シンガポール通信ーシンガポールのタクシー

タクシーに絡んで話題をもう1つ。

シンガポールにはタクシー会社がいくつかあるが、使っている車は基本的にはトヨタのコンフォートとHyundaiのソナタである。コンフォートはご存知のようにクラウンの業務版で日本のタクシーにも広く使われている。

コンフォートの車体がいずれも古いので、どうしたのかなと思ってタクシーの運転手に訊くと、タクシー会社の政策として、徐々にHyundaiのソナタに取り替えているとのことである。コンフォートが相変わらずの箱形のスタイルを保持しているのに対し、ソナタは確かにスタイルも現代的だし内装も一見豪華に見える。それ以上にコンフォートの方はいずれも車体が古くて内部も汚れ放題、シンガポール独特の屋台村であるホーカーズの匂いが染み付いた車もある。

したがって、ソナタに乗れた場合は「ラッキー」と思ってしまうのだが、運転手に訊くとコンフォートの方が良いという。なぜかと訊くと、トラブルの数が絶対的にソナタに比較して少ないのだそうである。故障は少ない、燃費は良い、車の持ちもいい、ということで運転手には評判がいいのであるが、結局のところ価格の点でソナタの方が優位なので、会社の政策としてはソナタ導入ということになってしまうのだそうである。

かって私自身も、米国出張の際レンタカーを利用する際には、必ず日本車を借りることにしてた時期がある。上と同様にトラブルが少ないからである。最初はスタイルなどの点で米国車を借りたりしたが、レンタカーという短い期間にもかかわらず、何度かトラブルに見舞われた経験がある。ヒートアップしたりパンクしたりと、必ずしも車そのものの品質とは直接関係ない場合もあったが、日本車以外はトラブルが多いというのは私自身も身をもって体験したものである。

Hyundaiはかなり品質が良くなったということを聞いている。米国ではHyundaiの車を見かけることは多いし、シンガポールでも日本車に比較すると少ないとはいえ、Hyundaiの車は多い。一方日本からはHyundaiが最近撤退したというニュースも聞いている。やはり日本人は品質にうるさい国民のようである。

シンガポールで次に多いのはメルセデス・ベンツのタクシーである。コンフォートやソナタとベンツというと車の格に格段の違いがあるので、これらが混在しているのは何とも違和感がある。もちろんベンツは予約を中心として営業しているようであるが、その合間に流しをやっているのであろう、通常のタクシースタンドにも時折やってくる。運転手はさすがにコンフォートやソナタの全くの普段着の運転手と違いきちんとした服装をしている。ところが値段の方は基本的には同じである。ビジネスとしてどうやって成り立っているのかと不思議に思うこともある。

タクシーの運転手はいずれも人なつこくていろいろと話しかけてくる人が多い。(日本では、バブル全盛期には乗せてやっているのだと言わんばかりの横柄なタクシー運転手が多かった。バブル崩壊以降のタクシー運転手は、以前と異なり低姿勢になってきた。結構なことである。)シンガポールに来た当初は、タクシーの運転手の英語(いわゆるシングリッシュ)がわからなくて困ったものである。最近やっと、慣れて普通に会話ができるようになった。(英語での日常会話に関するあれこれについてはまた別途述べたい。)