シンガポール通信ーシンガポールの車事情

このところブログの更新をしていない。来年の3月にシンガポールで行われるバーチャルリアリティに関する国際会議IEEE VR 2011の委員長を引き受けているので、予算案の作成やスポンサーの獲得などの仕事がこの2週間ほど立て込んでいた。その詳しい話はまた書くとして、とりあえずはブログの再開を。

今日は他愛もない話だが、シンガポールの車事情について考えてみよう。前にシンガポールのタクシーに関して書いた事があるが、今回は車全般に関してである。

まず乗用車のメーカーに関してであるが、シンガポールに来て最も興味を持ったのは、極めて日本車が多い事である。しかも車種構成が良く日本と似ている。ともかくも多いのがトヨタ、次にホンダもしくは日産、そしてマツダの車も結構走っている。まあこの辺りは海外とくに米国でもよく見かける車であるが、それ以外にも三菱やスズキの車にも良く出会う。

シンガポール以外特に欧米で三菱やスズキの車に出会う事はめったにないのではないか。車種構成が日本に似ているというより、乗用車のシェアそのものが日本によく似ていると言っていいのではないだろうか。ともかくもトヨタの車は圧倒的に多い。乗用車のシェアの50%近くを占めているのではないかという感じである。

しかもトヨタ車の中での車種構成も日本とよく似ている。米国だとカローラなどは数が少なく、レクサスなど高級車が圧倒的に多いが、シンガポールでは結構カローラが走っているのである。

さらにはトヨタ以外も含めていわゆるワンボックスカーの数も種類も日本ほどではないにせよ豊富なのも興味深い。米国でワンボックスカーというとかなり大型でその多くはキャンピングカーもかねているのではと思われる車が多いが、シンガポールでは日本と同様に比較的小型のワンボックスカーをよく見かける。

私もシンガポールに来る前の4年間ほど、ワンボックスカーの代表的な車種であるトヨタのウイッシュに乗っていた。きゃしゃな車体に7人詰め込めるといういかにも日本的な車で、日本以外で見る事は期待していなかったのであるが、シンガポールではよく見かける。


ウィッシュのタクシー
http://ameblo.jp/tohohobalitaizai/entry-10609910780.htmlの写真を使わせてもらいました)


特にタクシー会社の内の一社が赤いウイッシュをタクシーとして使っており、時々ではあるがお世話になる。ハンドル位置も日本と同じ右ハンドルであり、内装も全く国内向けとまったく日本と一緒である。自分の車でもないのに乗っていると何となく懐かしさを感じてしまう。

日本車以外では韓国系のヒュンダイもよく見かける。また、タクシー会社がタクシーをクラウンからヒュンダイに取り替える作業を進めているとの事で、タクシーのシェアの半分以上はヒュンダイである。しかしながら、タクシーの運転手に聞いたところでは、ヒュンダイは故障が多いとの事で、そのためか乗用車のシェアは決して高くはない。

日本製以外の乗用車はなんと言っても、メルセデスベンツBMWアウディなどのドイツ製の乗用車が目につく。しかもいずれもシリーズのうちの高級車が多い。いかにもシンガポールの経済状況の良さを示しているようである。

そういえば、時々フェラーリランボールギニなどのいわゆるスーパーカーを見かける事がある。日本でもいわゆるバブルの頃はよく見かけたものであるが、現在ではとんとお目にかからないのではないか。見栄え以外には決して乗りやすい車でない事もあるのであろう。ところがシンガポールでは大きな排気音を鳴らしながら走っているのに時々出会う。

シンガポールのような狭い国でスーパーカーを持つ必然性などないと思われるが、どうも本人の見栄のためのようである。これも聞いた所によると、シンガポール国内では走りを楽しめないので、週末にマレーシアなどに出かけて走りを楽しむのだそうである。

さらにいずれの車も日本同様高級車は言うに及ばず、中型車・小型車に至るまでピカピカに磨かれている。日本と同様毎週末に所有者が車を磨いているものと思っていたが、そのような風景にあまり出会わない。不思議に思っていたが、聞いたところによるとメイドを雇っている家が多く、メイドの毎日の仕事の1つが車の洗車なのだそうである。

なるほど道理で週末に洗車しているのを見かけない訳である。しかもメイドに取って洗車は他のメイドとのおしゃべりの時間にもなるので、彼等は喜んでやるのだとの事である。なるほどそういうものかと感心した次第である。

第一、日本も含めた大半の先進国ではメイドを雇うのはよほどの高収入の家でないと出来ないであろう。平均的な収入の過程でもメイドを雇えるというのは、収入格差が大きい事を物語っており、これもシンガポールの特徴の一つであろう。

(続く)