シンガポール通信ーJST理事長のシンガポール訪問

先週、日本のJSTJapan Science and Technology Agency科学技術振興機構)の理事長がシンガポールを訪問され、研究機関に所属する日本人研究者/マネージャーとの懇談会が行われた。JSTは、日本の大学における研究を中心として企業における基礎研究などに助成金を出している組織であり、特に大学の研究者などはお世話になる機会が多い組織である。



懇談会の様子。シンガポールには、シンガポール国立大学(NUS)、南洋工科大学(NTU)等の大学と並んで、国の研究機関としてA*STARと呼ばれる研究機関がある。日本だと産業総合研究所に相当する研究機関である。またその他にも理化学研究所シンガポール支社や、早稲田大学シンガポール分校、さらには企業の研究所などがある。

おもだった人に集まってもらうと、結構な人数になるものである。懇談会では、主として日本とシンガポールにおける研究開発の姿勢の違い、特に大学と企業との共同研究の進め方の違いや、特許などの知的財産の管理方法などの違いなどを対象として議論が行われた。

私も普段から感じている事であるが、企業との共同研究などに関してはシンガポールに対して日本は10年近くは先行していると思われる。ともかくも日本の大学の多くの先生方は企業との共同研究の経験があり、双方の研究開発姿勢の相違なども知っており、いわば企業とのつきあい方がわかっている。

それに対してシンガポールでは、大学と企業との共同研究はこれからといったところであり、大学の先生方も大学と企業との研究開発姿勢の違いなどはあまり知らないようである。ただ、小さな国で政府先導によるトップダウン的な進め方をする国であり、一旦大学と企業との共同研究が重要であると決まったら進み方は大変早い。その意味では日本もうかうかはしていられないかもしれない。



懇親会後の記念撮影。



その後、理事長には私の研究所(IDMI)に来て頂き、概要の説明や見学を行ってもらった。これはSocial Robotics Labでの様子。中央は研究室の室長のProf. Sam Ge。左側のロボットは外装を取り外してあるので不格好に見えるが、外装をつけると看護婦の外観になる。病院などでの患者の世話をする役割をこなすロボットの開発をめざしている。



最後にIDMIの看板の前で記念撮影。