シンガポール通信ーネット時代の新聞

ネット時代に合わせるため、各新聞社が急速にネットによる新聞記事配信に力を入れ始めている。例えば日本経済新聞(日経)は、従来ネット用に簡単なニュース配信を行っていたが、 日経のほぼすべての記事なとを配信すると共に独自の記事の配信も行う、日本経済新聞電子版へと移行した。

ネット時代には、ニュースはなんと言っても速報性が命である。従来の新聞は、速報性よりニュースの解説などニュースを取り巻く状況などを読者に伝える事を使命として来た。ネット配信に伴い、ニュース速報と従来の解説記事とをいかにうまく統合して行くかが重要であると考えられる。

昨日(10日)、ポーランドの大統領一行を乗せた専用機がロシアの空港に着陸する際墜落し、大統領夫妻を含めた全員が死亡するというニュースが飛び込んで来た。不幸な事件ではあるが、これに対する新聞社各社の対応状況などを見ると、それぞれの新聞社の特徴が出ているように思われるので紹介する。まだ、詳細に調べた訳ではないので、誤っている可能性もある事をお断りしておく。

以下はヤフーで(ポーランド、大統領、飛行機事故)をキーワードとして検索した記事の一覧である。日本の新聞社関連の記事に絞った。


(ヤフーによる記事検索)
悲しみのポーランド キャンドル囲み 悼む国民(産経新聞)11日 - 9時24分
露空軍幹部「管制の指示聞かず高度下げた」 政府専用機墜落事故(産経新聞)11日 - 9時22分
露・ポ両国首相、事故現場に花手向ける(産経新聞)11日 - 9時12分
ポーランド大統領事故死 「追悼70年の旅」悲劇 選挙繰り上げ実施(産経新聞)11日 - 7時56分
ポーランド大統領、墜落死 ロシア西部 政府機、要人ら全員(産経新聞)11日 - 7時56分
呪われている?「カチンの森」わずか20km(読売新聞)11日 - 2時25分
ポーランド大統領墜落死 国内に大きな衝撃 首都では半旗(毎日新聞)11日 - 1時22分
大統領機墜落 悲しみに包まれるポーランド産経新聞)10日 - 23時53分
ポーランド大統領墜落死>国内に大きな衝撃 首都では半旗(毎日新聞)10日 - 21時40分
衝撃、「カチンの森事件」追悼式典途上の悲劇(読売新聞)10日 - 21時25分
ポーランド大統領墜落死>「カチンの森」式典も中止(毎日新聞)10日 - 21時6分
ポーランド大統領機墜落、97人全員死亡(読売新聞)10日 - 21時2分
ロシア ポーランド大統領が死亡 搭乗機が着陸直前に墜落(毎日新聞)10日 - 17時51分
<ロシア>ポーランド大統領が死亡 搭乗機が着陸直前に墜落(毎日新聞)10日 - 17時45分
ポーランド大統領機墜落、97人全員死亡(読売新聞)10日 - 16時55分


最初の記事は読売新聞によるもので、地元のニュースソースからのニュースをロシア在住の記者が伝えている。やはり事件が起こった地点に近い場所にニュースソースを持っている場合に、早く速報記事を伝えることが出来ることがわかる。その後矢継ぎ早に、同じ記者やベルリンの記者がさらに詳細な情報やその解説記事などを送ってきている。しかしその後は新しいニュースは送られて来ていない。どうも速報性を第一にしている新聞社のようである。

続いて毎日新聞が事件を報じている。当初からモスクワとウィーンの記者がこの事件を扱っており、モスクワの記者はロシア側から見た事件を、またウィーンの記者はボーランドの首都ワルシャワに行き、ワルシャワの様子を詳細に報告している。大新聞社とは思えない足の軽さである。しかし、これも読売新聞と同様、そこで速報記事の役目は終わったと考えたのか、それ以降はネットでの配信記事は送られて来ていない。

産經新聞の記事配信の第一報は少し遅れているが、それ以降はモスクワの二人の記者がロシア側の状況とポーランド側の状況を次々と詳細に送ってきている。
(続く)