シンガポール通信ー安倍首相のシンガポールにおける講演2


安倍首相の講演会場となるリッツカールトンホテルの宴会場は講演開始30分前には2000人以上の参加者でほぼ満席。



既に立ち見が出始めている。参加者は日本人が3割程度、他は地元の人達。シンガポールでも安倍首相の知名度が高い事がわかる。



最初にシンガポールの副首相兼財務大臣であるターマン氏が安倍首相を紹介。同時に日本とシンガポールの政府間の親密な関係を紹介。日本とシンガポールの政府間の親密な関係の例として数年前にリー・シェンロン首相と当時の日本の民主党鳩山首相の出席の基に開設されたジャパン・クリエイティブ・センターが紹介された。安倍首相からするとあまり聞きたくない話であったと思われる。しかしこの事は、シンガポールでは講演などで抽象論を述べるより極めて具体的な例を引き合いに出す方が説得力がある事を示している。安倍首相ももっと具体的な例を引いた講演を行うべきであった。



安倍首相の講演が開始された。少なくともそのしゃべり方に関しては自信に満ちており力強さを感じさせた。それはシンガポール人の聴衆数人に後で聞いた所でも同じような意見であった。それはこれまでのアベノミクスが上手くいっている事による自信に基づくものであろう。



左右の大スクリーンに安倍首相の講演風景が映し出される。日本人の講演は下を向いて原稿を読んだままという講演風景が多いが、しばしば聴衆に向かって語りかける安倍首相の講演態度はそれなりに説得力あるものであった。



講演終了後の質疑応答に答える安倍首相。質問は事前に用意してあったものと思われ、質問に対する安倍首相の回答も講演と同様に自信に満ちたものであった。しかし残念ながら内容に関しては講演と同様抽象論に終始した感がある。日中関係に関する今後の具体的な外交政策に関する質問に対しても、友好的姿勢を基本とするという講演におけると同様の原則論を再度述べたにとどまったのが残念である。