シンガポール通信-国立台北大学での滞在

シンガポールから日本に居を移したと思ったら、今日から一ヶ月台湾の国立台北大学に客員教授として滞在する事になった。本来なら東京に設立した会社の運営に100%時間を割くべきところであるが、いわゆるアカデミアの世界にそこそこいたおかげで、その世界との関係ができてしまいなかなか縁が切れないというのが本音である。

国立台北大学(National Taipei University:以下NTPUと略称する)は、1949年に設立された台湾省立行政専科学校が前身である。その後1961年にその専科学校が、国立中興大学の法商学院として大学に格上げになった。さらに2000年に国立中興大学から国立台北大学として独立して現在の形になった。

校名からして本来法学や商学関係の教育・研究が中心の大学であるが、2000年以降は総合大学となるべく理工系の学部の設立・充実に力を入れている。また本来は台北市内にキャンパスがあったが、総合大学としての体裁が整うに伴いキャンパスが手狭になり、2009年に台北市外にある三峡キャンパスに移転した。

さて私を客員教授として招聘してくれたのは助教授のDr. Hoomanである。彼とは国立シンガポール大学(NUS)のインタラクティブデジタルメディア研究所時代に同じ研究所に属していた。彼の専門はロボット工学であり、私が関学にいた頃にしばらくロボット研究を行っていた関係から、一緒に博士課程の学生の指導を行うなど仕事をした仲である。その後彼はNTPUに移ったがメールなどを通しての付き合いを続けており、今回私を一ヶ月間客員教授として呼んでくれる事になった。

NUSを退職し今後はビジネスに力を入れようとてしている時であり、一ヶ月とはいえ再び大学生活に戻るのはためらわれたが、台湾というこれまで住んだ事のない国に住みその国の文化や風土さらには人々の日常に接することも意味が大きいと考えて、引き受ける事にした。

とはいいながら日本での仕事もこれから増えて行くので、一ヶ月間台北でずっと過ごす訳にもいかない。幸い滞在期間中に日本も含め海外での活動を行う事を認めてもらえた。したがってこの一ヶ月は台北を中心にして日本などへの出張を行う生活となる予定である。



Dr. Hoomanが彼の研究室の学生に私を紹介しているところ。



初日という事で簡単に自己紹介を行った。聞いているのはDr. Hoomanの研究室の学生さん達。



一ヶ月間ではあるが複数のブースからなる独立した居室を提供して頂いた。これは私のブース。その間に知り合いの研究者が滞在しても良い様にもう一つブースが用意してある。



こちらは一ヶ月滞在するアパート。アパートとはいっても設備が整っており、シンガポール流に言うとコンドミニアムである。



私のオフィスのあるビルの屋上から見た大学のキャンパス。奥の方に見える画一的な建物はアパート群である。住んでいる人の多くは台北で勤めており、この地区は台北郊外の居住地区になっている。



別の方角を見たところ。三峡キャンパスという地名が示す通り、山々に囲まれた盆地のような地形の場所であり、台北の郊外ではあるが豊かな自然に恵まれている。また高速道路を通して台北市内や台北の国際空港へも直結している。