シンガポール通信-シンガポールにおける土佐尚子の個展「TOSA RIMPA」

現在シンガポールに10日間ほど滞在している。私のパートナーの土佐尚子のメディアアートの個展「TOSA RIMPA: The Places You Will Never Visit」が、シンガポールIkkan Art Galleryで開かれているためである。今年は日本の伝統芸術である琳派が勃興してから400年にあたり、京都では琳派400年を記念した各種の行事が行われている。
私も土佐などと一緒に、3月に京都国立博物館で土佐のメディアアート「21世紀の風神雷神伝説」を用いたプロジェクションマッピングを行った。「21世紀の風神雷神伝説」は、琳派の代表的な絵画である風神雷神図をモチーフにした琳派の現代版ともいうべき作品で、琳派を現代に引き継ぐ事を意図している。
このプロジェクションマッピングは、4日間で2万人近くの方々に鑑賞してもらい大変好評であった。琳派の現代版とも言うべきアート作品が好評であった事は、京都を代表として日本では琳派は良く知られていることも大きいと考えられる。さてそれでは海外ではどうだろう。ヨーロッパの美術は琳派の影響も受けているため、欧米では理解してもらえると考えられるが、アジアではどうだろう。特に最近アートに関する関心が高まりつつあるシンガポールではどうだろう。
幸いシンガポールIkkan Art Galleryの眞田一貫さんが、土佐の作品の個展を開催してくれる事となった。眞田一貫さんはずっとニューヨークで画商をしておられて、その後シンガポールに移ってこられてギャラリーを経営しておられる。その意味で欧米やシンガポールのアートコレクターの好みも良く知っておられる。
ただし日本の琳派関係のアートの展示は初めてということで、シンガポールの人たちにどのように評価されるかは開催してみないとわからないというのが本音とのことである。個展は始まったばかりで、まだ人々の評価というのはわからないが、9月下旬までの開催期間中にある程度の人々の評価はわかるだろうということで、私たちも緊張しながら個展の開催状況を見守っているところである。



個展の開催会場の入り口のポスターの前で。



個展はシンガポールの港湾部の倉庫を改造したギャラリー街で行われている。巨大な倉庫空間を改造していくつかのギャラリーが同居している。



土佐の個展の開場の入り口。



アート作品を一望したところ。作品はいずれも4Kの映像アートとして制作されており、約50インチの4Kのモニターを使って展示されている。



これは作品の一つ。絵の具などの液体が音の振動で飛び跳ねる様子を高速度カメラで撮影し、かつ得られた映像を点対称に配置すると不思議な動きをする映像ができあがる。



こちらはより日本的な作品。各種の日本の花々を液体窒素で凍らせエアガンで撃つ事によって、花が散って行く様子を高速度カメラで撮影したもの。



下見に来たアートコレクターの人たちと。左端が土佐、左から3人目が眞田一貫さん.コレクターの人たちに気に入ってもらえると良いのだが。



これは同じく下見に来た私の友人のFelix Leeとの記念写真。