シンガポール通信—祇園祭:宵山

7月14日から17日まで帰国していた。京都で行われる八坂神社の祭りである祇園祭を見学するためである。祇園祭はよく知られているように、平安時代(869年といわれている)に、流行していた疫病をしずめる事をめざして行われた御霊会がその起源と言われている。その後970年からは毎年行われるようになった。

起源からすると千百年以上、祭りとして確立し毎年行われるようになってからも千年以上の歴史を持っている。大阪の天神祭、東京の神田祭りと並んで日本三大祭りの一つであり、古都京都で行われるという事と相まって、日本を代表する祭りとなっている。

祇園祭というと山鉾巡行が頭に浮かぶが、これは祭り全体のイベントの一つであり、それ以外のイベントを加えると7月一杯続く祭りである。とはいいながら、14日から16日までの宵山(正式には14日が宵々々山、15日が宵々山、16日が宵山)と17日の山鉾巡行がそのハイライトである事は間違いない。

京都っ子は祇園祭の時にはどこにいても何を差し置いても京都に戻り祭りに参加するといわれている。私自身は京都生まれではないが、京都に居を定めてから十数年経つし大学時代の6年間を入れると二十年近く京都に住んでいる事になる。

しかも2年前に四条烏丸近くのマンションに越して来たらなんと私のマンションの真ん前に山の一つである白楽天山が建てられるということであり、祇園祭に対する愛着が以前にましてわいて来たというわけである。シンガポールは日本と少しずれており夏休みは6月、7月である。7月は夏休み期間中で休みが取りやすいという事もあり、祇園祭見学を名目にして帰国した。

宵山(宵々々山、宵々山も含めて)は、17日の山鉾巡行に向けて建てられて準備ができた山や鉾を見学するためのいわば前夜祭である。京都の中心部に露店が建ち並び、そしてその間にあちこちに山や鉾が建っている。夜になると山や鉾の提灯に灯が入り、夜店の明かりと共に日本の夏祭りの風情が醸し出される。

海外からの観光客にも大変評判の祭りである。東北大震災の後一時外国人観光客が減ったと言われているが、去年あたりからまた外国人観光客を見る事が多くなった。中には浴衣を着て散策しているグループもあり、京都の夏を楽しんでいるようである。



楽天山の前で記念写真。左側に見えているビルが私のマンションがあるビル。



巡行当日山に載せされる白楽天と道林禅師の像が山の近くの家に展示してある。白楽天山の由来は詩人の白楽天が道林禅師に仏法の大意を問いかけた故事にもとづくものという。



同時に巡行当日山に飾る織り物が展示してある。左側に展示してある前掛けは16世紀のものでトロイ落城を描いたものであると言われている。



夜になると提灯に灯がともる。夜店が道の両側に立ち並ぶので狭い路地だと行き来する人で身動きが取れなくなる。



昔懐かしい金魚すくい



四条通りは夜店は規制されていてたっていないが、山鉾の建っている地域の中心なので、これも大変な人出である。



これは四条通りに建っている月鉾。お囃子の音が郷愁をかきたてる。