シンガポール通信ーシンガポール寺院巡り2

骨董屋が並んでいる一角の少し先には、仏牙寺がある。この寺は非常に新しい寺であり、2008年に完成したとの事である。名前の通りお釈迦様の歯がおさめてあり、また美術館も併設されているとの事であるが、今回は時間の都合もあり、本堂を見学・撮影するだけにした。


入り口の側には仁王像が立っている。中国系の仁王像の多くは、日本の仁王像とは少し異なっておりいわゆる中国風なのであるが、この仁王像は極めてオーソドックスで、日本の寺などにある仁王像と大変良く似ている事が興味深い。


ヒンズー系、仏教系を問わず、寺院では本堂の内部では写真撮影を禁止しているところが大半であるが、 仏牙寺ではとくにそのような禁止制約は無いようである。明確に書いていないのであるが、どうもフラッシュはだめだが通常に写真を撮るのは問題ないようである。最初は遠慮していたが、周りの観光客も写真を撮っているので、堂内の写真も数枚撮ってみた。本堂内部では、僧侶と信者による読経が行われている。日本の寺などの行事風景とよく似ているのであるが、全体に装飾が日本より華美であったり、照明がより明るかったりするせいだろうか、教会のミサに似た雰囲気も感じられる。


最後に訪れたのは、同じくチャイナタウンにある福建寺院である。全体的な雰囲気からすると、この寺院が最も日本の寺に似た雰囲気を持っているようである。全体に古びた感じがするし、それほど華美な装飾もない。


調べてみるとこの寺がシンガポール最古の中国系寺院で、建立はなんと1842年との事で、中国からの移民の人たちによって建立されたとのことである。シンガポールはごく新しい国との認識であったが、すでに19世紀前半頃から中国人を中心とした移民の人たちが住み着いていたのである。これは私にとっては新しい発見であった。

本堂を取り囲むようにして、何体もの仏像がおかれている。その1つが下の写真の千手観音である。観音堂でも千手観音を祀ってあったが、中国系の人たちも千の手を持ちどのような衆生ももらさず救済しようとする千手観音に対する信仰心が深いのだろうか。


写真を撮り忘れたが、千手観音の隣には孔子像が祀ってあった。儒教創始者である孔子が仏教寺院に祀ってあるというのは不思議な気がするが、日本の神仏習合のようにありがたいものはなんでも一緒にしてしまおうというのはアジア文化かもしれない。しかし、下の写真は何なのだろう。説明もなかったので、とりあえず写真を撮るだけにしておいたが、また調べておこう。