シンガポール通信ー香港の和食レストラン

先週は水曜から週末まで香港に滞在した。今回の訪問は、次回のブログで書くように仕事が主目的なのだけれども、他にもいくつか目的がある。その1つは、香港の和食レストランの様子を見ようということである。


香港の空港の様子。


香港はここ数年、日本の和食レストランが数多く進出している。もちろん他の国々におけると同様に、寿司などを中心とした和食が健康食としてもてはやされていることによるのであるが、特に香港では最近健康食ブームとかで和食レストランの進出がめだっている。昨年訪れた際も香港の繁華街である旺角(モンコック)で多くの回転寿司レストランに出会ったことがある。

ところが最近の東北地方の災害、特に福島の原発の問題が生じてなら状況が一転しているとのことである。香港の和食の食材はその大半が日本からの輸入である。それが原発問題が生じてからは特に日本から輸入された生鮮食料品はあぶないとの風評が立ち、和食レストランの多くが客の減少に悩まされており、店を畳むケースが続出しているというのである。


空港内のラーメンレストラン。ラーメンはあまり風評被害とは関係ないようで結構繁盛していた。


シンガポールでも同様に、寿司のための食材は日本から輸入しているため、同様の問題が生じている。私が良く行く和食レストラン「楽膳」でも、これからは日本からの輸入ではなくて地元の食材を寿司に使う必要があると主人が話していた。

もう1つシンガポールでなじみにしている和食のレストランに「えん」があるが、そのレストランが香港のワンチャイに昨年支店を出したので、まずはそのレストランを訪れて見ようと言う訳である。Webでチェックしたところ、香港の和食レストランを紹介するweb siteには「えん」の紹介がのっている。まだやっているなということで早速タクシーで出かけることにした。

ところが「えん」が入っているはずのビルについてもその案内がない。ビルの従業員に聞いてみても英語が通じないので意志が通じない。やっと英語がわかる従業員が出て来たが、聞いてみるとつい最近店を畳んだとのことである。なんとやはり噂は本当だったのかと愕然とした。

仕方がないので、件の従業員に近くの和食レストランを聞いてみたところ、近くのビジネスホテルの2階にあるという。早速行ってみたのであるがほとんどお客がいない。ここも風評被害者かと思ったが、まだ時間が早いせいかもしれないと思い直し少し腰を落ち着けて食事や酒を楽しむこととした。

そのうち、午後7時を回ると徐々に客が入りだし、8時過ぎには写真の通り満席に近い状況になった。私とは何の関係もない店であるが、思わず「よかったね」と言いたくなってしまった。
しかしよく見ると、居酒屋風の店なのに一品もののつまみを食べながら酒を飲んでいるという客がほとんどいない。夜8時を過ぎているというのに家族連れや女性同士の客が多く、ほとんど誰も酒を飲まないで食事をしている。居酒屋というより、なんだか日本でいうファミレスの健康的な雰囲気なのである。

和食レストランに全く客が来なくなっているという状況ではないが、なるほど香港の健康食ブームというのは本物なのかと感じ入った次第である。


居酒屋風の和食レストランの午後8時過ぎの様子。