽天の自由が丘にある新社屋は本当に完成したばかりであり、その会議室を用いて行った。これまで報道発表などに使ったが外部の人が行うイベントの開催は始めてとのことである。今回は2時間近くと十分な時間もあったため、土佐の作品の多くを上映することができたとともに中谷さん、眞田さんと土佐の議論もかなり深くまで切り込んだものとなった。

10月17日〜10月19日:京都大学にて開催された国際会議Culture and Computingに参加
Culture and Computingは文化をいかに工学で扱うかを議論する国際会議であり、京大の石田先生、土佐、立命館の八村先生が中心となって設立され2011年に第1回が開催された。それ以降1年おきに開催しており文化の都京都で開催することを特徴としている。参加者は約100名と決して多くはないが、文化に関心のある研究者が集まるので大変深い議論を行うことができる。

10月23日:ハイアットにおけるディナーショーの本番
これは上に述べた9月28日に行ったプレディナーショーの本番である。ディナーショーの参加費が約18000円と高額なことから当初何人程度参加してもらえるか大変心配したが、一般の方々を中心に約100名の方々に参加頂き大変楽しいイベントとなった。

10月29日:国際会議IEEE GCCEでの基調講演
IEEE GCCE (Global Conference on Consumer Electronics)は名前の通り家電製品関係の技術を議論する国際会議である。その基調講演として最近のスマートホンなどの新しいメディアに関する話をしてほしいとの依頼があった。最近の私の講演の定番とでもいうべき「アジア化する世界」に関する講演を行った。

10月30日:福岡アジア美術館にて土佐とともに講演
福岡市にある福岡アジア美術館で土佐と私のトークショーをしてほしいとの依頼があったため、福岡まで出張することとなった。福岡アジア美術館は国内の美術館には珍しく広くアジアの美術品を展示することで知られている美術館である。土佐がシンガポールを中心として東南アジアで彼女のアート作品の展示やシンガポールにおけるプロジェクションマッピングを行ってきたことから声がかかったものと思われる。

振り返ってみると、1ヶ月少々の間にいろいろなイベントを実施したり参加したりしたものである。いくつかについてはこの後のブログで少し詳しく紹介することとしたい。