シンガポール通信ー文化とコンピュータの国際会議2

文化とコンピュータの国際会議に併設して展示会が行われた。この国際会議は、基本的には技術系の研究者を対象とした国際会議である。そのような国際会議では、通常は展示も技術をアピールするデモなどが展示の中心になる。

しかしながら、今回は文化との関係をもっと全面に押し出した展示となっていた。具体的には、技術関係の展示、アート展示、および京都の伝統産業関係の展示が、それぞれほぼ同じ割合で展示されるという構成になっている。その意味では、文化・技術・芸術が相互に関係し合ったユニークな展示会であると言っていいだろう。

このあたりは、今回の国際会議の主催者である京大の石田先生・土佐先生、立命館の八村先生の各先生方の専門分野および京都等における人脈をうまく使った展示会となっている。そしてまた、京都が世界に誇れる文化・伝統産業を持っていることも展示会にとっては大変好都合なのであろう。

本展示会を国際会議参加の人々以外の一般の人々にも解放したこともあって、 本展示会には多くの人々が参加し、 本会議以上に盛会であった。特に海外からの参加者にとっては、なかなか京都の伝統産業を身近に見る機会がないだけに、大変好評であった。

国際会議を本当に国際的にするためには、特定の国の中で行うのではなくて、多くの国で順に持ち回りで開催するというのが、通常の開催方法となっている。しかしながら、京都の持つ長い歴史に支えられた文化、そして京大に代表されるような高いレベルの研究教育機関の存在などをあわせ持つ都市というのは、世界中探しても数えるほどしかないだろう。

しかも、海外からの参加者に聞いてみると、京都の文化に興味を持っているためこの国際会議に参加したという人が多かった。このことは、この国際会議が京都という都市とかなり密接に関連していることを示している。

このため、主催者としては今後もこの国際会議を、京都を拠点とした国際会議にしたいようである。具体的には、2年毎に京都で開催して、その間の年に海外の国で持ち回りで開催するという方式である。なかなかユニークな考え方であり、今後の展開に期待したい。


展示会のポスター。



展示会場の様子。大変多くの人たちが見学に訪れ、議論も弾んでいた。



京都の職人による金箔を貼付ける仕事の公開作業。単に金ぴかにするのではなく、少しくすんだ感じを出す方が見た目も上品で喜ばれるとのこと。



これは書家「うどよし」さんによる書道の実演。うどよしさんは「がんばろう日本」の書をデザインした書家として一躍有名になった方。「とめない」、「はねない」書道を提唱しておられる。大変気さくな方で、希望者には次々と色紙に書を書いておられた。特に海外からの参加者は大喜びであった。



韓国ソウルの大学のパク教授とのショット。真ん中は土佐さん。パクさんとはATR時代に数年間一緒の研究所で研究した仲。現在は画像処理技術を使って韓国の伝統芸能を扱う研究を推進しておられる。