シンガポール通信—旧友の研究所訪問

連休を利用してシンガポールに1週間滞在している。滞在中に私の旧友のAdrian Cheok(エイドリアン・チェオク)が最近マレーシアに開設した研究所を訪問した。

Adrianとはもう15年程度の付き合いであるが、シンガポール国立大(NUS)の教授をしていた時に私をNUSの研究所の所長に推薦し招いてくれた。

その後彼は慶応の教授となり、さらに市立ロンドン大の教授となり欧州に移ってしまったのでしばらく疎遠となった。最近マレーシアの政府から招聘されてマレーシアに研究所を開設してその所長を兼任している。聞いてみるとロンドン大の方は休職中で現在は研究所の立ち上げに専念しているとの事である。

NUS時代から、食事の雰囲気を遠隔地間で共有する研究、マウスや鶏などの動物とのコミュニケーションの研究など大変ユニークな研究をする事で良く知られていた。その研究成果によって慶応や市立ロンドン大に招聘されたのであるが、さすがにこれらのいわばエスタブリッシュされた大学ではあまりにも飛んだ研究は行いにくいようであった。そのこともあって今回マレーシア政府から研究所の設立を要請されたのに乗り気になったのだろう。

ともかくもせっかくの機会という事で彼の新しい研究所を訪問する事とした。マレーシアと言ってもシンガポールとマレーシアを隔てているジョホール海峡をこえたイスカンダルという開発中の地区にあるのでシンガポールから来るまで1時間ほどである。



ジョホール海峡を越えてマレーシアへ向かう。



イスカンダルに近づいて来た。新築のコンドミニアム(マンション)が目につくようになる。短期間に値上がりするので投資の対象として、シンガポール、中国、日本人の買い手が多いとのこと。



遠くにレゴランドが見えてきた。世界で6カ所あるレゴランドの一つがマレーシアのイスカンダルにある。



レゴランドの入り口で私のパートナーの土佐尚子と一緒に記念写真。



レゴランドの側のショッピングモールにて。Adrianの新しい研究所はこのショッピングモールの2階にある。レゴランドの側しかもショッピングモールの2階という場所は新しい研究の好きなAdrianにはぴったりかもしれない。



研究所の内部の研究者のスペース。広大であるが立ち上がったばかりであり、ほとんどの席はまだ空席である。これから研究者を雇い始めるとの事。



こちらは作業スペース兼デモスペース。ガラス張りで外部から研究やデモを行っている様子が見えるように配慮してある。研究だけでなく外部の企業と共同での製品化にも力をいれるとのことである。



久しぶりに再会したAdrianなどと一緒の記念写真。一番右は私が指導者となって昨年博士号を取得したKasun(カスーン)。向かってその左がAdrian。少し白髪が増えたが相変わらず元気である。そして土佐と私。一番左は最近研究者として加わったフランス人。立ち上がったばかりであり現在の陣容はAdrianも含めてまだ3人であるが今後は急速に人数が増えるようである。



AdrianがNUS時代から続けている人口味覚の研究を実演させてもらっているところ。下に電気刺激を与えて「辛い」「苦い」「甘い」などの複数の味覚を人工的に作り出す。