シンガポール通信−Ikkan Art Galleryでの展示

私のパートナーの土佐尚子のビデオアートの新作の個展が、9月5日より2ヶ月間シンガポールIkkan Art Galleryで行われる事になった。昨年同じくシンガポールのArtScience Museumで行われた彼女の「サウンドオブ生け花(Sound of Ikebana)」というビデオアート作品の個展およびプロジェクションマッピングがなかなか好評だった事もあり、今回の新作「宇宙花(Space Flower)」の展示をIkkan Art Galleryで行ってくれる事となった。

このギャラリーのオーナーは真田一貫さんという日本人で、長年ニューヨークで画商を行って来て数年前にシンガポールでギャラリーを開設したという経歴の持ち主である。当初はいわゆる純粋の絵画を扱っていたが、最近はビデオアートなどの新しいアートも扱うようになったため、今回の土佐尚子のビデオアートの個展を行う事となったわけである。

ビデオアートの展示には大型のディスプレイを用いる。大型のディスプレイというのは、実は大型テレビと画面のサイズ、解像度などは一緒であるが、展示用により頑丈に、より薄く、かつディスプレイの周囲の枠が狭くなっている。そのために展示用に薄暗くした室内でこのディスプレイを用いたビデオアートの展示を見ていると、絵画を見ているような感覚がしてくる。そうすると、従来の純粋絵画などを見慣れた人々にとっても、あまり抵抗なく受け入れられるようになる可能性が大きい。

とはいいながらビデオアートなので従来の展示と少し異なった趣向をいれようということで、ギャラリー内部での展示と同時に、ギャラリーが入っているビルの壁面にプロジェクションしようと言う事になった。ギャラリーはシンガポールの港湾地区にある倉庫ビルの一部をギャラリーに転用したものであり、一歩ギャラリーから出ると無機質な倉庫が並んでいる一帯であるが、ビルの壁面にプロジェクションするとあたりの雰囲気も変わるだろうという訳である。

プロジェクションはArtScience Museumでのプロジェクションマッピングを担当してくれたシンガポールのヘキサゴンソリューション社が格安で担当してくれる事となった。本当は個展の期間中毎晩でも行いたい所であるが、そうすると莫大な経費がかかるため、とりあえずオープニングの夜にオープニングパーティの招待客向けに一夜限りのイベントとして行う事となった。



ギャラリーの入り口。



ギャラリー入り口の壁面に記された作品名と作者名。



内部ではまだ展示の準備中。左側の男性がギャラリーオーナーの真田一貫さん。



並んだ大型ディスプレイに作品を表示した所。バックを黒にし部屋全体を薄暗くすることにより、ビデオを見ているというより絵画を見ている感覚になる。



ビルの外ではヘキサゴンのチームがプロジェクションの準備を開始した所。



クリスティー社の2万ルーメンのプロジェクターを4台使用する。プロジェクターはどんどん高輝度化しているが、2万ルーメンはほぼ最大値に近い。



暗くなって来たのでいよいよプロジェクションテスト開始。



最初は壁面にテスト映像を投影し4台のプロジェクター間の位置合わせを行う。




いよいよ実際のビデオアートのプロジェクション開始。平坦な壁面への投影なので、いわゆるプロジェクションマッピングとは異なるが、それでもなかなかの迫力である。