シンガポール通信ー日帰り日本出張

先週日帰りで日本に出張した。もっと正確に言うと、日帰りというのは正しくなくて、行きも帰りも夜行便を使ったということである。つまり、0泊での日本出張という事になる。行きも帰りも夜行便を使えば0泊で日本出張できるのはわかってはいたが、身体的にはたいへんきついだろうし、まさか自分自身でそれをやることになるとは思っていなかった。

ところが急遽、東京で5月17日に行われた日本の企業とシンガポール経済省(EDB: Economic Development Board)の日本事務所に私も出席する事となった。これは、私が日本企業と私の研究所の共同研究の可能性を探っている中で、シンガポール進出を計画している企業が現れたため、EDBとのミーティングが設定されたためである。

ミーティングの設定が急に決まったため、すでに16日および18日にはシンガポールで別の会議が入ってしまっていた。ということで行きも帰りも夜行便で日本出張という事になった。

数時間のミーティングのために日本出張というのは、このネットワーク時代にそぐわないという考え方もあるだろう。しかしながら実際には、やはり顔を突き合わせたミーティングの重要性というのは昔に比較して減っているわけではないのではないだろうか。大学にいる私ですらそうなのだから、ビジネスにおいては現実空間でのミーティングの重要性はさらに高いと考えられるだろう。
ともかくも、17日の東京での会議のために16日夜の深夜便で羽田に飛び、再び17日夜の深夜便でシンガポールに戻る旅行計画を立てる事となった。シンガポールと羽田間はシンガポール航空全日空が便を持っているが、いずれの航空会社もスターアライアンスに属しており、いずれの便も双方の航空会社の共同運行便である。

ということで、行きは16日午後9時45分チャンギ発、17日午前6時羽田の全日空便を使い、帰りは17日午後11時30分羽田発、18日午前5時55分チャンギ発の同じく全日空便を使う事とした。

夜行便そのものはよく使っているけれども、このようなきついスケジュールは始めてである。はたして体の方が持つだろうかというのが正直なところであった。行きの便は午後9時45分でまだ時間も早いのでなかなか寝付かれない。

それに全日空のエコノミー席は、座席のリクライニングが後ろに倒れる方式ではなく、座席が前にスライドする方式である。前の座席が倒れてくる事がないので、その点は便利だけれども、やはりどうも普通のリクライニング式の座席に比較すると座り心地は良くない。

それに6時間の飛行時間といっても、最初の1時間は飲み物が配られたりするし、最後の2時間は朝食が配られたりするため、結局眠れるのは3時間という事になる。結局あまり寝付かれないまま羽田に到着という事になった。

ミーティングは午後からなので、時間をつぶさなくてはならない。空港には仮眠室というのがあり、1時間千円程度で借りられるが、昼まで借りるとすると5000円もかかってしまう。結局あまり飛行機の中でゆっくり眠れなかったためベッドで眠りたいという事で、空港近くのホテルで仮眠する事とした。そのため1万円の出費増となったが、さすがにホテルのベッドだとゆっくり仮眠できた。

おかげで午後のミーティングは結構すっきりした頭で出席できたし、ミーティングそのものも成功裏に終わった。それはそれで結構なのだけれども、ミーティングは4時過ぎには終わってしまったので、午後11時半まで時間をつぶさなければならない。

またホテルで仮眠というのは、さらに1万円の出費増になるのでそれは抑える事とし、この機会を利用して髪をカットしてもらったのと夕食をゆっくり取るのに約2時間を費やした。それでもまだ午後7時前である。どうしようかと悩んだけれども、結局早めにチェックインし空港内の全日空のラウンジで休む事とした。

空港のラウンジで4時間以上時間をつぶすというのもなかなか大変ではあるが、新聞を読んだりメールのチェックなどをしていると、なんとか過ごせるものである。そして午後11時30分の全日空便でシンガポールへ。飛行機の中の過ごし方は行きと同じであるが、出発が遅い分、酒などで眠気を誘ってやる事によりなんとか機内で数時間は仮眠できた。

とはいいながら、さすがにシンガポールに早朝着いたときは疲れており、家に戻って仮眠を取ると目が覚めたのはお昼前であった。まあ私の歳で、0泊の日本出張を体の方がダウンする事なくなんとか無事こなすことができたのは、立派なものかもしれない。