シンガポール通信ーセントーサ島

週末に久しぶりにセントーサ島に行って来たのでその報告。

かってのセントーサ島は、リゾートアイランドと名付けられてはいたものの、広い島の中にマーライオンの像や、シンガポールの歴史を展示した小さな博物館、プールなどが点在しているだけで、いわばひなびたリゾートとしての感が強かった。それほど込み合っている訳でもなく、家族連れがのんびりと散策を楽しんでいるという雰囲気であった。

数年前に本島とセントーサを結ぶセントーサ・エクスプレスというモノレールが完成したが、これも週末でも乗っている客もそれほど多くなく、のんびりした感じを醸し出していた。

さて今回は、今年の旧正月をめざしてカジノおよびユニバーサル・スタジオの工事が進められ、2月14日の旧正月の日にオープンしたと聞いたので、雰囲気が変わっているかどうかチェックしようという訳でセントーサ島を訪れたわけである。

日曜の夜7時頃に出かけたので、ユニバーサル・スタジオとカジノは今回は訪問しなかった。その紹介はまた次回とさせてもらいたい。

さて、モノレールの終点について驚いたのは、駅前が人の波で埋め尽くされている事である。毎晩行われているショーであるソング・オブ・ザ・シーがちょうど終わった時間帯で、その観客が出て来たせいもあるだろうが、ともかく人の波で前に歩く事も出来ない。

良く観察してみると、団体で来ている観光客が多いようである。しかも中国からの団体の観光客のようである。まだ中国は旧正月の休みが完全には終わっていないのかもしれないが、ともかくガイドが旗を高く掲げた後をゾロゾロと中国人らしき団体客が歩いている。


モノレールの終点駅の駅前の人並み。前に歩く事が出来ないほどの人並みである


やっとの事で人ごみを抜けてビーチに出ると、さすがに人の数はずっと少なくなり、かってのセントーサ島の雰囲気が残っている。と思ったら、近くのバーからクラブ音楽が大音量で流れてくる。このバーは何度か前を通ってしゃれた感じなので一度行きたいと思っていたので、入ってみた。

欧米人の客が多くインターナショナルな感じはするし、バーとしては中々しゃれた作りなのだが、クラブ音楽を大音響で流しているので話も出来ない。クラブの形態に変えようとしているのかもしれない。日本では、クラブ、ディスコという営業形態は既に落ち目で、静かにバーで飲み、会話を楽しむという楽しみ方に移りつつあると思うのだが、シンガポールではまだまだクラブ、ディスコは大盛況のようである。


モノレールの駅から少し離れたバー。なかかなしゃれた作りの入り口


ところが中はスモークをたいたりして、バーというよりはクラブそのもの


またビールの小瓶が15ドルと高いので、早々に退散して近くの日本料理店で遅い夕食をとった。海に面したテラスからソング・オブ・ザ・シーの遠景が見える。噴水、スモーク、花火、レーザー光線などを使った派手な演出である。これも以前より、より派手になっているようである。海外からの客を引き寄せようとしているのだろう。そしてその意図は上に述べたような大量の団体客によって成功しているようである。


海辺のレストランから見たソング・オブ・ザ・シーの遠景。近くで見ると大迫力かも


さて、帰りがまた大変である。対岸のハーバーフロントまでモノレールで戻ってタクシーに乗ろうとしたが、タクシー乗り場が大量の人で身動きができない。とてもタクシーを捕まえるという状況ではない。市内に戻った方がいいだろうということで、地下鉄でクラークキーに戻ってタクシーを探そうとしたら、タクシー乗り場には30m以上の行列ができている。(シンガポールでは原則としてタクシー乗り場以外でタクシーを捕まえる事は出来ない。)携帯でタクシーの予約をしようとしてみたが、電話がつながらない。結局ほぼ1時間待ってやっとタクシーに乗る事が出来た。

まあ、これもシンガポールのダイナミズムだろう。そしてダイナミズムにはある種の低俗性と卑猥性が常につきまとっている。日本の高度成長期がまさにそのような時期であったが、今のシンガポールは30〜40年前の日本に相当するのかもしれない。

今回は、カジノとユニバーサルスタジオは行く余裕がなかったが、今週末には行ってその報告をしようと考えている。