シンガポール通信ーシンガポールではメディアはどう使われているか2

さて次に、コミュニケーション用デバイスとしてどのような物を持っているかを調べてみよう。パソコン・携帯電話・スマートフォンタブレットPCという分類に従って、それぞれを持っている人の数を調べた結果は以下の通りである。(日本ではスマートフォンを「スマホ」という省略形で呼ぶ呼称が定着したようであるが、当然ながらシンガポールではスマホなどという呼び方は存在しない。したがってここでは「スマートフォン」という呼び方で通す事にする。)


パソコン:27/27、携帯電話:12/27、スマートフォン:24/27、タブレットPC:11/27(調査対象が27名なので、27名中何名かという意味)


さすがに新しい物好きの国だけあって、大半の人がスマートフォンを持っている。持っていないのは3人だけである。もっとも、ほぼ全員がスマートフォンを持っている中で、従来型の携帯電話で通すのはそれなりに勇気がいるだろう。聞いてみると全員が、「スマートフォンを持っている人のほぼすべてが、常にメールやFacebookなどの情報をチェックして時間をつぶしているように見える。そのような無駄な時間の過ごし方はしたくないので、あえてスマートフォンは持たない。」という明快な自分なりの哲学を持っているようである。

とは言いながら、従来型の携帯電話をスマートフォント一緒に持っている人の数も多い。12−3=9名の人が携帯電話とスマートフォンの両方を持っている事になる。聞いてみるといずれの人も、メールやFacebookのチェックはスマートフォンで行い、音声通信を行う場合は従来型の携帯電話を使うという使い分けを行っている。従来型の携帯とスマートフォンを両方持ってそれを使い分けというのは過渡的な使い方と思われるが、このあたりは日本とシンガポールでよく似た状況にあるようで興味深い。

さてそれではこれらのデバイスを使って、どのようなコミュニケーション方式を使ってコミュニケーションを行っているのだろうか。ここでは、メール・チャット・ブログ・TwitterFacebookの5つのコミュニケーション方式に分類する事とした。TwitterFacebookはまとめてソーシアルネットワークと呼ばれる事が多いが、かなり使い方が異なるため、ここではそれぞれを分けて調べる事とした。


メール:27/27、チャット:26/27、ブログ:11/27、Twitter:20/27、Facebook:26/27


当然ではあるが全員がメールでのコミュニケーションをしている。パソコン上でのメールの送受と共に最近ではスマートフォンでのメールの送受が一般化しており、むしろパソコンよりスマートフォンでのメールが当たり前になっているようであるが、ここではその区別はしなかった。興味深いのはチャットを行っている人が多い事である。チャット用のソフトとしてはgmailskypeなどの他の目的のためのコミュニケーションツールの付属機能として付いているものを使う例が多いようである。もちろんメールを使ってチャットを行う事は可能であるが、チャット専用に機能化されたソフトを用いた方がリアルタイムのテキストコミュニケーションを行うには便利である。

ほぼ全員がFacebookを行っているのも最近の傾向らしくて興味深い。それに比較すると少ないとはいえ、全体の3/4の人がTwitterを行っているというのも最近のソーシアルネットワークの普及を物語っているようである。それらに比較するとブログを行っている人の数はさすがに少なくなるが、それでも約4割の人がブログを行っている。ところでここでは「行っている」という言い方をしたが、これは自分のアカウントを持っているという意味である。したがって、実際にそれらのコミュニケーションメディアを積極的に使っているかどうかという事とは別の意味合いになる。

そこで次にそれぞれのコミュニケーション方式ごとにどの程度の時間毎日使っているかを答えてもらった。そうするとかなり違う傾向が出てくる。

(続く)