シンガポール通信ーシンガポールのアートフェア参加2

先週末、金曜・土曜・日曜とシンガポールコンラッドホテルで行われたアートフェアに参加していたが、なんとか無事に終わった。3日間ではあるが、慣れない事なのでどっと疲れが出て、やっと回復したというところである。

これまでもパートナーの土佐さんの手伝いをしてアートフェアに出展した事はあるが、例えば昨年のアートステージ・シンガポールIkkan Galleryの展示に加えてもらっていたので、会場には詰めてはいたものの、まあ気楽な立場であった。

しかし今回は、新たに立ち上げた自分の会社がギャラリーとして出展したので、いわば私がギャラリストとして土佐さんの作品を単独出展したわけである。作品の搬入から展示、来場者への説明、そして最後の搬出までこちらで責任を持って行う必要がある。もちろん搬入・搬出の作業そのものは業者が行うが、こちらも責任上立ち会っておく必要がある。

またアートフェアそのものは朝11時から夜9時までなので、その間ずっと会場にいる必要がある。もちろん来場者が来るので、トイレに行く短時間を除いては部屋を空けるわけにはいかない。食事をとりに出るわけにも行かないので、朝サンドイッチなどを買い込んでおき、お客の来ない合間を見て急いで食べるわけである。

そして最も重要な仕事として、来場者への説明をしなくてはならない。技術の説明であれば(それは自分の技術であったり共同研究者の技術であったりするが)、これまでも多くの国際会議に付随したデモ展などで経験して来たが、アートの説明というのは分野が異なる事もあってとまどうものである。

しかも展示会と同時に即売会も兼ねているので、値段を聞いてくる来場者も多い。始めての単独出展であり、売れる事を期待していたわけではないが、商売となると経験のないことなのでこれも大いに戸惑うところである。最終的にはなんとか売れた作品もあったので成功と言えるが、ギャラリストというのもなかなか大変な商売である事を実感した。



展示場所はホテルの部屋であり、広くない事もあって最初は所狭しと作品を並べていた。



しかし主催者側から、作品を並べすぎると来場者から見ると心理的圧迫を感じるという助言をもらったので、展示する作品の数を減らし、少しスペースに余裕があるよう途中で配置を変えた。



また平面的に配置するのではなく、少し立体的な配置に見えるようにした。作品ごとのタイトルや価格を示すタグも付けた。



土佐さんと手伝いに来てくれたニュートン。彼は一時土佐さんの研究室でポスドクとして勤務していた。現在はシンガポールのNanyang Technological Universityで研究員として勤務している。



毎朝フェアが始まる前には作品の展示状況を確認すると共に、表面のゴミを取る作業を行ったりする。



お客はまとまってどっと来たり来なかったりと、時間によって大きな変動がある。お客が来ないときはメールを見たりしながらひたすら待つ。古本屋のおやじをやっているような感覚である。



土佐さんの作品は主催者が気に入ってくれたようで、作品の一つを会期中、ロビーの受付の横に展示してくれた。