シンガポール通信ーiPadでファイナルファンタジーを楽しむ

しばらくぶりにiPadを使ってみた。ファイナルファンタジー3(FF3)がiPadに移植されたので、ダウンロードしてプレイしてみたのである。

iPadは昨年の秋に購入したが、PCに比較して使いづらいので、しばらく使ったきり秘書に貸してしまっていた。 私のようにほとんど一日中オフィスでPCを使って仕事をしている立場からすると、あまり使い勝手は良くない。

タッチスクリーンは簡便と言えば簡便であるが、マウスに比較すると解像度・正確性はどうしても劣ってしまう。そして何よりもともかくも情報の入力が不便なのである。いわゆるバーチャルキーボードはブラインドタッチ入力がほぼ無理だし、PCで行っているWordやPowerpointによる資料作成はとてもiPad上のソフトで代行できるとは思えない。

iPadに関してはこのブログでも書いたが、やはり情報発信のためのツールではなくて、情報受信のためのツールなのである。つまりWebを見たり、ゲームをしたりするためのツールなのである。

私の秘書の方は楽しんで使っていたようであるが、具体的な使い方を聞いてみると、ゲームをダウンロードしたり映画をダウンロードしたりして暇なときに楽しんでいるという事であった。それ以外の使い方はないのかと聞いてみても、まあエンタテインメントのためのツールですねという答えである。

その秘書が4月から他の部署に異動した。これは本人の希望によるもので、新しい部署では給料が増えたとの事である。と同時に大学外での職探しも積極的に行っているようで、良い職が見つかりそうなのでその場合は新しい職場もすぐに辞めるつもりだとのことである。

脱線するが、シンガポールでは職場の異動はごく普通に行われている。少しでも待遇のいい職が見つかれば、何の未練もなく異動する。シンガポール人には米国的な行動原理を予想していたのであるが、基本的にはアジア人であり、日本と同様の人間関係を重要視した行動をとる。しかし、この職業の部分だけは米国人の行動様式とよく似ている。

私の甥が米国の大学を卒業した後日本で職を探していたが、適当な職がないためシンガポールに昨年の秋にやってきた。この場合もかなり苦労して米国系の会社に職を見つけたのであるが、半年も経たない間に辞めてしまって新しい職を探している。上司にはかわいがられていたようであるが、どうも周りの同僚を合わなかったようである。上司から慰留されなかったかと聞くと、「にこやかに『グッド・ラック』と言ってくれた」との事である。このあたりも米国的である。

さて、iPadを返してもらってからもしばらくは机の上に放っておいたままであったが、たままたFF3がiPad上に移植されたとのニュースを見かけたので、少し遊んでみようかという気になったのである。

FFシリーズが発売されたのは1987年、なんとすでにほとんど四半世紀前である。しかも当初はファミコン用であった。私は最初の頃はドラクエをやっていたが、スーパーファミコン用にFF4が発売されてからはFF4、FF5FF6と遊んだのをおぼえている。

さてiPadに移植されたのはFF3なので私自身は遊んだ事はないため、新鮮な気持ちでプレイできるだろうとの期待もある。さてダウンロードして少しプレイしてみたのであるが、感想を一言で言うと、なるほどiPadは気軽にゲームを楽しむのに向いているなということである。

ロール・プレイング・ゲームは、シューティングゲームなどと異なり時間の制約が緩いので、必死にプレイしなくても合間を見つけてプレイする事が可能である。バスや電車を待ったり、乗っている間だけ楽しみまた次の合間のときに続きをプレイする事が可能である。極端なことを言うとPCの側においておき、仕事をしながら合間を縫ってプレイをするという事も可能である。(実際に昨日は仕事をしながら少しプレイしてしまった。)

スマートフォンiPadがゲームのあり方を変えつつあるのはどうも本当のようである。つまり、これまでのゲーム機とテレビの前に座り込みコントローラを必死に操ってゲームを行うというヘビーゲーマーのためのゲームから、空いた時間に短時間楽しむというカジュアルゲーム、ライトゲームへの移行が行われているのだろう。

それはそれでいいことではあるまいか。もっとも、iPadが情報発信のためのツールではない、言い換えると仕事のためのツールではないという私の意見には変わりはないけれども。まあもう少し遊んでみてから、再度感想と意見を述べる事にしよう。