シンガポール通信ー香港再訪

6月に引き続き、週末を利用して香港を訪問した。今回も、土佐さんの作品が展示されているギャラリーを訪問して様子を見る事が1つの目的であるが、もう1つの目的は香港市立大学のSchool of Creative Mediaを訪問し、学部長のJeffrey Showと研究協力に関し話し合うことである。日曜のお昼過ぎに香港に着き、月曜の昼過ぎには香港を発つという強行軍であったが、香港の雰囲気を楽しむ事が出来た。

香港はシンガポールと並んで、貿易による収入が大きな割合を占めているという意味で、いわゆる貿易立国である(香港は中国の一部であるが、特別行政区になっており、ある意味で独立した国と考えても良いだろう)。中国人の割合が多い事、中国系の人たちが政治や経済の実権を握っているという意味でよく似ている国であるが、反面異なる面も多い。シンガポールはいろいろな面で政府によるコントロールが強いが、香港は中国という共産主義国家の一部ではあるが、特別行政区になっている事もあり中央政府の統制はそれほど強くなく、より自由な雰囲気を感じる。

しかし自由の反面としての放任主義的なところも感じる。グリーンシティと呼ばれ、街の中心部でも緑が豊かなシンガポールに比較すると、香港は高層ビルの多さではシンガポールをしのぐが、反面高層ビル街のすぐ側に古い汚れた民家や崩れそうなアパートが建っていたりする。どちらが良いかは人それぞれの好みかもしれないが、香港は一度は住んでみたいと思わせる街である事はたしかである。



荷物の多いときは空港から香港市内へはタクシーを使うが、今回は初めて電車を使ってみた。当初は、運転間隔があいていたり、九龍側の少し不便なところがターミナルであったりで使いにくかった事もあり、ずっと敬遠していた。今回調べると香港島まで路線が延びており、かつ10分間隔で電車があるとのことで便利になっている。運賃は90香港ドルでタクシーの約1/4である。ターミナルからタクシーを使うとして、3人までなら電車の方が得のようである。



電車から見た香港のアパート群。シンガポールのHDBに比較して高層であり、シンガポールとはまた違った雰囲気である。



ランカイフォンは香港島の山の斜面に位置しているので坂道が多い。階段のある急な坂道も多い。その両側に古い家並みとならんでしゃれたカフェやギャラリーが点在している。



土佐さんの作品が展示してあるアイオーギャラリー。日曜の午後なのでちらほらと客がある。たいがいは西欧人である。



このギャラリーはまだ客が多い方で、他のギャラリーでは日曜といえどお客がまったくないという所も多い。どうやって商売しているのだろうと思いたくなるが、アート作品が売れると収入のうち通常半分はギャラリーの取り分になるので、ほんの時たま売れれば良いというビジネスモデルなのだろう。



ギャラリーの近くにある文武廟の内部。 学問の神様「文昌帝」と武の神「關帝」を祀っている。1847年の設立とのこと。渦巻き状の先行から立ち上る煙で内部は霞がかかったような状態。



ランカイフォン(蘭桂坊)のホテルから見た香港島の新旧のビル群。シンガポールに比較して細くて高いビルが多いため、町中の雰囲気もシンガポールとは異なっている。



翌日は香港市立大学のSchool of Creative Mediaを訪問。これは同学部が入っているCreative Media Centreの入り口。



昨年訪問した際はまだ内部が建設途中であったが、今回はほぼ完成しており、講義室、映写室、ミキシングルームなど充実した設備を見せてもらった。これはスタジオとテレビ撮影などで使うブルーバックカーテン(実際には緑だけれども)。Jeffrey Showとも1時間ほど歓談して、今後の研究協力について話し合った。School of Creative Mediaはアート系の学部であるが、大学自体はアート系の大学ではなく総合大学であり、論文投稿数などが評価の基準になるようである。なかなか学部運営は大変との事であり、技術側からの協力がほしいとのことであった。