シンガポール通信ー京都とスーパーマーケット

もう既に京都からシンガポールに戻って来ているが、京都滞在中に妻の入院のおかげで今回また新しい経験をすることとなったので、その話を少し。

妻の入院に伴って、シーツやバスタオルを買って来てくれということになった。同時に私の方も下着のまとめ買いをそろそろしようと思っていたところなので、これらをまとめて買おうということになった。

ちょっと脱線するが、シンガポールは常夏の国なので、服装に金をかけなくてすむ。学生などは何年着ているのかという色の落ちたTシャツと半パンの服装が大半であって、女子学生の場合も状況は似たようなものである。

大学の先生も半袖シャツにズボンという服装で、スーツはもとよりジェケットを着ている先生など通常は皆無と言っても良いだろう。私は冷房の効き過ぎに備えて常にジャケットを持ち歩いているが、かなり例外的な存在である。大学の公式行事でも半袖シャツが普通であり、まあよくてジャケット。ネクタイをしている人を見かける事も少ない。ましてやスーツ上下にネクタイなどの服装は大学内では全く見かけない。

さすがにシンガポール市内の特にビジネス街ではダークスーツに身を固めたビジネスマンを見かける事も多いが、これらの多くは欧米人であり、どうも推測するとこ地元シンガポールの人たちはスーツなどというものは持っていないのではないだろうか。

私自身も、そういえば、現在持っているジャケット、シャツ、ズボンともシンガポールに移ることになった3年前に何組かまとめてユニクロで買って以来、全く買い物をしていない。その意味では服装費はほぼゼロといっていいだろう。下着もその際にまとめ買いしてから全く買っていない。しかしさすがに洗濯の度に少しずつ生地が薄くなり、3年経つとそろそろ買い替えかということになる。

さてこのような買い物はどこでするのだろう。このところ全くこれらの買い物をしていないので、忘れかけていたが、記憶を辿ってみればスーパーで買っていたのではないだろうか。妻はデパートで買えというけれど、男性下着をデパードでというのはどうも感覚的に合わない。

とりあえず近くの大丸に行ってみたが、男性下着というのは男性服売り場の片隅に申し訳程度に並んでいるだけである。しかも長袖シャツ、ステテコなどの中高年男性向けの下着が大半である。さらにいかにも値段が高い。下着シャツが3千円とかさらにはそれ以上するのである。昔スーパーでまとめ買いをしていた時は2枚で700百円とかのシャツを買ったのを記憶している。

やはりバスタオルとかシーツとか男性下着を安く買うならスーパーに限る訳である。ということでスーパーマーケットに買い物に出かけようとした訳であるが、さてスーパーはどこにあるのだろう。

ネットで見てダイエー四条大宮にある様なので出かけてみると、食料品専門のスーパーである。関西圏であれば、主要なJR・私鉄の駅の付近にはほぼ確実にいわゆる総合スーパーがあるではないか。四条河原町や、四条烏丸などの中心部ならともかく四条大宮のような中心から少し外れた駅のそばであれば総合スーパーがあるべきなのであるが、見当たらない。

さてそうなるとどこにあるのだろう。四条大宮から近くでスーパーのありそうなところというとJRの二条駅あたりか。二条駅は少し寂れた感じのする駅で(もっとも最近は、駅前に立命館大学・仏教大学などが進出して来ており徐々にメジャーになりつつあるけれども)、いかにもスーパーが存在するには適した場所ではないだろうか。

という訳で四条大宮から二条駅前に移動して探したのであるが、どうにも見つからない。代わって見つかったのは大型のパチンコ店である。パチンコ店はスーパーと並んで庶民にとってなじみの深い店ではないか。パチンコ店があってなぜスーパーがないのだろう。

こうなると私も意地である。今更デパートで買い物をするわけにはいかない。さてどこで買い物をしたものだろうと考えていると、以前に住んでいた千本通りの近くの北野商店街に衣料品・布団などを取り扱っている店が並んでいたのを思い出した。JR二条駅から北野商店街はこれもバスですぐである。

そこで次に北野商店街に出かけて探してみた。いざ探そうとすると下着やバスタオルを打っている店というのは意外にないものである。さんざん探しまわったあげくやっと婦人洋服店と雑貨店を兼用したような店でお目当てのバスタオル、シーツ、男性用下着を買う事が出来た。さらに期待していた通り、男性用シャツ下着2枚セットで700円というセールス品を買うことが出来た。

その後京大病院へタクシーで行く際に運転手に聞いてみたのであるが、「そういえば京都の町の中にはスーパーはありまへんなあ」ということであった。京都は町の周辺部に行かないとスーパーがないのである。これまで気がつかなかったが、また新しく京都という町の特質を見つけ出した気分である。


北野商店街