シンガポール通信ータッチスクリーンとゲーム

iPhoneなどのスマートフォンiPadなどのタブレットPCが、ゲームを遊ぶのに特に旅行中の待ち時間や飛行中の時間を過ごしているのに適しているという事を報告した。基本的にはゲームは生産的な活動ではないけれども、飛行機の中などのように疲れており人のエネルギーレベルが低いときには、まあ時間のつぶし方として認めても良いだろう。

特にiPadはある程度画面が大きいので、ゲームのCGを楽しむにも適しているし、また操作もしやすい。疲れているときにはある程度画面が大きい方が操作上も楽である。とまあiPad否定論を何度かこのブログ上で書いた後でiPad肯定論を書いているようで、少し肩身が狭い気持ちもするのであるが、ともかくも5月の旅行中はかなりiPadでゲームを楽しんだ。

ゲームといっても具体的には、前のブログにも書いたようにロール・プレイング・ゲームRPG)のファイナルファンタジーIII(FF3)である。RPGから離れて25年以上経つが、久しぶりに遊んでみると昔の感覚が戻って来て楽しいものである。

RPGはいきなり近道をしてボスモンスターを倒すわけにはいかない。1つ1つイベントをクリアしないと次に行けないように、巧妙に仕掛けがしてある。さらに、敵と戦うときに経験値がものをいい、いきなり強い敵と戦っても経験値が低いととても勝てないようになっている。

したがって、敵の雑魚モンスターを倒しながら徐々に経験値を上げ、小ボス、中ボスと順に倒して行くというのが、ゲームを進めて行く基本的なプロセスである。この主人公達が経験値を徐々に高めながら徐々に強い敵に当たると言うプロセスは、経験を積みながら徐々に大人になって行くという、小説によくある主人公の成長物語をうまく下敷きにしていることは明白である。元々のRPGのコンセプトは日本発のものではないが、それを洗練し長時間楽しめるゲームに仕立て上げた日本人の感性には、ゲームをする度に感心する次第である。

もっともこの敵の雑魚モンスターと戦いながら徐々に経験値を上げて行くというのは、ある意味で地道な作業であるが、種々の雑魚モンスターを3DCGとして用意してあり、それらがそれぞれ異なった攻撃法や弱点を持っていたりするので、実際のところは同じ作業を繰り返しているだけなのだが、長時間楽しめるという作りになっている。

5月初めにFF3を購入して旅行の間の時間などを利用してプレイしていたのであるが、旅行が多かった事もあり、すいすい進んでなんと最終ボスと戦う少し前まで進んでしまった。最終ボスを倒すとゲームが終了してしまうので、さてどうしたものかと最終ボスとの戦いの少し前のステージでうろうろしているところである。

ところがうろうろしていると、雑魚モンスターと出会い戦わざるを得ない。戦っていると経験値が上がってしまい、雑魚相手だとほぼ無敵状態になってしまい、あまり面白くない。なるほど弱すぎず強すぎずという状態で敵と戦うのが最も楽しめるのかと納得した次第である。

ところでこれは、例のチクセントミハイのフロー理論の通りではないか。RPGをしながらフロー理論を実地に体験するとは思わなかった。

さてご存知のようにiPhadやiPhoneはタッチインタフェースを採用している。キー入力やマウスを使用するのではなくて直接画面にタッチして操作を行う訳である。ゲームは元々それほど複雑な操作をする訳ではないから、タッチインタフェースは適しているといえるだろう。

それはそれでいいのだが、下の写真を見て頂くとわかるようにしばらく使うとディスプレイ画面が指の油で汚れてしまってご覧の通りとなる。なんだか汚らしくてとても気になるではないか。


1時間ほどゲームをした後のタッチスクリーン。光のあたる方角にもよるが結構汚れが目立つ。


とこのことを大学の同僚や学生に聞いてみたのであるが、反応が鈍い。別に汚いとも思わないし気にならないようなのである。不思議に思って日本人の研究者に気にならないか聞いてみたら、「これを汚く思うのは日本人の感性ですね」とのことである。

タッチインタフェース自身は優れたインタフェースであるし、なぜ日本人の手でスマートフォンiPadが開発されなかったのかと疑問に思っていたが、なるほどもしかしたらこの日本人の感性が邪魔をして、アイディアや試作段階でボツになっていたのかもしれない。