シンガポール通信ーソウルの美術館

週末はソウルに滞在していた。某デザイン事務所と打ち合わせのためで、この事はまたブログで報告したいが、今回は休日に訪れたソウルの美術館の報告。

ソウルはちょうど春である。日本の3月中旬の気候でまだ朝晩は冷え込みコートが必要である。しかしちょうど桜が散り始めた頃であり、日本で言うと4月の初めの感じだろうか。

ソウルは昨年の秋に私の関わっているエンタテインメント系の国際会議(International Conference on Entertainment Computing)がソウルで開催された事などもあり、昨年から何度も訪問している。韓国の人たちは見た目も日本人とよく似ており、またファッションや流行なども日本とよく似ている。

韓国の文化が日本に入って来て日本人に広く受け入れられている。韓国映画が日本で人気を博し、また映画俳優や韓国の歌手が日本の若者に熱狂的に受け入れられている。韓国文化が一種の流行になり、「韓流」という言葉を生んだりしている。またJ-popに対してK-popという言葉も一般に受け入れられている。

同時に日本の文化も韓国で受け入れられており、その最たる物はなんと言っても日本のマンガやアニメであろう。同時に週間モーニングに掲載されているワインを題材とした「神の雫」が韓国で大ヒットしてワインブームを引き起こしているという話も聞く。

最近聞くのは日本の居酒屋がソウルでは大人気なのだそうである。そういえば町の中に赤提灯をぶら下げた日本の居酒屋を良く見かける。滞在中も何度か日本式の居酒屋で食事をしたり酒を飲んだりしたが、全く日本と同じような雰囲気である。
もちろんシンガポールにも日本料理店や居酒屋風の店は多い。しかし日本人以外の来客が多いので、醸し出す雰囲気というのは全体として日本とは異なるものとなる。しかし、ソウルの居酒屋では韓国人の醸し出す雰囲気が日本人のそれとよく似ているのである。

もちろん言語は異なる。しかし、上にも述べたファッション、しゃべり方、一つ一つの仕草などがやはり日本人とよく似ている。そのために全体としての雰囲気がいかにも日本的なのである。

さて、全体の感想はそれぐらいにして、美術館の紹介をしよう。ソウルは日本とよく似てそして日本以上にポップさを好む町である。美術館に限らず街の中で現代アート作品を見かける事が多い。


これは街の中で見かけたインタラクティブアート。上方にカメラが設置してあり、路上を歩く人の動きに合わせてアーティスティックなデザインが路上に表示される。


まずはサムソン美術館(Leeum, Samsong Museum of Art)を訪問した。ここはもともと現代アート特にいわゆるメディアアートを展示する美術館としてオープンした。メディアアート関連の美術館としては1900年代半ばに開館した東京にあるICC(インターコミュニケーション・センター)がある。1990年代半ばはメディアアートのブームでありICCも一時は観光スポットになっていたが、ブームが一段落した事もあり、ICCの方は最近では影が薄くなった印象がある。

これに対しLeeumはメディアアート以外にも現代アート、さらには韓国の伝統的美術品の展示等も行う事により、現在も多くの人が訪れる美術館になっている。


全体は3つの建物から構成されており、これは現代アートを展示しているMuseum 2。



これは庭に展示してあるLouise Bourgeoisの有名な蜘蛛のアート。



これはロビーの様子。ICCとよく似た空間の雰囲気を醸し出している。



これは村上隆のアート。キュート・オタク等の現代のポップな日本文化を表現したアートとして特に海外で人気がある。