シンガポール通信ーエンタテインメント・コンピューティング専門委員会の会合

パリでのイベントのうち、書き残した事としてエンタテインメント・コンピューティングに関する技術委員会の会合があったので、簡単に報告しておきたい。

前にもこのブログで書いたけれども、この技術委員会はIFIP(International Federation on Information Processing)という、ユネスコによって設立された情報処理に関する国際的な組織の中の一つの技術委員会である。IFIPは情報処理の分野ごとに十数個の技術委員会が立ち上げられているが、エンタテインメント・コンピューティング技術委員会(Technical Committee on Entertainment Computing略してTC14:14は14番目の技術委員会の意味)は、その中で最も新しい専門委員会である。

2002年にその予備組織としてSpecialist Group(専門家委員会)の形で立ち上げられ、4年後の2006年に技術委員会に昇格した。専門家委員会が設立された当初から私が議長を務めていたが、技術委員会の議長職の上限が6年(1期3年で2期まで)と決まっているので、昨年の9月をもって議長職を当時の副議長のProf. Matthias Rauterbergに譲った。

技術委員会は世界各国の代表から構成されており、TC14は約30カ国の代表者から構成されている。IFIPは最初ユネスコによって設立された組織なので、いずれの技術委員会もヨーロッパの代表が多く、ヨーロッパ色が強い。TC14もヨーロッパの国々からの委員が半分以上を占めている。

ヨーロッパの人たちはその長い歴史と文化のせいか、アメリカ人と違ってなかなか心を開かない所がある。日本でいうと、アメリカ人が東京人だとすると、ヨーロッパ人は京都人的な所がある。その分なかなか運営には苦労させられたが、親しくなると逆にグループに家族的な雰囲気が出て来て、なるほどヨーロッパというのも良いものだと感じる事も多い。

議長職を降りてその分気楽になったのであるが、せっかく立ち上げてここまで来たのであるから、今後ともこの委員会を盛り上げなければという変な老婆心も出てくる。



技術委員会そのものは丸1日の会合である。1日の会合のために世界各国から委員が集まるというのはこのネット時代にそぐわない気がしないでもないが、人間というものはそういうものかもしれない。技術委員会の前日の夕方には、全員が集まってディナーを行う。ディナーには少し早い時間にレストランについてしまったので、すでに来ている2名の委員と一緒に近くのホテルのバーで飲んでいる所。一番右が現議長のProf.Rauterberg。



和食のレストランでのディナーの様子。今年はパリで委員会を開いたせいか、ヨーロッパからの委員の出席率がよく、25名近い出席者であった。あまり広くないレストランの席が一杯になってしまった。



逆の方向から撮った所。私の左側は筑波大学の星野先生。


翌日の技術委員会。前夜遅くまで飲んだり食べたり大騒ぎをしたのに、一転真面目な顔をして議論をしている。この辺りが、アジア人と異なって公私の切り分けのうまいもしくは素早い欧米人の特質。



これは、技術委員会TC14が毎年主催しているエンタテインメント・コンピューティング国際会議の今年の開催国ブラジルの代表が、会議の準備状況を報告している所。ブラジルは行ってみたい国ではあるが、日本やシンガポールからは地球の反対側であり、待ち時間も入れると到着するまでに30時間もしくは以上のフライトが必要である。アジアの委員は、出席しなければならないけれども大変だなという思いで聞いている。かたやヨーロッパの委員は、アジアに行くのとブラジルに行くのはほぼ同じ時間なので、ブラジルに行くのを期待しながら聞いている。



会議終了後は二回目のディナー。今度はフランス代表の委員の推薦するフランス料理店で。これは現議長のProf.Rauterbergとのツーショット。



皆さん多いに食べ、飲み、かつしゃべってなかなかお開きにならない。終わったのはほぼ深夜前。最後に記念写真をとったが、この時点でも半分以上の委員は残っていた。国際的な組織の委員として活躍するには、英語も重要だけれども何時間ものディナーにおつきあいできる体力も(もちろん精神力も)重要。