シンガポール通信ーソウルの印象2

26日は、午前中は知り合いのソウルの大学の先生に呼ばれて大学で講演をし、午後はソウル市内の観光をする予定であった。しかし2日間の缶詰で疲れていた事もあり、ホテル周辺の観光にとどめる事とした。

ホテルはCOEXというコンベンションセンターの側にある。中々立派で大規模なコンベンションセンターである。来場者数万人規模の展示会も開催可能だろう。コンベンションセンターの地下は地下鉄とつながったショッピングモールになっているが、韓国の若者達でごったがえしている。

興味深いのは、韓国の若者達が日本の若者達と顔かたちが似ており、さらにはファッションも似ている事である。かっての韓国人は目が細い人が多く日本人と区別しやすかったが、最近は日本人と韓国人の若者の顔は全く同じに見えて区別が出来ない。

さらにはファッションまで似ているので、しゃべっている言葉の違いを別にすると、日本と全く同じ風景である。しかもなんと言ったら良いのだろう、細かい身振りまで似ているため、人々が醸し出す雰囲気も日本と良く似ている。なるほど韓国と日本か隣国なのだという事を改めて感じる。そしてまた、文化的にも似ているのだろう。

外に出ると道路は車の洪水である。信号が青になってもその先が詰まっているので、車が中々進まない。友人が良く知っている韓国料理屋に行こうという事でタクシーに乗ったが、数キロ進むのに30分ほどかかってしまい、結局最後の数百メートルは歩こうということになった。友人によると道路の混雑は最近では常時なのだそうである。


ソウルの街中の道路。先の信号までぎっしりと車が詰まっている


東京や大阪でも道路は混雑しているが、かっての車が動かないというほどの混雑はかなり緩和されている。ソウルは東京や大阪に比較して道路の幅が広いが、それでも混雑しているのは車の数が多いということだろう。道路の混雑は韓国の経済状況が上向きになっていることの証でもあり、まあ結構な事である。

一つ気付いたのは、韓国の車のサイズの大きさである。かっての日本は大きな車を持つ事がステータスで、エンジンサイズに比較してボディのサイズの大きい車が流行した。現在ではむしろコンパクトな車を求める人が増えている。しかし、まだ韓国はボディの大きな車が主流のようである。この点では日本の方が進んでいるということかもしれない。

最後にCOEXの近くの奉恩寺を訪問した。約600年の歴史を持つ寺との事である。壁や柱の彩色が日本の寺と異なり、極彩色で彩色してあるが、建物の作りまたその配置は極めて日本の寺院に良く似ている。ここでもまた、韓国と日本の文化の類似性に気づかされた。


奉恩寺の境内から入り口の門を見る。その向こうはCOEXで、高層ビルはホテル


また、夜はこれも友人の招待で「ナンタ(NANTA)」の公演を見た。これは4人のパフォーマーが、なべ・フライパン・包丁などの調理用器具をドラムやスティックに見立てて、料理を作るプロセスを打楽器のパフォーマンスにしたものである。かって、ボストンで「ブルーマンショー」というパフォーマンスをみたが、極めて良く似ている。ただ、観客の笑いを取る仕草やパフォーマンスが少し異なっており、東洋と西洋でそれぞれ独特のものを持っているのがなんとも興味深かった。


NANTAの公演風景