シンガポール通信ーシンガポール寺院巡り

シンガポールは、新しい施設や建物が多いのでどうしてもそちらが注目される。昨年セントーサ島とマリーナベイに開業した2つのカジノや、3つのビルを屋上でつないだマリーナベイサンズ、世界一と称するフライヤー(観覧車)などなどである。

確かにシンガポールは新しい国ではあるが、しかし同時に国民の多くは熱心な仏教徒ヒンズー教徒であり、それなりの歴史のある寺院も多い。というわけで先週の週末は、シンガポールに来てはじめて市内の寺院巡りをした。

まず最初に訪れたのは市の中心部にある、ヒンズー寺院であるスリ・クリシュナン寺院である。ヒンズー教の寺院らしく極彩色のヒンズー教の神々の彫刻が出迎えてくれる。最も周りのビル群に囲まれてなんだか窮屈そうである。


スリ・クリシュナン寺院の隣には仏教の寺である観音堂がある。この寺に祀ってあるのは名前の通り千手観音である。なかなか見事な仏像なのだが残念ながら堂内は写真撮影は禁止であった。


興味深かったのは参拝者のかなり多くの人たちが、堂内の千手観音に向かって礼拝するのではなく、反対側を向いて礼拝している事である。この意味はわからないけれども、私の素人意見では、千手観音を直接礼拝するのが恐れ多いからという意味ではないだろうか。韓国の学生や先生方と一緒に飲んだ時、学生がついでもらった酒を飲むとき後ろを向いて飲むという光景を見た事がある。聞いてみると先生の方を向いて飲むのは恐れ多いからということであった。「三歩下がって師の影を踏まず」と似たような意味だろうか。


次に寺院の多いチャイナタウンに移って寺院巡りをしてみた。まず最初に訪れたのはこれもヒンズー今日の寺院であるスリ・マリアマン寺院である。ここもスリ・クリシュナン寺院と同様、多くのヒンズー教の神々の像が入り口を形作っている。中に入りたかったが、残念ながら土曜の午後は清掃のために寺を閉めているとの事であった。多くの観光客が残念そうに入り口などの写真を撮っていた。


その近くに骨董店が並んでいる一角がある。面白そうなので見ていると、見ざる聞かざる言わざるの三猿の土産物を見つけた。日本では日光東照宮の三猿が有名であるが、元々は中国からそしてさらに昔はシルクロードを通して中東から伝わったものらしい。ともかくも土産物として売っているほどであるから、中国でもよく知られているのだろう。


そして三猿の土産物の横には毛沢東のミニチュア銅像がおいてある。最近は本家本元の中国では北京の天安門でしか毛沢東の写真や銅像にはお目にかかれないが、シンガポールの骨董屋の店先に毛沢東のミニチュア像があるというのはなかなか興味深い。