シンガポール通信-シンガポール独立記念日

今年はシンガポール独立50周年に当たる。ちょうど私がシンガポール滞在中の8月9日がシンガポール独立記念日に当たり、盛大に記念式典が行われた。

今年は独立50周年という節目の年なので、何か例年とは異なる特別な行事があるかと期待していたが、基本的には例年通りの独立記念行事を少し派手にして行うということであった。いくつか異なった点というと、一つは8月9日が日曜に当たる事から振り替え休日を10日にした事、また50周年ということで例年に比較して休日を1日加えて金曜を休日にした事がある。

おかげで金曜から月曜まで週末をはさんで4連休という長めの独立記念休日となった。これは一般の市民にとっては大歓迎であろう。一方で私の聞いたところでは、懐に余裕のある人たちはこの4連休を利用して海外旅行に出かけるとのことで、シンガポールに残っているのは本当の庶民とたまたまこの時期にシンガポールに観光に来た観光客だけということらしい。

当初この時期はシンガポールのホテルを予約するのは極めて困難だと覚悟していたが、意外に簡単にホテルを確保する事ができたのは、このような事情によるものであると後で知ったところである。またホテルの宿泊代もこの時期に高騰するのではと恐れていたが、そのようなこともなかった。

もう一つは記念式典が行われたのが、例年行われる会場ではなくてシティホール前の広場で行われた事である。シンガポールのシティホール前には広大な広場があるが、何もない単なる空間であって、通常は大規模の屋外ショーなどに用いられるだけである。今回はそこにわざわざ数万人収容のスタンドを設置して、例年より多くの市民に鑑賞してもらうことにしたようである。

式典に参加できるのは基本的にはシンガポール市民であり、私たちのような旅行者は参加する事は困難である。式典のライティングやプロジェクションマッピングを担当しているヘキサゴンソリューションの社長に、昨年はリハーサルの入場を入手してもらいリハーサルを見学させてもらったが、今年はさすがに本番の入場券の入手は困難との事であった。

しかたがないのでホテルのテレビで見学する事とした。確かに例年より少々派手な演出が行われているが、基本的には例年の通りの順序で式典が行われるのみであって、少々期待はずれの感がなきにしもなかった。50周年だからといって特別に式典に金を掛ける必要もないというシンガポール的な経済的観念にもとづくものかもしれない。それはそれでシンガポールらしいということだろう。



式典はシティホール前で行われた。



例年の通り最初は軍を始めとする各種団体によるパレード。




続いて戦車等の軍の車両のパレード。例年はこの部分は簡素であるが、今回は50周年を意識してか多数の戦車や特殊車両による派手なパレードであった。



パレードを見守るシンガポール政府の首脳達。右端が首相のリー・シェンロン。その左側は副首相。シンガポール政府の首脳の顔ぶれがずっとかわらないのも、シンガポールの特徴である。



これは現大統領のトニー・タン。シンガポールでは大統領の役割は形式的なものであり、政治的な権限は持たず、海外からの来賓のもてなしや祝典への参加などが主たる役割である。その意味では今回の独立50周年記念祝典では主役的な役割を担っていることになる。



続いて軍楽隊による行進。



続いて式典を締めくくるショーに移る。シティホール前の広場(通常は単なる草っ原)に白いボードを敷き詰めてある。これはここに各種の映像をプロジェクションマッピング(単なる平面なのでプロジェクションマッピングと言っていいかどうかわからないが)するためのものである。この部分を、私のビジネスパートナーのヘキサゴンソリューションが担当している。



ショーは確かに大掛かりなものではあるが、同じような内容のショーの連続であり、少々単調で盛り上がりに欠ける。オリンピックの開会式や閉会式に使えるレベルのものには達していないのではないだろうか。このあたりが今後シンガポールが他の先進国に学ぶべき点であろう。



そして最後に会場やその周辺で同時に花火が打ち上げられ式典のクライマックスとなる。シンガポールのビル群を背景にしたこの光景は確かに美しい。