シンガポール通信ー麗水EXPO報告:EXPO初日

今回のEXPO会場訪問は11日夜のEXPOオープニングに参加する事が主な目的なので、11日夜のオープニングに参加してしまえば、仕事は終わりである。12日はソウルへパク先生の車で帰ることになっていたが、EXPOの初日の様子を見学しようという事で、午前中の時間を利用してEXPO会場を訪れた。

前にも書いたが、今回のEXPOは観客数が目標を達成するかどうかが問題との事である。1つは麗水が韓国の他の都市から離れている事であるが、EXPOの開催に会わせて高速道路や高速鉄道が整備されたため、ソウルから3時間〜4時間でつく事ができる。その意味では地理的な不利は少ないと言えるだろう。

最大の問題はホテル数が十分でない事ではないかと言われている。私達もオープニング参加のためのホテル確保にかなり苦労した。また私達の宿泊したホテルも明らかにEXPO目当てのホテルであり、新築開店したばかりであった。現在建築中のホテルがいくつかあるという事なので、徐々に宿泊の問題は解決されるのかもしれない。


私達は東側のゲートから入場したが、チケット売り場はご覧の通りである。



ゲートはさすがに人の列ができているが、それでもあまり待たされるという事はない。



これは内部のイベント広場付近の様子。どうも初日の事もあってか大半の入場者は地元の人のようである。韓国の他の地方や海外からの客はこれからという事かもしれない。



これは日本館内部の様子。前室で次のメインの部屋でのイベントの説明がある。他のパビリオンでは、海洋をテーマとした人間の将来に焦点を当てた展示が中心である。しかしながら日本の場合は、海洋をテーマとすると東北の津波を取り上げるかどうかが問題になる。多分どうするかでいろいろ悩まれたのであろうが、日本館では東北地方の地震津波の問題を正面から取り上げ、津波で両親を亡くした少年が被災地の復興を見ながらそこから立ち直る様子をアニメーションで表現している。

その事自体は高く評価したいと思う。しかしながら見ていてどうにも腑に落ちない気持ちがする。それは福島の原発の問題、特に放射能汚染の問題が全く取り上げられていないためである。震災で大きな被害を受けても、そこからの復興に力を入れれば良いのであれば、問題はある意味で単純である。第2次世界大戦直後の一面焼け野原の日本がある意味で明るかったという話を聞くが、それはそのような理由によるのであろう。

しかしながら、今回の復興には常に放射能汚染という問題がついてまわる。例えば漁を再開したとしても、捕れた魚は果たして放射能に汚染されていないのかどうか。そしてまた原発の近くの地域は一体いつまで人が住めないのか、などなど。このような問題を考えると、今回の原発事故が単に日本の電力供給に大きなダメージを与えるというレベルの問題ではない事が理解できる。そしてある意味で単純過ぎる日本館のアニメーションを見ていると、そのような問題を考えさせられる。



日本館地下の日本食のレストラン。こちらは常に満席状態で日本食は韓国でも人気が高い事がわかる。残念ながらレストランを経営しているのは韓国のレストランということで、味はもう一つであった。



食事をした後は、海洋をテーマとした展示を行っているテーマ館に行ってみる事とした。



内部は4つのブロックにわかれており、いずれのブロックでも大スクリーンに海洋をテーマとした映像を投影していた。大画面と迫力ある映像というのはどうもEXPOの伝統的な展示様式になってしまったようであり、少し新鮮味に欠ける。特に海洋をテーマにすると、このテーマ館をはじめ各国のパビリオンの展示内容が似てしまうのではないだろうか。



これはEXPOデジタルギャラリーのアート作品。右側は人形で、左側は人間がパフォーマンスを行っている。人間のパフォーマーの方が、時々観客の反応に応じて動くので観客の興味を集めていた。



EXPOデジタルギャラリーの天井の大ディスプレイでは、各種のコンテンツが常時上映されている。これは昨日報告した土佐さんの作品。



これはカーネギーメロン大学エンタテインメント・テクノロジー・センター(ETC)の作品。観客がツイッターでメッセージを送ると、それがCGの鯉の上に表示される。ETCの所長はよく知っているし、土佐さんも含めてお互いによく知った仲なので、コンテンツ作成の最初の段階から互いにライバル視していた。どうも学生の作品らしく少し単純であり、コンテンツの質に関しては私達の方に軍配が上がるだろうということで、土佐さん、パク先生も含めて胸をなでおろした。