シンガポール通信ー祇園祭:山鉾巡行

14日〜16日の宵山に続いていよいよ17日は山鉾巡行である。32基の山鉾が四条烏丸を起点に、四条通り、河原町通り、御池通、そして最終地点である新町御池まで練り歩く。

山鉾巡行の前夜祭として14日〜16日の3日間にわたって行われる宵山に比較すると、祭りのクライマックスである山鉾巡行に要する時間は以外に短い。午前9時に最初の長刀鉾四条烏丸を出発すると、続々と後続の山鉾が続き11時半頃にはすべての山鉾が出発を終える。

その頃にはすでに最初の長刀鉾は最終地点である新町御池あたりに着いている。そして午後2時頃にはすべての山鉾が最終地点に到着する。従って巡行そのものに要するのは5時間ほどである。

新町御池に着いた山鉾はそこで巡行は解散となり、それぞれの町内に帰って行く。町内に着くとすぐさま解体作業が始まる。そして夕方頃にはすべての山鉾の解体作業が終わり、京都の町は何事もなかったかのような普段の様子に戻るのである。

前夜祭等で十分盛り上げておきながら、祭りのクライマックスそのものは比較的短くそしてあっさりとした形で終わるというのは、いずれの祭りにも共通しているのではないだろうか。クリスマスも12月初めから徐々に盛り上がり始め、クリスマスイブでクライマックスになって、25日は普通の日になっているという意味で、同じような形をとっている。

それからすると、正月というのはかなり異なった祝い方をするといえる。年の瀬のぎりぎりまでは、1年の仕事をまとめたり1年分の掃除をしたりして忙しく過ごし、正月になると突然祝い気分に変る。そしてその祝い気分が徐々に抜けるまで正月気分が続くという祝い方をするのは、他の祭りの祝い方と異なっているのではないだろうか。

もっとも最近は、三ヶ日が終われば会社や学校が始まるので、昔のような悠長な正月の過ごし方というのは減って来ている。また三ヶ日であっても、羽根つきや凧揚げ等の正月の遊びをしている子供がいるわけではないし、1日からデパート等も開いているわけなので、正月の特殊性というのはなくなりつつあるのだろう。



午前9時過ぎには白楽天山が巡行のため、町内から巡行の起点である四条烏丸に向かって移動し始める。



これは四条室町通り上ルにある菊水鉾が動き始め狭い室町通りから四条通りに出て来た所。



鉾は車が固定されておりそのままでは方向転換が出来ないので、方向転換の際には鉾を横に滑らす必要がある。いわゆる「辻回し」である。辻回しは四条河原町で行われるのが有名で、四条河原町は人垣が何重にも出来ておりよく見る事が出来ないが、四条室町では鉾を滑らす様子を良く観察する事が出来る。辻まわしを見る穴場である。



辻回しを終わった菊水鉾がいよいよ四条烏丸から巡行に出発する所。



これは橋弁慶山が蛸薬師通りから四条烏丸へやって来たところ。四条大橋での牛若丸と弁慶の対決を人形で表している。



橋弁慶山も烏丸通りから四条通りへ方向転換する必要があるが、山の場合は軽いので担ぎ手によって担がれて簡単に方向転換できる。



午後2時には白楽天山が巡行を終えて町内に帰ってくる。帰ってくるとすぐさま解体作業が始まる。



こちらは白楽天山の近くにある鶏鉾。こちらも解体作業が始まっているが、さすがに鉾の場合は作業が大変そうである。



こちらは長刀鉾の解体風景。最初に巡行を終えただけあって解体も進んでいる。すでに車も外されており、夕方までには解体が終わりそうである。